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俺に依頼が入ったと、冒険者ギルドから連絡を受けた。王族からの依頼で、王城に招待された。
俺には一生縁のない場所だと思っていた。重々しい城門の先へ先導する兵士に、緊張しながらついていく。
鉄球他武装を解除され、応接室で待っていると、お供を連れた高貴な身なりの人が入ってきた。
「お待たせしました」
お姫様だ。儚げな印象のある人だった。
「本来ならこちらから出向かなければならないところを、お許しください。先日の一件について、王族を代表してお礼申し上げます。
魔石の利益は王国にとってかけがえのないもの。一日の停滞が莫大な損失になります。解決してくださった冒険者、女神の鉄球に、直接お会いしたいと思っておりました」
俺ではなく女神のおかげだが、ややこしくなるのでわざわざ言う必要もないだろう。恐縮するしかなかった。
「お二人がご一緒されたのは、その件に関連しているのでしょうか?」
当然ながらフルルも一緒に来ている。
「いえ、お気になさらず。私と姉妹は他人と変わりありません。ただの付き添いです」
恭しい態度のフルルに衝撃を受けた。ど田舎者の俺には、この雰囲気に辛いものがある。
「我々とともに歩んでくださることを感謝いたします。今後も良好な関係を築いていけるように、私どもにできることがあれば、何なりとおっしゃってください。
心ばかりですが、褒賞金を用意しました。お受け取りください」
お供が差し出した褒賞金を受け取った。
「城にこもりがちなので、この機会を楽しみにしていました。お時間がよろしければ、少しお話を聞かせていただけませんか?」
構わないと言うと、姫は微笑んだ。
「ありがとうございます」
失礼がないか気をつけて話をするのが大変だった。俺が昔は病弱だったことに、姫は共感したようだ。
「私も病に伏せることが多く、みなに迷惑をかけてしまい心苦しく思っています。女神様のご加護、羨ましいです……」
魔石の異常でそうなっているのなら、女神も起きてなんとかしてくれるかもしれない。
ちょっとお手を拝借して触れてみたが、女神は起きてこなかった。お供の殺意を呼び起こしただけだった。
姫は笑い声を漏らす。
「私には聖女様のご加護があるので大丈夫です。どんな病も、たちどころに癒やす魔法の薬のおかげで、今日まで生きてこられました。
王族という身分もある私は、恵まれています。私を生かしてくれている王国のために生きていきたいと思っています。お二人のような方々に、その手助けをしていただけると心強いのですが」
俺にできることならば手伝いたいと思った。
「ありがとうございます。私の力が必要なときは、遠慮なくおっしゃってくださいね」
姫は嬉しそうな笑顔を見せた。
お姫様と知り合いになるとは、人生何があるかわからない。
「ケーキとか、食べたくない?」
姫と別れ、王城の出口へ歩いていると、ある意味姫よりとんでもない相手であろうフルルは、褒賞金を見てそう言った。帰りにケーキ屋さんにでも寄っていこう、そんなことを考えていると。
「女神の鉄球。ちょっといいか?」
姫のともをしていた騎士に呼び止められた。




