訪れる者たち〜敵の場合〜
「シルマの旦那、なんか一人来てます」
「リスフィーとテュランを連れてきてくれ」
本当に、来客が多い。
「あなたがドレイクの?」
「そうだが、お前は誰だ?」
そいつはフードを外すと、名乗った。
「吾は獣人国家ワイルドテイルの使者、レオッドと申します」
まさかの国からの客だった。
「単刀直入に申します。吾らをお助けください」
話を聞いたので、まとめておく。
・元々ワイルドテイルは人間至上主義を支持しない数少ない国家だった。
・そこに帝国からの使者が来て、横暴を働いた。
・のらりくらりと責任を逃れる帝国に、我慢の限界が来ていたところに、俺を討伐しようと言ってきた。
・それをきっかけに俺に助けてもらおうとしていた。
帝国は勿論人間至上主義である。本当にろくでもねえ奴らだ。
まあ、ここまで来てくれたのだし、恩を売っておくのも悪くない、そう思い作戦を考え始めた。
「隷属解除」
こっちはあっけなく終わった。奇襲をかけ、術者を斬り捨て、残ったインセクトキマイラの強制隷属を解除した。しかし、人工キマイラは寿命が短く、今まさに尽きようとしていた。
「お前をこのまま死なせるだけにはしない。リメイキングリザレクション!」
インセクトキマイラを光が包む。やがて光が収まり、触角を生やした少年が姿を表した。
「あれ……?僕は死んだはずじゃぁ……?」
「お前には幸せになって欲しいと思ってな。俺たちと一緒に来るか?」
そう聞くと、少年は元気良く、
「はいっ!」
と答えた。
<フィロカラ視点>
一方、ワイルドテイルの首都、ビーストヘッドー
「あいつ、上手くいくと思うか?」
「無理であろうな。あんな紛い物では何もできん」
「まあいいだろ。その分俺らの取り分も、女も……ギヒヒ!」
「お前好きだよな。せめて亜人じゃなきゃ無理だ」
「その話は、終わった後にしてくださらんか?」
「アタシは、魔法の練習台になる奴がいいなー」
「もし懐いてくれるなら……ペットにします」
そう話していると、
「男性陣は無理。処分決定。……女性陣はまだ大丈夫ってところかな」
「新薬のモルモットは手に入るようで何よりです。フフフ……」
「もうなれましたけれども、何かやべえ奴にしか見えないですな、相変わらず……」
「こういうものだ、と割り切る他ないな。」
隠れていたビオラ、エオム、フィロカラ、ギブルが姿を表した。
「なっ………いつからそこに居た!?」
「何だ、こんなレベルではあっさり終わりそうですね」
「んだろ、ゴラァ!」
すぐに殴りにかかってきたがー
「まあ、あっけないもんですね。ほかも終わったようです」
残り二人いたがすでに仕留めている。
「後はあんたらをどうするか、何だけれど……俺たちと共存してくれるなら、住処まで連れて行くけど?」
そう話すと、二人は少しの間相談しー
「分かったわ。アタシらはあんた達に従う」
と、答えてくれた。こっちは任務完了。
<エオム視点>
その後、我らが居住地に到着し、説得の末、新薬の被験者となってもらい、効果を見ることにしました。少しの変化も見逃さぬよう、研究所の部屋にいてもらう事にしました。えっ?どういう薬なのかって?媚薬ですが?
……ま、まあそういうわけで一週間、観察させてもらったわけですが、ついに堕ちました。
しかし、ここで問題が。二人同時にだったのです。流石に二人同時には想定できておらず、二人同時に相手する他なし、と思っていたところに、
「兄さん、今日の分の食事持ってきたよ」
我が弟よ、お前は良い奴だ。こんないいタイミングで来てくれるとは!
「我が弟ベルーカよ、どっちが好みだ?」
「急にどしたの?……敢えて言うなら神官さんだけだけど」
「二人同時にきたようでな……どっちか相手してほしかったのだ」
「なるほどね。まあ、そういうことなら、こっちの方だったよね?」
「ああ、そうだぞ。あ、入口に看板掛けとかないと……」
とまあ、あとは言うまでもないですが……まあ、とても良かったです。
<シルマ視点>
「あの二人、エオムとベルーカと付き合うことになったんだな」
「まあいろいろあったんだよ」
なんか歯切れの悪い言い方だな。なんかあったのか?
「これを読んでほしいんだけど」
何々?『新薬投与の経過観察』?
「報告書か?まあ、読むとしよう」
……読んだ。まさか、こんなものを開発していたとは……
「単なる一夜の間違いで終わらなかったのは?」
「性格的にも、体の相性も良かったらしいよ。それで段々仲良くなって……って聞いた」
うーむ、これは厳重に保管しなくては……下手に公表すると悪用されかねん。
「そうだね、僕が預かっておくよ」
「……まさかとは思うが、使うのか?」
「そんな予定、僕にはないよ」
今のところは、な。だがしかし、何時になったら龍の奴らは使いを送るんだ?
「感謝申し上げます。おかげで我らは救われました。もし挙兵なさる時があれば、我等も加わりましょう」
「それはありがたい。貴国と良い関係が築けて良かった」
ワイルドテイルとの事実上の同盟関係を結んだ。
国を仲間にできたのは大きい。
「そろそろ樹海の東部入口に着きます。貴方は勝手に動かず、あちらの案内役が来るのを待っていてください」
「………りょーかい」
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