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僕は不死王じゃない!!  作者: ラノベゾンビ
第2章
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主従関係とは?

 ―リリア&ポチ サイド―


 ピチピチと跳ね回る魚を見て、リリアは巨大ネズミに気づかれないよう水路へ戻そうと近づく。

 すると巨大ネズミの尻尾がピクリと動いた。


 『ヴァモオオオッ』


 先程まで、一応『チューチュー』とネズミらしさを意識して泣き声をあげていた巨大ネズミだったが、最早ネズミらしさが欠片も感じられない泣き声でリリアへと襲い掛かった。


 『ガルルアッ』(危ない姉さんッ)


 巨大ネズミへとポチがリリアを守るようにして立ちふさがる。

 巨大ネズミの腰を掴み、巨大ネズミはポチの腰を掴み返す。まるで相撲を取っているような2匹。

 3mを超えるポチであったが巨大ネズミと比較すると一回り小さく見えた。


 『ガッルル!?』(力で俺が負ける!?)


 ズズズと徐々に後退させられていくポチ。

 熊系の魔物は総じてパワーファイターが多い。

 鬼熊であるポチも例に漏れずパワーファイターであった。

 「熊である自分がネズミに力負けするなんてありえねぇ」そう思いつつ、鬼の形相で踏ん張るポチ。

 しかし、健闘虚しく、投げ飛ばされてしまう。


 『ポチをいじめないでッ闇の(ダークムニカ)


 無数の紫色の腕が巨大ネズミに襲い掛かる。

 巨大ネズミの動きが鈍った。

 進化したことによって成長したリリアの精神力。

 それに比例して『闇の(ダークムニカ)』の威力も上昇していたが、完全に巨大ネズミの動きを止めきることはできない。

 徐々に鬼熊へと歩み寄っていく、巨大ネズミ。

 

 その様子を見てリリアは新たな魔法を詠唱する。

 進化することで得た、新たな力。

 リリアの前に紫色に輝く魔法陣が浮かび上がった。


 『悪魔召喚(デビルズゲート)――階級(クラス)子爵(ビスコンディ)


 魔法陣の輝きが増していく。

 リリアは更に魔力を魔法陣へと強く注ぎ込む。


 『闇妖精(ダークフェアリー)”シシ”』


 リリアがそう叫ぶと、魔法陣から黒い何かが飛び出した。

 魔法陣は輝きを失い、宙へと霧散していく。

 黒い何かはリリアの頭へと着地する。


 『プハー、久しぶりにこっち来たわ。で?何用?』


 リリアのフカフカの金髪からモゾモゾと小さな小さな女の子が現れた。

 黒い悪魔の羽に、黒い長髪、赤眼、頭部には2本のヤギの角。

 髪の色が金髪で、羽が無ければ、リリアの妹の様だ。


 「あのネズミを倒してッ!」


 リリアがシシへと命令すると、シシは紫色の手で雁字搦めにされている巨大ネズミを見てげんなりした。


 『嫌よ、気持ち悪い』


 圧倒的絶望感がリリアを襲う。

 初召喚した下僕に命令拒否をされて落ち込んでしまった。

 吹き飛ばされた衝撃でダウンしてしまった鬼熊を見て、リリアはひび割れた心に活を入れる。


 「そこをなんとかお願いできないでしょうか……」


 主従が逆転しているのではないか? と言いたくなるような言葉づかいでリリアは自分の下僕であるシシにお願いをする。


 「あー、めんどくさいわね……いいわ、とりあえず何か攻撃魔法をあのきもいネズミに放ちなさい」


 シシはめんどくさそうな顔でリリアへと命令する。

 「……はい。わかりました」と涙ぐみながらリリアは魔法を詠唱した。


 『黒水晶槍(ブラッククリスタルアルマ)!!』


 若干震えた声で詠唱したリリア。

 リリアの目の前には黒い水晶でできた槍が顕現した。

 その槍に向かってシシが手をかざすと槍の形状が変化していき、三叉矛(トライデント)になる。

 そして、巨大ネズミを一撃で貫いた。


 『ヴァッ、チュー……』


 最後ぐらいはネズミらしく逝きたいと思ったのだろう。

 若干間違えながらも、最後はネズミらしく? 逝った。


 無事巨大ネズミを倒したリリアは「ふぅ」と安堵のため息をつく。

 うずくまっているポチにタナカから非常用にと渡されていた『腐食剤』を振りかけた。

 ジュウゥーと何かが溶かされているような音を立てながらポチは復活した。


 『ガルル』(姉さんどうもっす)


 お礼を泣き声で伝えるポチ。

 何となく伝わったのだろう、リリアは「気にしないで」とポチに微笑む。

 そして、頭の上に乗っている下僕へ帰還命令を出した。


 「いやよっ! 久しぶりにこっちに来たんだからもう少し観光したいわッ!」

 

 「でも……魔力消費しちゃうから」

 

 「ぶっ倒れるまで頑張りなさい」


 「…………」


 ピンチを救ってもらった手前、あまり強く出れないリリア。

 「私、召喚主なのに……グスッ」と若干涙ぐみながら、巨大ネズミが出てきた通路へと入っていくのであった。


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