〜開幕〜ハク
よろしくお願いします!!
だるいくらいに暑い日々がようやく終わり、季節は秋を感じさせないまま冬へと向かっていた。
ハロウィンやらクリスマスやらで人々が浮かれ始める頃。
そんな日だった。
彼女はまだ小さい。
でも小学生くらいだった。
今日は母親とマフラーを買いに来ていた。
それだけで終わるこの日のはずだった。
買ってもらったばかりのマフラーを首に巻き、母親と手をつないで歩道を歩いてる。
見ていて微笑ましい光景だ。
その時、少女は歩道を歩く多くの人の中に紛れて光る白いものを見つけた。
少女は本能の赴くがままに、母親の手を振りほどき、注意の声を無視して『それ』目掛けて走り出した。
もう母親の目からは離れてしまっていた。
少女は逃げる光を追う。
「はぁ、はぁ、もう!待ってよう!!」
少女は走るが追いつけない。
少し休んで周りをゆっくりと見渡す。
すると彼女は母親の姿がないことに気付く。
「あれっ?おかぁさん?おかぁさんは???」
急に少女の心に心細さがあふれ出した。
母親の手をつながずに見る世界など、少女にとって地獄でしかなかった。
泣き出しそうになる、でも泣くのが怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。
愛情のこもった母親の手が握りたい。
少女は母親を探す。探す。探す。探す...。
しばらくその場から動けなかった少女の目に懐かしい、追い求めた人の姿を捉えた。
「おかぁさん!!!!!」
少女は走り出す。もう、周りなど少女には見えていなかった。ただ、ただ、あの人の所に行くことだけが自分の使命だった。
少女は反対の歩道にいた母親の姿に向かって横断歩道へと足を踏み出し......
「危ない!!!!!!!!!!!!!!だめ!!!!!!!!!」
聞いたことあるような声だ。誰だろう。でも、先に渡っておかぁさんに会わなきゃ!!
赤信号だった。
少女の体は黒い物体にぶち当たり、赤を撒き散らし、白い顔で、何色ですらわからない車道に打ち付けられた。誰かが叫んでた......................................。
少女は消えた。
その時向こう側にいたはずの母親の姿は音を立てずに白い光へと変化した。
そして
「任務完了」
とつぶやいた。
それを聞いたものは誰もいなかった。
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あれ?瞼が妙に重い。
いつもはパッと起きれるのに...。
なんでだろう。
まぁいいや。起きれたんだし。
そしてゆっくりと瞼を開いて...。
.........。
「真っ白」
いつもは色とりどりに輝く世界が今日は真っ白だった。
「ここは........どこ??」
「目が覚めたようだね」
!!!!!「えっ!」
「うんうん、そう、そうだよ、みんな、みんな、さーいしょはおどろくんだよねぇ」
「ええええ、ええええ、ええ、えええ...........」
「思考停止か...めんどくさい。まぁいいやこの際なんにも言われないうちに仕事を終わらせてしまおう」
『それ』はやけに意地悪な笑みを浮かべている。
わたしは『それ』に見覚えがあった。
「申し遅れました!私の名はバルン。死神勧誘科を務めています!以後よろしく!早く同業者になれるといいですねぇ!!!」
また笑った。
それは白い光を放っているみたいで...。
「それはそうと、ここについての説明がまだでしたね!!ここは...死神界と呼ばれる場所でございます!!一般に死神とは命を刈る者達として記憶しているでしょうが...まぁ大まかな部分はそれで結構です!!それで、死神にはそれぞれ仕事?役割?が与えられていて...。まず私のように死んだ人間にもう一度死神としてやり直す権利を与える『勧誘科』。そしてあなたが死んだ理由でもある『交通事故科』。あとはここ最近目立ってきた我々死神を拒む人間の武装集団...神の権利を持った半端物と戦う『防衛科』。あとは殺人事件を管理する『他殺科』。あとは『焼死科』とか『自殺科』とか色々ですねぇ!!まぁ自分じゃ決めらんないんですけどねーー!!死神契約したらその科に応じたものが貰えるんですよ!!!おわかりですかい!!??」
バルンは話す内に気がよくなっていくタイプの死神なのだろうか。
正直めんどくさいし、対応に困る。
「う、うん。半分くらいよくわかんないけど。それで、わたしはどうすればいいの??」
「それは死神契約をして死神になるか、拒否して何もない死の世界に行くか。客観的に見たらどっちがいいかなんて一目瞭然っしょ!!!さぁ!!!!!どうする!!!???」
「わたし.........死神............やってみる...。」
「うんうん、せっかくやるんだから後で笑えなくなってもいいように今笑っとこうよ!!」
「それ...結構やる気削がれる発言だよね?」
「おおっと!!失礼!!私も同業者の方に無礼を運ぶのは気が引けますから!!さぁこの紙の真ん中に手を置いて!!!」
そこには複雑な魔方陣?が描かれていた。
「ここで...いいの??」
「はぁい!!そのまま今から私が言う言葉を復唱してねぇ!!!」
「う...うん」
「いくよ!われこの印と血を捧げ」
「われ、この印と血を捧げ」
「偉大なる神の掌に」
「い、偉大なる神の掌に!」
「永久的な死神契約を結ぶことを誓う」
「えいき、永久てきな死神契約をむ、結ぶことを誓う!!」
紫の光が魔方陣から溢れて二人を包む。
視界がなくなり。
聴覚もなくなり。
何もかもが消えた。
『おまえはその純粋な血を邪なる我、もとい死神に捧げるのか?』
太いしっかりとした威圧感が漂う声がした。
このまま拒否すれば怖い思いをしなくて済むかもしれない.........でも。
何もない世界に一人なんて耐えきれない。
この世界で生きてみたい!
「死神でもなんでもやってやる!!わたしが存在していられるのなら!!!!」
そうだ!!なんだってやってやる!それがわたしのこの世界に生きる理由だ。
『ならばおまえは証明してみろ、この世界で生きているのだ。とな』
声と無が消えた。
再び白い世界に戻ってきたはずだった。
目を開けて最初に飛び込んできたのは...色のある世界だった。
「さぁ!!改めましてようこそ!!!!本当の死神界へ!!!」
わたしの第二の人生?が始まる。今度は絶対に生き抜いてやる。
そんな少女の記憶は大事な部分から抜け出していて。
本当に0からのスタートなのだろう。
そして.......
「防衛科所属!名前は『ハク』!!よろしくお願いします!!!!!」
手には大きな鎌があり、そして失くした記憶の代わりにインプットされた自分の情報を言う。
これが、わたしであり。
これがわたしの世界だ。
そして第二の人生は死神界で幕を開けた。
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「200年間誰も入ってこなかった、防衛科に今度新人が来るらしいぜ...。」
「まじかよ、200年だぜ相当優秀なんだろうなぁ」
「まさか!すぐに死んじゃって死世界にいくって!!」
「で、あんたはどう思ってんだ??死神界最強の男........ガノンさんよう!!!」
ガノンと呼ばれた男は酒の入ったグラスを傾けて言った。
「使えなきゃすぐに死ぬだろ?」
ちげぇねえ!!と誰かが言って場は笑に包まれた。
ハクの知らないところでまだハクを知らない人達に話題にされているとは決してハクは知り得ないだろう。
読んでくださりありがとうございます!!
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