2.ダメダメな死神
「いやぁ!!それにしても新しい死神が死神界に来るのは久しぶりだなぁ!!」
「そうなの??たくさんの人が毎日死んでるって聞いたよ?」
「いやいや、誰だって死神になれるとは限らないんだよ!!選ばれるのはごくごくごくごく一部!!特別なの!!!!」
「ふぅん」
煮え切らないバルンの発言だった。
わたしなんてただの人だったし...死に方も死に方だったし........。
あれっ。死に方って?何でわたしは死んだんだっけ........。
わからない、思い出せない、頭が痛い、胸が苦しい、呼吸が乱れる。
一体、一体、一体、一体、、、「わたしは誰?」
おきまりの文書だった。
「おおおおおおおおいいいいい!!!!!だーーーいじょーーーぶかーーーーい!!」
妙に間延びしたその声で意識が覚醒する。
手を開いたり閉じたりしてみる。
大丈夫.........わたしはいる。
「大丈夫!!ありがとう!!」
「う、うううん!!!うん!!なら良かった!!なんか急に元気になったね...!!」
あははと笑で応じた。
今、ハクとバルンは死神界の中心部にある建物に来ている。
外見は真っ黒で、窓ガラスは真っ赤。
魔王の城とかを思い浮かべてしまう。
うへぇ、と思わず声を出してしまうほど気色が悪く、不気味で、できることなら避けたいほどのものだった。
中に入ると赤い絨毯が敷かれていて。
真っ黒な、ワンピースの丈がすごく長い版みたいなのにフードを被っている。
そういうハクも同じ格好なんだが。。。
漂う負のオーラとでも言うのだろうか、それが、もう、すごい。
気を抜いたら狂ってしまいそうだ。
階段を上って、上って、上って、上って、いくと...とある階についた。
「さぁ!この階だよぉ!!!」
いつの間にかテンションが上がりまくってるバルン。
幼い女の子を連れてテンションが上がりまくる男.........絵面的に最悪だ。本人は全く気付いてないが.....。
果たして死神にもそういう性癖の持ち主がいるのだろうか?人間限定なのだろうか?どちらにしても後者を強く望むハクだった。
赤い絨毯を二人歩き、黒い大きな扉の前で立ち止まる。
「着いたよぉ!!!!!ここが!!!防衛科だ!!!」
「なんか......嬉しそうだね...あはは」
「そりゃあそうだよ!!!ここに来るの初めてだしぃ?やっぱ人間脳が残っている身としては嬉しくなっちゃうぅ??!!!!」
「初めて??もう何年も死神界に来てから経つんでしょ?」
「うん!!!そうだよ!!!でも今まで担当してきた人達全員『他殺科』なんだよねぇ...」
「ふぅん」
信じ難いなぁ...。なんて思ってると、バルンが黒い扉をノックもせずに開け始め.................。
「ねぇ...バルン。その扉開かないの?」
「い、いやぁ...まさか......私の筋力が足りないなんて........そんな...訳...ない、じゃん??」
「誰か来るまで前で待ってようか」
「うん...。」
貧弱バルンは扉すら開けられない雑魚キャラだった。
それは幼いハクにとって一笑に伏してしまうほどだ。
「ごめんねぇ...」
明らかにテンションが下がりまくっているバルンは白い灰のよう.........なんてことはない。
死神って心も体も弱いのだろうか。
「そういえば...なんでハクちゃんはそんな小さいのに多くの事を考えられるの?いや、なんでそんな言葉が出てくるの?」
「わかんない.........物心ついた時からある程度のものはすぐに覚えられたし....だから...」
ハクはこの後で続くはずであった言葉を飲み込んだ。
それは、耐え難いほどハクにとって辛いものだった。
「いいね、ハクちゃんって.........私は...........人間だった時...とても辛かった...。だから通り魔に刺された時少し安堵してたんだ...............ようやくこの世界から解放されるって。とっても充足感があったのを覚えている....................................あっ!!でも!!今はとっっっっても幸せだよ!!!!!ハクちゃんに出会えたから!!!!!!!」
ハクの悲しそうな顔に気付いたのか、すぐにいつものテンションに戻すがそれと最後の2行くらいで一気にハクは不安になった。
やっぱり俗に言うロリコンってやつなのだろうか...死神.........気持ち悪い。
「バルンって馬鹿だね」
「なんで急に!!??てかなんで笑顔??謎!!!恐ろしい子!!!魔女かい!!!」
少しからかってみたら不服な答えが返ってきた。
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数時間が経った。
現未だにダメダメな死神二人は仲良く座っている。
バルンはハクを飽きさせないように必死にハイテンションで騒ぎ立てていたが、疲れきったのか永眠する勢いで爆睡している。いびきが五月蝿い。
「まさか、これだけ待って誰も来ないなんて...。」
もう誰も来ないなんて思ったその時だった!
なんて展開がないだろうか?ないだろうな。
今日はもう限界だ.........。
ハクはバルンにもう帰ろうと言おうとして顔を上げた.........その時。
あんなにも強固に閉ざしてあった黒い大きな扉が音もなく、滑るように、早くも、遅くもないそんな速度で開き.........。
例の黒い衣装に身を包んだ死神達が一斉に飛び出してきた。
あっと驚くが声にならない。
この瞬間を待ちわびていた筈なのに...。
固まるハクと爆睡バルンどちらも見えていないのか死神達は静かに歩いていく.........いや、結構騒がしい。
いやいやコントじゃないんだから話しかけないと、何時間も待ったんだし...でも.........怖いなぁ...。
結局は小心者なのだ。
「ううん.......おふぁよぉう。。。防衛科は来たのかいぃ??」
「あっ!バルン!!起きた!?出てきたよ!!たくさん!!」
「ふぅん...沢山ねぇ....................................たくさん!!!!!!!!!!!!!!??????」
「ほらっ!!あっ!!!もう、みんな出て行っちゃったよ!!!!」
「ほえっ!!??本当かい!!!???ああああ!!!!!もうどうしよう!!!!」
「もうっ!!!バルンが寝てるから!!」
「いやいや...本当にごめんって!!でも起きてたのになんで声掛けなかったのよぅ!!!!」
「??バルンか???」
「「!!!!???」」
急に知らない声が混じって二人とも固まるが、呼ばれた名前がバルンだったのを思い出してひょっとしてバルンの知り合いかもと期待を抱いた。
「あのぅ...誰ですかねぇ??私...防衛科に知り合いいないんですけどぉ.......。」
「!!!!お前ばかか??いるだろう?一人。異形の翼の名を持つ奴が...俺が......一人!」
「あぁっ!!!!!!!!!!」




