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「お前が妹を倒したっていう、女神の鉄球?」
フルルという名前のドーターは、あのときのドーターに似ているが、別人だ。姉ということは、俺に復讐しに来たのだろうか。
「妹と言っても、一番近い姉妹でも親子ほど年が離れているし、ほとんどの姉妹と会ったことさえない。私たちは、お母様に生み出され、成人するまで育てられる。その後は放ったらかしにされて、お母様は別の子を育て始める。その繰り返し。
お前が倒した子は、お母様の言うことを真に受けた可哀想な子だったんだろうな。人間がどうのこうの言ってたでしょ?」
人間に恨みを抱いていた。
「私は、どうでもいい。私が何かされたわけじゃないし、こうして人間とともに暮らした方が面白い。私たちってとても強いから、好き勝手に生きられて楽しい。
私たちを単独で倒せる人って数えるほどしかいないのに、お前がそうなの?」
フルルは、机の上に肘を乗せる。
「力比べしよう。私に勝てたら何でも言うこと聞いてあげる」
フルルはにやりと笑った。
本当に何とも思っていないのだろうか。腕相撲で勝てるはずがないが、もしも勝てたら殺さないでとお願いしよう。
「いつでもどうぞ」
徐々に腕に力を込める。ミシミシと机が軋むほど力を込めても、フルルの腕は微動だにしない。
「全力でいいよ?」
フルルの余裕の笑みに、全力を出した。それでも微動だにしない。
「こんなもの? 確かに一流の強化の魔法の使い手ではあるけど、私たちが負けるはずない。よっぽど弱っていたのかな」
魔法は使っていないし、使えない。そう伝えると、フルルは驚いた。
「素でこれ? そうなんだ……」
フルルは興味深そうだった。
フルルの腕に力が入った瞬間、俺の手が机に叩きつけられ、机が破壊された。勢いそのまま倒れた俺に、フルルはいたずらに笑う。
「私の勝ち。どんなお願いをするか、考えとくね」
どんなお願いをされてしまうのだろう。
「いやー、仲良くなれたようで何よりです。彼女が私の護衛をしてくれています。頼もしいでしょう?」
考古学者は晴れやかに笑っていた。




