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 建造物の周辺に人影はない。施錠された扉があったので、無理やり壊して開けた。照明が灯り、配管が張り巡らされた通路を進む。


 二足型の像が安置された空間に入った。見上げるほど大きな像だ。一ツ目のその像には、悪魔の角が生えている。


「悪魔の像? ……うわ!」


 悪魔の像が目を見開いた。俺たちの姿を確認して、動き出す。悪魔の像が振りかぶった拳を、俺が前に出て防いだ。全身に衝撃が伝わる。


 通常のオートマタより強いが、ドーターには遠くおよばない。やり返すと、悪魔の像はよろけた。さらなる追撃で倒れた悪魔の像の目が、光を失っていく。


「なんとかなりそうだな」


 ハチも俺が勝ったことに驚き、はしゃいでいる。


「……何の音だ?」


 まだ息のあった悪魔の像が電子音を発した。続けて、建造物全体に警報音が鳴り響いた。


「仲間に俺たちのことを知らせたのか? まずいぞ」


 撤退するか、このまま続行するか。撤退したところで再挑戦しなければならず、次は警備が強化されているかもしれない。駆け足で奥へ進むことを選んだ。


 悪魔の像が現れる度に戦った。しかし、次から次へと現れてきりがない。鈍重なので逃げれば追いつかれないが、追っ手を引き連れて先へ先へと進むしかなかった。


 そして、危惧していた事態に陥った。前後を悪魔の像の集団に、はさみうちにされてしまった。


 押し通るしかない。けれど、倒しても倒しても、別の悪魔の像が立ちふさがってきた。早くしなければ背後の集団に追いつかれてしまう。焦りが募った。


 突如、視界を閃光が覆った。爆発音と爆風が吹き荒ぶ。爆発が止み、辺りを確認すると、悪魔の像の残骸が散らばっていた。


「ざまあみろ、爆発の罠だ」


 ギーセの声がしたことに安心したが、ギーセとそのかたわらに寄り添うハチの元に近づいて、言葉を失った。


「俺がまだ殺されてないってことは、やつらを道連れにできたんだろう? 何も聞こえないし、何も見えないんだ……」


 ギーセの体は焼けただれていた。その手を取ると、ギーセは強がった笑みを見せた。


 まだ間に合う。きっと助けられるはずだ。そんな根拠のない願望にすがりつくしかなかった。ギーセを背負って先へと進んだ。


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