表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/83

58


 聖女と出会って、日常が変わった。将来勉強をするようになると、昔の俺に言っても信じないに違いない。


 本も読めるようになった。と言っても児童書だが、それでもたまに分からない部分があって丁度いい。新鮮に感じるからだろうか、読書にはまって、図書館に通うようになった。


 図書館は、雰囲気もいい。穏やかな静けさに包まれていて、気も沈むような魂の迷宮とは違い、落ち着く。難しそうな本を読む賢そうな生徒もいて、その一員になった気分を味わうのも悪くない。


 俺ほど場違いな人間は、ここにはいるまい。そう思っていたが、負けず劣らない人がいた。


「あっ!」


 俺を見つけて声を上げたのは、考古学者だった。


 なぜここにいるのか目を疑ったが、そういえば学者と言っていた。学者の格好をしている物好きな冒険者という印象が強かった。


「これでも一応ここの教員です。教員証もこの通り。

 おかげさまで、最近はもっぱら学園にいるので、いつか会うと思っていました。あなたたちは、有名な生徒の中でも個性的な人たちですから」


 存在を知られてしまっていたようだ。あのときのように俺に用がなくてよかった。


「あの件は休止して、今は別件に携わっています。始まりの勇者と魔王の美術館、というところを知っていますか?」


 その美術館なら行ったことがある。


「それなら話が早い。あの封印された人々を解放できないか、研究しています。ここにもその資料を探しにきました。

 ちなみにこれは、研究の一環として負った傷でして」


 考古学者の手には、包帯が巻かれている。


「あれは厄介だ、おいそれとはいかない。本気を出したのに、ビクともしませんでした」


 考古学者は笑った。研究とは、そんな感じでいいものなのだろうか。


「魔法を解ければ何でもいいんです。あれは、特殊な魔法がかけられています。私は魔法が得意な方なので、糸口を見つけられると思ったんですが、全然だめでした。これから苦労しそうですが、諦めません」


 羨ましいと思った。魔法を得意だと言えるとは、さすが学園の教員として籍を置ける人だ。


「そういえば、生徒になったそうですね。生徒の育成も教員としての務め、おそらく学園一魔法が得意な私に任せてください。……いやいや、遠慮なさらず」


 あまり関わりたくないが、考古学者はその気になってしまった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ