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「勇者が王都に戻ってきた」
探索の休憩時、ギーセは思い出したように言った。
「王様からオートマチックキャッスル調査の依頼を受けたらしい」
オートマチックキャッスル。魂の迷宮とは別のダンジョンだ。オートマタという種類のモンスターの住処になっている。通常のオートマタは人間に近い人型だが、人形のような見た目をしているらしい。
「オートマタは人間をちぎる。活動が活発になってきたという噂もあるけど、勇者が対処してくれるのなら安心だ」
美術館の古の勇者を思い出した。これだけ信頼される現代の勇者とは、どんな人なのだろう。
「勇者は、天空の竜というクランに所属する冒険者だ」
冒険者同士が徒党を組んだ集団をクランと呼ぶ。単に気の合う人が集まっているだけのものから、目的や技能を同じくする人たちが協力関係を得るためのもの、悪事に手を染めて裏の世界で暗躍するものまで様々ある。
「天空の竜は、ドラゴンの保護活動をしている。莫大な費用が必要だから、実績の割にいつも金欠なクランらしい」
最強の有翼型モンスター、ドラゴン。その素材は最も高値で取り引きされている。だからこそ、最強でありながら、人間が支配する今の世界では保護されなければ生存できない。
「メンバーには、勇者だけでなく名のある冒険者がそろっている。裏方ならともかく、ドラゴンを相手にできる強者が必要なんだろう。選ばれし者が入れるところって、なんか憧れるな」
ギーセは、ふと俺を見た。
「お前はどこかのクランに興味ないのか?」
考えたことがなかったが、入るとすれば、女神を探す人同士が情報を共有するクランがいい。識別不可の罠の魔石を持ち寄り、罠の発動に立ち会わせてもらう。女神と会えるかもしれない。
そんなクランがなければ、立ち上げるのも悪くない気がしてきた。丁度目の前にメンバー候補が一人いる。
「そんな物好きはお前しかいないって。でもまあ、冒険者を続けなきゃならなくなったら、それも悪くないか。他にやりたいこともないし」
ギーセは笑った。




