表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/83

56


 聖女が熱を出したことに、侍女は自責の念に駆られていた。


「私がもっと気をつけていれば……。無理をしないように止めた方がよかったんでしょうか……」


 聖女が体調を崩すほど頑張れたのも、侍女がいたからだ。一緒にクーシーの世話をしていたのに、何も気づかなかった俺こそ落ち度がある。


 幸い聖女の容態は深刻ではない。元気になったあと、聖女はまた無理をするのだろうか。


「そうなったら、嫌われてでも止めようと思います」


 俺がその役を担わなければならないと、侍女には言わずに心にしまった。


 その後、体調が戻った聖女は、俺たちに相談を持ちかけた。


「寝込んでいる間、治ったらどうすればいいか、考えた。負担を減らさなきゃならない。こうやってみんなに迷惑をかけて、心配をかけて、また同じことを繰り返すわけにいかない。

 私には、クーシーの世話を止めるか、みんなに負担をかけて続けるかしかない。負担をかけててでも、続けようと思う。こんな私で、ごめんなさい」


 俺は、その決断に感謝したいくらいだ。フルル風に言えば、この女神の鉄球様を誰だと思っている、だろうか。唯一の取り柄の体の強さで役に立てるのだから、これほどやりがいのあることはない。


「女神の鉄球様、ありがとう」


 聖女は、遠慮がちに笑った。


 体に負担のかかる仕事は、俺が代わりにやった。俺のバカ力と尽きることのない体力にかかれば、時間がかかっていた聖女の仕事は、あっという間に終わった。


 空いた時間に、聖女は何か別のことを始めた。


「マリオネットの魔法を学ぼうと思って。マリオネットをクーシーの世話に使えれば、負担をかけずにすむから」


 マリオネットをモンスターの世話に使う。マリオネットの魔法を使えるほどの人が、モンスターの世話をするのは、本末転倒に思えた。


「そうしたいと思った。変かな?」


 聖女がそうしたいなら、俺はついていくだけだ。また無理だけはしないでほしい。


「力仕事は少ないけど、知恵熱を出すかもしれない。でも、女神の鉄球様がいるから大丈夫だよね?」


 聖女は、いたずらっぽく笑った。


 フルルはなぜ恥ずかしげもなく堂々としていられるのだろう。下手なことを言うものではないと思った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ