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世界一周〜渓谷国家ガルダイト②〜

<第一拠点にて>

「……よし、やるか」

「俺も大丈夫です」


沢山の仲間が増え、訓練が大所帯になる為新たに建造された闘技場にて、イグロスとザピラーは舞台に立ち、大悪魔召喚を行おうとしていた。


「博識なる悪魔よ、地を揺るがす大悪魔よ。

 我が名はイグロス、あなたを呼ぶ者。

 オオタカを乗せ、鰐に乗り、その力を以て我らに救いをもたらさん。

顕現せよ、『アガレス』!」


「恋情燃やし悪魔よ、赤き装甲の大悪魔よ。

 我が名はザピラー、あなたを呼ぶ者。

 その力は熱き心より表れる、たった1つのシンプルな思い。

顕現せよ、『ゼパル』!」



「こ、これが大悪魔の召喚か………」

「おお?!なんか出てきたぞ!」





「ふわあ〜ぁ、ようやっと出てこれたわい。うむ、儂を呼んだのはお前さんかの?」

「ああ、その通りだ」

「ふむ、なれば名乗ろう。

 ー儂こそが72柱が悪魔の2、階級は公爵のアガレスだ、よろしく頼むぞ、主様よ」

「俺の方からも名乗らせてもらうぜ。蜥蜴人のリーダーで、デュークデーモン・リザードのイグロスだ。よろしくな、悪魔さんよ」

(よき眼差しだ……若い頃を思い出すわい。)





「私を呼んだのは貴殿か?」

「ああ、羅刹たちのリーダーで、デュークデーモン・オーガのザピラーだ。」

「私は72柱が悪魔の16、ゼパル。階級はそこの爺と同じだ。呼ばれたからには、全力で貢献しよう。」

「ああ、頼むぜ、赤い悪魔。」

(この者がもし、恋心を抱いたならば……密かに我が力で応援するとしよう。)





この日、二柱の悪魔が、第一拠点にて現界した。

しかして現界した悪魔は、この二人に限らず。





「いやー、ワイルドテイルの場所を借りられたのは、幸運だったな。」

「恩は売っておくべきものなんですよ、うん。」

「よし、やろう!」

フィロカラ、エオム、ビオラもまた、ワイルドテイルの一角にて大悪魔召喚を行おうとしていた。


「蜘蛛の悪魔よ、知恵を授けし大悪魔よ。

 我が名はビオラ、あなたを呼ぶ者。

 豊穣をもたらすその加護を、我らに。

 来てください、『バエル』!」


「水域の悪魔よ、水を操りし大悪魔よ。

 我が名はフィロカラ、あなたを呼ぶ者。

 風と海を支配する、その力を今ここに。

 頼むぜ、『フォカロル』さんよ!」


「蛇乗りの悪魔よ、火を放つ大悪魔よ。

 我が名はエオム、あなたを呼ぶ者。

 我らに今、真実を与えよ。

 お願いします、『アイム』!」




「あ〜、やっと呼んでくれた!エットね、私バエル!72柱の悪魔の1!階級は王様だよ、よろしくね!」

「うん!これからよろしく!」

(カワイイな~♪)





「ようやっと呼んでくれたようだな………案外早かった、な!?」

「おう、俺があんたを呼んだ、フィロカラ・ディールスだ、よろしく頼むぜ?」

「お、おう……我こそ72柱が悪魔の41、公爵のフォカロルだ。」

(ヤクザか何かかと思ったぞ………)





「ハッハー!72柱が悪魔の……23だっけ?なんでもいいや、アイム様降臨だぜ!」

「いやーようこそ来てくれました、私エオムと申します。」

「おう!呼んでくれてサンキュー!しっかり役に立って見せるぜ!」

(まだまだ先だけどよー、攻め込むときが楽しみだわ、ホント)





72柱の内5柱が、この世界に現界した。

まだこれから増えていくが、今日はこの辺で。















<ガルダイトにて>


「飛んで下に行くのは禁止されてるから、徒歩だったんだが……もう少し安全性とかないのか?

もう朝なんだが……」

「徒歩で行ったら5時間とは……素直にクライムホーングルマとやらに乗るべきでしたね……」


現在、早朝四時。徹夜で移動したからキツイ。さっさと会うとしよう。


「ここか……『縞瑪瑙工房』」

「シンプルな造りですね。飾った感じがなくて、私は好きです」

「そうですか?!ありがとうございます!」

「ん?」「あれ?」


振返って見ると、多分十四、五ぐらいの少女がいた。


(背低っ!?)

(思っていたより若かったですね………)


「もしかして貴女が……?」

「はい!ここ『縞瑪瑙工房』の店主、クアマです!」

(オニキスなのに店主はアクアマリンなのか……)



店の中で、クアマに話を聞いてもらった。

「なるほどです、その対邪神用の魔剣に作り変える人材がほしいと……」

「それ以外にも、便利な装備があればそれも作って欲しいと思ってな。

それをスターディ王に話したら、君を紹介されたんだ。」

「確かに、色んな装備を作れますし、魔剣も作成できますよ。

それに、邪神と戦うお手伝いをするなんてすごくワクワクします。思い切って、皆さんの都市に移住しちゃいます!」

「い、いいのか?こっちにも客がいると思うんだが………」

「大丈夫です!弟子たちも店を出しているので、彼等に任せればバッチリです!」

(意外と年いってるのか……?)

(この若さで弟子が店を出す程……すごい人を紹介してくれたようですね)

「でも、困ってることがあって……」

「何ですか?」

「私の弟子たちの店で、装備が盗まれているんです。

犯行時刻はおそらく深夜から明け方、盗まれていたのはどれもショートソードで、目撃者もいなくて……」

「そいつはもしかしたら気配を消したり姿を隠したりするスキルを持ってるかもしれないな」

「弟子の為にも、この事件を解決してほしいんです。お願いできますか?」

俺達は迷うことなく、

「勿論だ、任せてくれ」

「必ずや犯人を捕まえてみせましょう」

と答えた。







翌日ー

「こいつが、犯人か。思ったよりあっさりと捕まったな」

「は、離せ!」

どうしてすぐ捕まえられたのかって?簡単な話、ビオラに手伝ってもらって、クアマの弟子たち、そして『縞瑪瑙工房』にも罠を貼り、掛かるまで待っていたわけだ。

「なぜ盗みを犯したのですか?」

「ドワーフ何ぞの店に、金なんて出せるか!」

あ、うん、分かった。こいつ人間至上主義だ。

気絶させておくとして、盗まれたショートソードはどうしようか……


「見させてもらうね」

と思っていたら、ビオラが「閲覧」を使っていた。そういやそんなスキルもあった。


「ふむふむ。どうやらまだこの国にあるらしいよ」

「ほんとか?」

「預けていた場所があるらしいから、行ってみよう」







「何だ貴様らは!ここは立ち入り禁止区域だぞ!無断で入ることは」

「盗人が何言ってやがる」

まあこういう手合はいるだろうと思っていたが。

「なぜクアマもここにいるんだ?」

「私だって、盗まれていたのは腹が立ってるんです!」

「かなり強いので、多分大丈夫ですよ」

まあこのぐらいの相手、どうにかなるな。

「侵入者だ!」「一人も逃がすな!」「殺せ!」

6人プラス1人は少なかったか?






「グハッ!」

「やっぱり契約するといつもより戦えているな。まだまだ行けるぜ」

たしかに、動きがさらに洗練されてるしな……


「クソ………てめぇだけでも死ね!」

「ッ!」

しまった、まだ動けたのか!?間に合わん!


「危ない!」

「わあっ!?」

クアマを庇ったディブモアが、背中を切られた。


「容赦せん!ホーンアッパーカット!」

「グベェ!?」

「全く……隠れるのが無駄にうまかったですね」

「だ、だだ、大丈夫ですか?!」

「まあこれぐらいなら……防御も間に合いましたからね」

よく見ると、背中の部分だけ龍鱗化している。


「す、すいません……私のせいで……」

「いいですよ、それより、怪我はありませんか?」

「は、はい……大丈夫です。」

「そうですか、良かったです。せっかくの綺麗な肌に傷が付いてしまう所でした」

「ありがとう、ございます………」















「今回の事件、よくぞ解決してくれた。他国に流出する前に止めてくれた事、感謝する。」

パチパチパチ……!


「いや、止められたのはビオラのおかげだし、ディブモアも、フィロカラも、エオムも奴らを拘束するのを手伝ってくれた。礼はあいつらにも言ってほしい」

「うむ、そうだな!ビオラ、ディブモア、フィロカラ、エオムよ。感謝するぞ。」

パチパチパチ……!


「えへへ、なんだか照れるね」

「私はただ、クアマさんの依頼を達成しようとしただけです。」

「いい感じに新しい力を使えたしな!」

「私なんて、ほとんど役に立ってませんでしたがね」















「王よ!コレテ教の司教が、引き渡しを求めています!」

「何じゃと?」





「ですから!私共の教えを曲解した愚か者たちを、引き渡ししてくれと言っているのです!」

「何故その必要がある?奴等はこの国で法を犯した、よってこの国の法で裁く、主らに邪魔される謂われはない」

「何だ?どうしたんだ、スターディ王?」

「ああシルマよ、この者がなかなか頑固者でな」


「お待ち下さい、今、この者がシルマと?」

「それがどうした」

「どうしたもこうしたもありません!この者は我々の勇者を奪った、国際指名手配ですよ!?」

「それは主らが勝手に言いだしたことであろう。儂等はそれに同調するつもりはないと何度も申したであろうが」

「そんなことは関係ない!我らこそが、人類を導く存在!!それには向かう者たちは、皆神敵である!」


「やれやれ、いきなり叫んで言うに事欠いて神敵だって?ふざけんのも大概にしろ、ハゲオヤジ」

「貴様……ァ!!殺せ!!」

ザザザッ!

「おい王様。これどう言う事?訳がわからん。」

「主らが勇者をどうにかしたのを、奴らが喚き散らしているだけのことよ。」

「オーケー、スターディは手ー出すなよ?」





「そ、そんな馬鹿な……」

「てめぇらの教皇に伝えな。俺は正しいと思っているから動いていると。邪魔するなら容赦も躊躇もしないと。」

「クソォーー!!覚えていろ!」






「三下のセリフで去っていくなよ……

というか、なんで手を出したんだ?スターディ」

「儂等も、全面的に奴等と戦うことに決めたぞ。このまま好き勝手されるのは、もう我慢ならんからな。」

「………よろしく頼むぜ、スターディ。」

「無論だ、シルマよ。」

















「もう、行ってしまうのか」

スターディたちがお見送りに来た。

「ああ、もっと周るところがあるからな。次は」

「………エルフの国、ボスキーウッズか」

「その通り。さっさと終わるといいが……」

「お前らなら、どうにかなるだろうな。またいずれ、会おうぞ」

「勿論だ。またな」















いざ2つ目の国、エルフの国ボスキーウッズへ。

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