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警護の分を超えて聖女と接しては、おせっかいになる。聖女の側から何か頼まれたときのために備えておいた方がいいだろう。
フルルと交代で学園を探索した。どこに何があるか把握しておけば、聖女が外に用があるときに役に立つかもしれない。
学園で見かける人は、ほとんどが学生だ。俺より年上の人もいれば年下もいる。賢そうな人も強そうな人もいる。
友人同士笑い合う人たちがいた。聖女に必要なのは、友だちなのではないだろうか。
侍女はどうなのか聞いた。
「私が聖女様の友だちなんて、そんな……」
「友だちって、何?」
フルルが割り込んできた。
改めて言われると、何なのだろう。俺にとってのギーセのような人だろうか。
フルルは興味を持ったらしい。
「じゃあ、私も友だちになる。お前と、侍女と、あと聖女ね。聖女ー!」
フルルは聖女の部屋に駆け込んだ。
「今日から私は聖女の友だちです。よろしくね」
一方的な宣言に、聖女は困惑している。
「……友だちにはなれない」
「どうして?」
「私は、誰とも関わらない方がいい。迷惑をかけるから」
「迷惑?」
「辛い思いをしたり、危険な目にあったりする」
「なんだ、そんなことか。このフルル様を誰だか知らないらしい」
「え……?」
「私はとっても強い。例えば、どれぐらいかと言えば、この女神の鉄球よりよっぽどね。試しに、この鉄球を持ってみて」
言われるがままに、聖女は床に置かれた鉄球を持ち上げようとした。華奢な腕ではピクリとも動かない。
フルルは、鉄球をひょいと持ち上げて、軽々と放り上げてみせた。
「この通り、君が私の心配なんてしなくていい。君が想像もつかない人生を歩んできた私を、辛いだのなんだの気にしなくていい。そもそも君のために危険な目にあいにここに来たんだし、いくらでも迷惑をかけていい。
本当に嫌ならそう言って。それまで私は君を友だちだと思っているから」
聖女は言葉を口にしようとしたが、できなかった。
侍女を残してフルルと別室に戻った。
「ところでさ、友だちって何をすればいいの?」
一緒に何かをすればいい。
「何がいいかな。聖女は何かしたいことがあるのかな。今度聞いてみようかな」
フルルはワクワクしていた。




