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第三拠点からの探索が、二番目に危険かつ報酬の多い仕事だった。一番はというと、魂の迷宮の未調査区域の偵察だ。迷宮の地図やモンスターの情報などを高値で買い取ってもらえる。
その偵察を行っている人から、俺に同行の依頼が入ったと、冒険者ギルドの職員から聞いた。例によってドーターを倒したのは俺の実力ではないと伝えたが、構わないらしい。せっかくなので会って話をすることになった。
冒険者ギルドの応接室で待っていると、その大男が入ってきた。
「お待たせしました」
俺の父親くらいの年代だ。眼鏡をかけた学者風の服装をしているが、体格のせいか戦士の方が向いていそうに見えた。
「考古学を研究しています。そうは見えないでしょう? それっぽく見せようとしているんですが、どうにも。実は、この眼鏡もレンズが入っていないんです」
考古学者は笑った。
「主に魂の迷宮に点在する遺跡や、入手できる遺品を調べていましたが、居ても立っても居られず自ら潜るように」
第三拠点より深く潜っていると聞いた。
「ええ。考古学者は強いんです。知りませんでした?」
知らなかった、すごい。
考古学者は、困ったように笑った。
「いやいや、冗談です。私がちょっと変なだけなんです。あと、今日も同行する予定だった護衛が、それはもう頼もしくて。あなたに会いたいと楽しみにしていたのに、どうしたのやら」
考古学者は、待ちきれない様子だった。
「早速ですが、女神から恩恵を授かったと聞きしました。女神について教えていただけませんか?」
知っていることを話すと、考古学者は目を輝かせた。
「女神と話を! 私の知る限り、女神は先史文明の時代から存在しています。私は、その時代にとても興味があります。直接女神からお話を伺うことはできませんか?」
できないと答えると考古学者は残念そうだったが、先史文明の遺跡らしきところに迷い込んだ話をすると、目の色が変わった。
「何がありました? 誰かいました? どうやって行きました? 何でもいい、すべてを教えてください」
圧が凄い。ギーセとの冒険を語った。
「間違いない……先史文明の遺跡だ……」
考古学者は感極まった。
「テレポートの罠、運が悪ければ、魂の迷宮の壁の中に転送されていたかもしれません。掘削したときに出てくることがあるんです。さすがに自分で試すには危険すぎるか……」
そうならなくて本当によかった。
「ゴーレムが導いたとされる巨大な扉に、心当たりがあります。先史文明の遺跡へ通じる重要な手がかりかもしれない。ぜひ確認してもらえませんか?」
確認するために同行することになった。
先史文明の遺跡の話をしていると、足早な足音とともに、応接室の扉が開け放たれた。
「いた、おっさん! 場所も教えないで、はしゃぎすぎだ!」
声の主を見て、血の気が引いた。ドーターに殺されそうになったときを思い出した。




