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とりあえず、考古学者に俺の魔法の才能を見てもらう。俺を検査した教師は、ほんのちょっとだけあると言ったが、ほんのちょっとだけなら見間違いだったかもしれない。
考古学者が俺の背に手を当てた。手から魔力が流れてくる。
「どれどれ……。なるほど、確かに魔法の才能を感じられます。ただ、どうにもとらえどころがない。こんな事例は、私も初めてです。
他の人は、どれだけ魔法の才能が豊富な人でも乏しい人でも、人間の見た目が人それぞれであるように、違いはあれど似かよっているものなのです。背が高い人もいれば低い人もいる、太った人や痩せた人、男や女というように。
あなたには、それが見えません。見つからないほど小さいのか、弱々しいのか、そもそも他の人と同じ形をしているのかさえわからない。だから才能に乏しいと判断されたんでしょう」
それなら、魔法を諦めた方がいいのだろうか。魔法を使えなくても、俺には女神の恩恵がある。せっかくだから瞑想していただけなので、残念ではあるが別に構わない。
「何とも言えません。時間を費やすべきか、あなた次第です。
学者の端くれとしては、興味が出る事例です。もう一度詳しく調べてもいいですか?」
再び魔力を流す考古学者は、瞑想するように目を閉じる。
「見えてこない……。なぜだ、まだ精度が足りないというのか……」
苦戦しているようだ。どんどん流される魔力の量が増えていく。大丈夫なのだろうか。
「魔力の量? ……いつの間に。申し訳ありません、魔力酔いは大丈夫ですか?」
魔力酔いとは何だろう。
「多量に魔力を流されると、吐き気やめまいなどの症状が現れます。しかし、さすがは女神の鉄球といったところでしょうか、これだけ魔力を流してもビクともしないとは」
さすがは女神の恩恵といったところだ。
「では、続けます」
続けてもいいのだろうか。ほどほどにして切り上げよう、そう考えていると。
「押してだめなら引いてみるか……。
そんな、まさか……」
学者の声色が変わる。
「信じられない……。小人を探してうつむいていては、見つからないわけだ。見上げなければ、巨人は見つけられない。あとは、どれだけ大きいかだが……」
一層魔力が強まる。体調に変化はないが、不安になってくる。そろそろ止めるよう言おうとしたとき、俺の目の前に、徐々に人影が現れ始めた。
見紛うはずがない、女神だ。はっきりと姿を現した眠そうな女神は、目を開けた。




