3.最強と貧弱と幼女?
何か思い出した様に間抜けな声を上げるバルンだが直ぐに真顔になり、少しはにかみながら
「やっぱり誰でしょうかぁ...?いくら記憶を辿っても会った覚えなんてないんですがぁ...。」
ハクは不思議に思った。だってこんなにキャラの濃いバルンを見間違えたりする筈がないからだ。
ハクはおそるおそる異形の翼を名乗った男に質問をしてみた。
「あのぉ...あなたがお会いしたひ...死神って本当にこのバルンなんですか?」
男はしばらく考え込んでからハクの方を向き「大丈夫!こんなに個性の強い人を忘れるなんて不可能だから!!」と、断言して、歯を見せて笑った。
その姿は俗に言う美形というものだろう。そういうものに疎いハクには関係がない事だが...。
「あのですねぇ...大変申し訳ないんですがお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか??......それがきっかけで何か思い出せるかもしれませんし...。」
「前は初対面の時からタメ口だったからな、今の方に違和感を感じるな!、てな事は置いておいて名前だっけか?俺の名前はし..........」
言い切る寸前だった。
突如爆音が響き渡り辺り一面に煙が撒かれる。
最早視界は機能していない。
初めはバルンの脳の許容量がオーバーしたのかと思ったがそんな漫画みたいな展開があってたまるかと否定する、否定して笑ってしまう。それはとてもありえそうだったから。
「なんだ!!!!???」
男の声が響く。
「ふぁっっっ!!!!!!!なんて状況ですか!!!??これ!??得体の知れないあなたの仕業ですか!!!!!!????最初っからアヤシイと思ってましたよ!!!私の知り合いのふりをしてる............」
「うるせぇ」
男の冷めた声でバルンは電源が切れたかの様に黙り込んだ。
「ねえ、今どうなっているの?」
ハクは男を刺激しない様に言葉を選んで発した。
「わからん、視界が潰されたのは確かだし。俺たちが生きているのも確かだ。それはきっといつまで経っても......。」
なんかかっこいい事を言っていたっぽいが正直聞いていなかった。
「どっかに出口みたいのはないの?」
「ある事にはあるがこれを行った奴らが待ち伏せしているかもしれない...慎重に動かなくては.............気づいたら死。みたいな事になりかねない。だから暫くここで待機だ。死神はよっぽどの事がない限り死なない、既に一回死んでいるしな!」
煙で男の顔は見れないが多分自分で言った言葉に自分で笑っているんだろうな。と想像出来た。
今まで出会った死神...まぁ二人なんだがどちらともおめでたい頭をしているもんだ。
ハクはため息をついた。
すると二発目の爆音が鼓膜を揺らした。
思わず耳を手で塞ぐと、刹那男の声が鳴り響いた。
「おい!!!!!バルン!!!!!!!後ろだ!!!!!!」
「ほえっ!?」
間抜けな声の後すぐに「うわっ!」と声を上げた。
さっきからの出来事で正直パニックになっていたハクの頭は更にこんがらがった。
そんな時だった煙の中に赤い光が現れて......ハクは何かに手を引かれた。
そしてその手の主...あの男はこう言った...。
「俺の名前はシヴァル...防衛科の団長だ。ここに居たら危険という判断のもとお前と人間界へ飛ぶ。それと.......バルンを助けるために...。」
そういう彼の眼は真っ赤だった。
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「おいっ!バスク!!今何時だ!?」
「はいっ!!!ただいま5時59分です!!!定時まで残り1分を切りました!!」
「おーけい!!!!!帰る支度をしろ!!!!全員定時とともに帰宅だ!!!」
はいっ!!!!というたくさんの死神たちの声で1日の仕事を締めくくる。
しかし、仕事と言ってもここ最近人間界との関係が良好なのかなんなのか防衛科に仕事は来なくなっていた。まぁそんなにたくさん仕事が来ても万々歳とはいかないのだからいいのだが...。
でもまぁ、戦いが無けりゃないで給料泥棒とか言われるのが眼に見えているのでやっぱり仕事は欲しいものだが...。なんてシヴァルは考えていた。
気がつけば定時から1分を過ぎていてみんな帰宅していた。
上司に声を掛けないで帰るなんて白状な部下だなぁ、と思ったりしたが別にいいか。と見切りをつけて一人無駄に重い黒い扉を押して開ける。
その時だった、たまたまバーで知り合った口うるさいあの男...バルンに再開したのは。
誤字があったらすいません。。。




