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どんな魔法をかけてもらおうか悩むフルルを尻目に、聖女の部屋に行った。
聖女と侍女は、俺と女神を見てひそひそと話す。
「あの人って、もしかして……」
「恋人でしょうか……」
とんでもない勘違いもあったものだ。女神の機嫌を損ねないか気が気でない。
「そう見えます?」
女神は、ふふっと笑った。
俺を救ってくれた本物の女神だと言うと二人は驚いたが、侍女は何か思案していた。
聖女と女神は、話をした。聖女の体質の話になり、女神が聖女の体に触れる。
「……彼と同じです。魔石に異常を感じられます。そのせいで体質がこうなってしまったのだと思います」
俺の場合は体が弱ったが、聖女の場合は病気を治す力になったということだろうか。
侍女は、真剣な表情だ。
「女神様。聖女様は、この呪いのような体質のせいで、辛い目にあってきました。彼に魔法をかけたように、彼女にも魔法をかけられないでしょうか」
困惑する聖女にも構わず、侍女は女神に願った。
女神も聖女の姿に状況を察している。
「何かできるかは調べてみないとわかりませんが、やってみます。聖女様、よろしいですか?」
「調べるだけなら……」
俺の体質が変わったように、聖女の体質も変われば、聖女の力を失うことになるかもしれない。
女神が聖女の魔石を調べている間、色のついた魔力が仄かに宙を漂った。幻想的な空間の中、みんなで見守った。
魔力が薄れていき、女神の目が開く。
「終わりました。対処法はいくつかあります。力を失うことになりますが」
侍女の表情は、明るい。
「よかった……」
「一度体質を変えると元に戻すのは困難です。大きな決断になると思います」
「ありがとうございます。体質を変えられるとわかっただけでも、全然違います」
「聖女の力を、失う……」
聖女の表情は、複雑だった。




