表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/83

55


 身支度を終えて、みんなの前にきた聖女の異変に、最初に気づいたのは侍女だった。


「失礼します」


 侍女は、聖女の額に手を当てる。


「……熱があります。今日は休みましょう」


 聖女の顔は赤らみ、ぼーっとしていた。


 聖女も、登校を止められると覚悟していたようだ。


「どうして、よりにもよって今日になって……」


「限界を超えたと体が知らせているんでしょう。今日のことは私たちに任せて、ゆっくり寝てください」


 聖女は、悔しそうだった。


「迷惑をかけてばかりで、ごめんね」


 謝ることではないのに、そう言わずにはいられないのだろう。


 聖女の看病と警護を侍女とフルルが担当して、俺はクーシーの世話に向かった。


 俺が世話しているクーシーは、俺を見ると遊ぼうとはしゃぎだす。飼い主というより、兄弟のような関係になってしまった。世話をしている分俺が兄貴分だが、そうなれなければわがまま放題だったかもしれない。


 聖女のクーシーは違う。自分よりか弱い聖女に従順だ。クーシー自身がそうありたいと思っている節さえ見られる。自分を見てほしい、語りかけてほしい、触れてほしい。まるで親と幼い子のような関係だった。


 俺が代わりに聖女のクーシーを世話した。俺も世話係の一人として認識されていて、滞りなく作業が進んだ。ただクーシーは、いつもなら聖女が姿を現す方向を、じっと見つめて待ち続けていた。


 クーシーの訓練を見せてもらった。


 モンスター使いの人が騎乗して操り、風のように障害物を超えていく。


 マリオネットを相手に、戦闘の訓練もする。すべてモンスター使いのかけ声に従って動く。吠えろと命令されれば吠え、噛みつけと命令されれば噛みつき、放せと命令されれば放す。獰猛さはなく、獲物を襲うときとは別物になるよう訓練されていた。


 臭いの嗅ぎ分けや追跡は、マリオネットにはできない。聖女が最も楽しみにしていた訓練だった。


 聖女に訓練の様子を伝えれば役に立つかもしれない。最後までつぶさに観察して、元気になったら話そうと思った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ