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僕は不死王じゃない!!  作者: ラノベゾンビ
第2章
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幕間 エミルの日記②

 

 〇月×日 快晴


 クリスタルティアを出発して1ヶ月……ついに着きました! 魔法使いの聖地『マカディア』に!

 私の英雄譚(サーガ)第1章、『エミル魔法使いの聖地で大暴れ』始まりますね。

 ウシシシシシ、笑いが止まりませんね。


 それはさておき、魔法使いの聖地と言われるだけあって、魔法関係の施設の充実っぷりが素晴らしい街ですね。

 まず入り口のアーケードをくぐると浮かび上がる魔法文字がお洒落ですね。

 『ようこそ、マカディアへ』と緑色の魔法文字が浮かび上がってきた時は、ちょっとびっくりしましたがセリフが今一ですね。

 私がこの街で有名になった暁にはこの文字を『ビバ! 偉大なる魔法使いエミル爆誕の地へ』に変えさせましょう。ええ、そうしましょう。


 露店もほとんど魔法使いが出店していましたね。

 『蛙とネズミとセミの抜け殻のコンソメスープ』が魔法の容器に入れられて売られていましたね。

 どれだけ時間が経っても温度が変わらない魔法の容器、通称マジックタッパー! 

 むしろスープより容器がメインですね。

 すぐに買って、中身は露店の目の前で捨てました。

 いやあ、安いし、いい買い物でした。


 魔法使いが多いせいか、他の街よりも魔法(マジック)アイテムの相場が安いところがいいですね。

 料理はゲテモノが多いですが……。

 私、この街気に入りました!

 明日も散策してみるとしましょう。



 〇月×日 曇り


 凄い施設を見つけてしまいました。

 魔法学院『マナルー』。何でも魔法使いを育てる学び舎で、教師に高名な魔法使いが多いとか……。

 まあ、私に比べれば大したことは無いのでそこはどうでもいいのですが、すごいのは卒業特典!

 魔法教師免許を発行してもらえるとか! これは便利ですよ! 

 これを持ってるだけで「うちの息子は魔法の才能があるから一人前にしてくれ! 金に糸目は付けない」とか言い出す馬鹿な貴族や「うちの娘に魔法の英才教育を受けさせて町一番の貴族に嫁がせるんだ!」とか言い出す馬鹿な大商人がこぞって依頼を出してくれる美味しい免許です。


 しかも入学試験でいい結果を出せば、学費が無料になると言うではないですか!

 これはミカリーナに至急相談ですね!

 試験はいつでも受けれるそうなので、ミカリーナが了承したら明日にでも受けに行かなければ!


 

 〇月×日 雨、私の気持ちも雨


 おかしい……。

 ミカリーナに相談したら「まるで私達の為に造られたような施設ですねエヘヘヘヘ」と了承してもらえたので試験に行ったのですが……落ちました。

 

 実技試験と学科試験があって、実技試験は「得意な魔法を見せる」といったものだったのですが、試験官に「もう、学科受けずに帰っていいよ、お疲れ」と言われました。

 我が暴虐なる黒死の魔法『黒火(ブラックフォエゴ)』の何が気に入らないのですか!

 「火打石の方がまだ役立つね」って何ですか!

 

 ミカリーナの回復魔法は「唾の方が役立つね」と言われていましたね……。

 あーむしゃくしゃします。こういう時はあれをやらないといけませんね。

 早速明日にでも、ミカリーナを誘って街に繰り出すとしましょう。



 〇月×日 もう天気とかどうでもいい……


 昨日のむしゃくしゃを晴らすために例のあれをやってきました。

 ――そう、万引きです。

 

 ターゲットはアイテムショップです。

 我が深層を見抜く魔眼で分析したところアイテムショップには2種類の営業形態がありました。

 1つ目は薄利多売型。これは安くて需要が高い物を中心に取り扱う店ですね。

 ポーションや毒消草なんかが多いです。

 これは万引きのリスクに対してリターンが少ないので狙ってはいけません。


 2つ目はセレクト型。これは店長の目利きにかなった品物を中心に扱う店ですね。

 これはマジックアクセサリーや魔石、魔金属等、一風変わった希少な物を置いてある傾向が強いです。

 そして共通しているのは店の立地条件が大通りに面してないことが挙げられます。

 つまり、店内から出れさえすれば、道行く人に捕まえられる可能性が低いということです。

 これは万引きするリスクに対してリターンが多い案件です。

 

 私は万引きする時はセレクト型を狙います。

 そして、この街にたどり着いた日にしっかり目星はつけて置いたのですよ。フフフ。


 今回のターゲット、その店の名は『マナルー雑貨店』!

 今回ターゲットにした店はこじんまりしつつも中々のいい品が置いてある、知る人ぞ知る隠れ良店といったところです。

 いい品が置いてあるだけでターゲットにしたわけではありません。

 店番が耄碌してそうなババアだってところもポイントです。


 こじんまり、いい品、耄碌ババアの3点セットです。

 成功率は150%といったところでしょうか。

 失敗するビジョンが見えません。


 ――失敗しました。

 ミカリーナと私のポケットがパンパンになるまで商品を詰め込んで店を出ようとしたら、ババアが鬼ババアに豹変しました。

 どつかれ、叩かれ、魔法で滅多打ちにされ、「お前らの様なゴミくずは性根を叩きなおしてやる!」とか言われて、何故か弟子にされました。


 おかしい……。

 本来、師弟のシステムというのは弟子になりたい者が弟子入りさせてくださいとお願いして成り立つもののはずなのに、私とミカリーナは万引きしたら強制的に弟子入りさせられました。


 魔法をしこたま撃ち込まれて前歯がどっかにいってしまいました……。

 ミカリーナに治癒をお願いしたけど歯は戻って来ません。

 はあ……明日はポーション万引きしに行こう。



 〇月×日 晴れ時々鬼婆の雷

 

 もう嫌です。

 昼過ぎに起きて、そろそろポーションでも狩りに行こうかと思って宿を出たら、鬼ババアが宿の前に立っていました。

 気づいていないフリをしながら立ち去ろうとすると首根っこを掴まれ、ババアの店まで連れていかれました。

 ババアは私達に言いました「戦え」と。

 

 ヤドリギの棒を渡され、そのまま『夢魔の大森林』までひきづられました。

 『夢魔の大森林』とは人族の領土とエルフの国の境にある大森林なのですが、幻惑魔法を使ってくる魔物や植物を操る魔物が生息していて大変に危険な場所です。

 人族と森人族が争っていた時代でも、この大森林があったことで、人族は森人族に迂闊に手を出せなかったと言われているくらい危険な森です。

 

 ババアは言います「魔法使いは肉弾戦に弱い、だから戦え、そして生き残れ」と。

 森狼の群れに私とミカリーナは投げ込まれました。

 当然全力で逃げます、すると言うのです「私に殺されるか森狼に殺されるか選べ!」と。


 どこから出したのか大斧をもって私達を襲ってきました。

 前門には森狼の群れ、後門には鬼ババア。

 ――詰んだ。そう思いました。


 全力でヤドリギの棒を振り回して、森狼を撲殺しました。……1匹2匹と。

 私達は泣きました。許して欲しい! もう万引きから足を洗う! と。

 しかしババアは言います。「殺せ、殺せ、とにかく殺せ」と。

 日が暮れるまで森狼を撲殺しました。

 

 「もう嫌だ! おうち帰る」私達がそう言うとババアは私達に魔法を掛けました。

 『覗目(ピーピングアイ)』です。掛けられたものは術者に覗き見されるという魔法です。

 持続時間は術者の魔力に比例する……。

 ババアは言います「私の魔力は53万」と。

 『見破紙(ディテクトペーパー)』という特殊な紙に自身の魔力を流し込むと自分の精神力や魔力値が数字で表示されるのですが、53万って紙に入りきらないんじゃ……。

 流石に冗談だと思いますが、「100年ぐらい監視できるから逃げても無駄じゃ」と言って去っていきました。

 つまりは野宿しろと……。


 〇月×日 晴れ時々救いの手を求める涙の雨


 あれから2週間が経ちました。

 ババアは毎日きます。そして言います「殺せ、そして喰らえ」と。

 心なしか最近魔力が増えた気がします。

 魔法の方も以前よりまともな威力が出始めたような。

 ……どうやってヤドリギの杖で敵を撲殺するか考えることで知力が、精神的に追い込まれているから精神力が強くなったとか? そんな馬鹿な……。


 〇月×日 救いは無い

 

 2ヶ月ぐらい経ったのでしょうか。

 もう時間の感覚がありませんね。

 とにかく私達は生きるために森にある全てを食べています。

 オオカミ食べる。キツネ食べる。虫食べる。雑草食べる。ミカリーナ食べる。……食べる、食べる、食べる。


 〇月×日 そうだババア殺そう


 アヒャハヤヒャハもう嫌だこんな生活もう嫌だあああ

 ババアコロス、ワタシカエル、サケノム、ヤドトマル、ワタシシアワセ

 ババアが来た。いつも通りだ。

 「死ねやああああッ!」


 ――返り討ちにされました。

 返り討ちにされましたが……少し手傷を負わせることができました。

 ミカリーナと2対1で、ですが……。

 打ちのめされ仰向けで転がっていた私とミカリーナにババアは言いました。


 「そろそろ頃合いだね、次の段階だよ。学院へ入るのじゃ」


 何を言ってるんだこいつはと思いましたね。私達は打ち明けました。

 時間の感覚があいまいだからわからないけど、たぶん半年前位に試験を受けて落ちた、と。


 「ワタシャ、学院長じゃから大丈夫」


 ババアはついに頭まで逝かれたようです……元々か。

 


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