訪れる者たち〜エルフの場合〜
「シルマ兄さん、樹海の外にエルフが来てるよ」
エルフ?外から来るやつとは珍しい。
「ビオラ、ボルザとレイーガとベーナを呼んでくれ。対応してほしい」
「分かったよ!」
さて。友好的であることを祈ろう。
「ドレイク様、お初にお目にかかります。我らはエルフの一族にございます」
「遠いところからようこそ。しかし、一族にしては数が少ないように思いますが」
「実は出立前に殆どが里から出ていきまして……申し訳ありません」
「謝る必要はない、早めに用件を言ってもらえるとありがたいのだが」
「失礼いたしました。実は我が娘が、ここで世話になっていると聞きまして」
「あなたの娘さんが、ですか」
「あまり奮わない子だったのですが、ついに報われたと聞き、急いで参りました。あの子に、会わせていただけないでしょうか」
「分かった。それではこちらへ」
「おお……ノエル!立派になったのだな!さあ、里に帰ろうぞ!」
「……すいませんお祖父様。私は帰るつもりはございません」
「なんと……!そ、そ、それはどういう事だ!?」
「何度も言わせないでください。帰りたくないと言っているのです」
「何故!?」
「そのへんにしてもらえます〜?」
「誰じゃ貴様は?!」
「ジェノサイドラプトルのリーダーをしています、ヴィルクと言います〜。以後お見知り置きを〜。」
「ジェノサイドラプトル、だと……!?し、しかし、我らは家族の話をしているのですぞ!?何故止められなければ……!」
「あれ〜?おかしいですね〜?僕達はこう聞いていますよ〜?」
「能無しと貶され、何も持たされずに追放された……と」
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「故郷には〜、帰らなくていいの〜?」
「いえ……帰ったとしても、居場所なんてありません」
「……え?」
「私は、元はハーフエルフ。半端者と呼ばれ、能無しと呼ばれ、追放されたのです」
「そんな……!酷すぎるよ!」
「でも、大丈夫です。もう、居場所はここに、ありますから」
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「ははは……た、単なる聞き間違いでしょう。我らは、そのような事など……」
「していない。そう、しらばっくれるのか?」
「な…何を馬鹿なことを」
「そこにいないあんたらの一族。どこに向かったか知らないのか?」
「……も、もしや」
「そいつらから、全部聞かせてもらった」
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三日前。
「ノエルの弟さんとは……また随分重要な人が来たものだ」
「聞いてもらえないでしょうか。長老達の仕打ちを」
「聞かせてもらおう」
「姉上は、ハーフエルフです。私はそれを恥とは思いませんし、何より姉上は優しい人でした。そんな優しい姉上を、皆好きになっていました。
しかし、長老たちは違いました。姉上を迫害し、どの属性の魔法も得意な姉上を、能無しだというのです。我らは協力して姉上のサポートをしていました。長老たちはそれを罰し、サポート出来ないようにし、追放しました。
今、長老たちはこちらに向かっています。姉上を、自分たちの道具にしようと考えているのです。どうか姉上を、お守りください。よろしくおねがいします」
「ヴィルク君からは聞いてたけど、そこまで過激だったとは……」
「正に鬼畜の所業。どう致します?」
「……奴らをここに迎え入れる」
「あ、主さん?!」
「無論、逃げられないようにするためだ。弟さんの方も、少し気を付けておいたほうがいい」
「容赦する必要は?」
「1ミリもない」
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「そういう訳で、だ。痛い目に遭ってもらおうか」
「……貴様ァ!儂等を裏切りおって!」
「裏切らせるよう仕向けたのは、貴方達の方ですよね?私はそれに従っただけです」
「ええい……!お前達、儂等を助けんか!儂等に従わず、これから生きていくなど不可能だろう!?」
「姉上を蔑んでたお前達に、かける慈悲など一つもない!」
「なんじゃと!?こうなったら、無理矢理にでもー」
「させると思ってんの?」「ガフッ!?」
「ーノエルさんが大切にされていたなら、僕がついていこうと思っていた。でもー」「ギヒィ!?」
「娘をを傷つけるようなやつに、ノエルは渡さない!誰が許そうと僕が許さない!!」
「グググッ……クソッ、何故エルフの長老である儂が……魔物や亜人に優しいのではなかったか?!」
「勿論そうだ。だが……魔物や亜人にも優しい人間なら俺だって友好的だ。俺が敵対するのは!自分の命欲しさに他者の人生や命を踏みにじるような奴らだ!」
「この下等種族共がぁ!!炎で弾けー」
「遅いな。サンダーブラスト」
「ぐべぇ!?無、無詠唱だと……!?」
「ボルザ。こいつらの持っている魔力全てを喰らい尽くせ」「御意!」
「わ、儂の魔力が……」
このぐらいで、もういいだろう。
「あんたらは、どうするつもりだ?ここに住みたいと言うなら、勿論受け入れるつもりだ」
「姉上が、許していただけるなら」
ノエルは頷いている。
「ありがとう……姉さん、義兄さん」
「……ん?義兄さんって僕?」
弟さんがーナクルが頷く。
「えっと……どういうこと?」
「しらばっくれるつもりですかお義兄さん。あれ、告白ではないのですか?」
「………え、もしかして」
まぁ、あそこまで啖呵切ったらなぁ……。
「……はぁ〜。もう少ししっかりしたところで、告白しようと思ってたのにな〜。―まあでも、気持ちは変わらない。ノエル。あなたを誰にも渡したくない。僕だけを好きでいて欲しい。そんなのでもいいなら、僕と―付き合ってください」
「一生、幸せにしてくれますか?」
「無論、必ず幸せにするよ」
「……はい!」
……皆から拍手が贈られる。俺も拍手している。
「よかったのじゃ、ノエル!」
「おふたりさんも、お幸せに」
ノエルは過去を振り払い、ヴィルクとともに歩み始める。困難も待ち受けているだろうが、きっとその先には幸せが訪れる。二人を祝福するような、そんな青空が、広がっていた。
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