アーマーリングを左手に。 後日談・4 「十日夜月の日常。」
ものすごーく久しぶりの続きです。
一応、今回で完結・・・じゃないですね。
やっぱりスピンオフ作品を無限に作れる。これですね。(笑)
まだまだキャラクターを動かしたりないので。
今回はマッドサイエンティスト・十夜さんのありきたりな日常・・がありきたりじゃなくなってきたお話です。よろしければ、ご堪能ください。
『ライラ計画』、最初の(成功例)。
本来なら『十日夜月』と呼ばれるはずだった彼女は
とある事情で『十夜』と名乗っている。
そんな彼女ははっきりいってミステリアスな女性だ。
・・・とでも言えば妥当だろうか?
さらにはっきり言うのなら彼女は自他ともに認めるマッドサイエンティスト、である。
が、
彼女の日常はとても平凡なものだ。
まず、彼女はめったな事では姿を見せない。
基本研究室(?)に閉じこもって(何か)をしている。
何をしているのか・・(それ)を知る人物はおそらく本人だけだろう。
まつり先生の開業した非合法医療機関、いわゆるわけあり闇医者とでも言えばだいたい正解の
見た目はただの雑居ビル。
けれど侮るなかれ。
地下にはどれほどの空間があるかを知っているのもまた、彼女だけだ。
『十夜』はミステリアスでいて・・とても美人な女性だ。
まっすぐな黒髪。
抜群のスタイルに年中黒のキャミソール。
・・の上になぜか白衣を羽織っている。
いつも加えている煙草はたまに煙が立ち上っていたり、いなかったり。
それはなぜかと聞いたところ気分によってただのシガレットチョコだったりするらしい。
(単に口さみしいだけかもしれない。)
常時、フチのない眼鏡をかけているが視力は悪くない。
伊達かと聞いたところ「知りたい?」と返されたので二度とふれないことにした。
もう一度言う。
二度と聞かない。
今朝、珍しい光景を目にした。
十夜が外にいる。
燦燦と照りつける朝日を全身に浴びながら笑顔でスズメに餌を・・・
待て。
ちょっと待て。
訂正する。
・・・あれ、スズメじゃなくね?
あたしの目に映る光景はとても爽やかな光景だ。
朝日を浴びながら微笑む黒髪美人。
自分のまいた餌をついばむ鳥・・鳥?をほほえましく見つめては声をかけたりしている。
・・・・・その鳥が通常の何百倍はあろうかというサイズのスズメに見えるだけだ。
通常のスズメのサイズを忘れかけるが、少なくとも(今)十夜が餌をあげている(スズメ)は、
ダチョウくらいの大きさのが5羽ほど。
「ちょーぉっとまったぁー!!!」
思わず全速力で部屋を飛び出ると十夜の元へと駆けつけた。
「あら。おそようサーティーン、もう昼よ。」
ちなみに、十夜はあたしのことを『サーティーン』と呼ぶ。
理由はタロットの『死神』が『13』だから、とか今はどうでもいい。
「十夜・・・」
「なに?」
嗚呼。言いたくない、聞きたくない!!
「・・・・・それ・・・なに?」
その一言を言えた自分をだれか褒めて。
「スズメよ。見ればわかるでしょ。」
違う。
それは断じてスズメとは呼ばないし呼んではいけない。
この世に存在する全てのスズメに失礼だ。
とか思ったが声に出すことはできなかった。
・・・・・彼女の手に朝日に照らされてキラキラ輝く『メス』があったから。
ちなみに手術とかそういうのに使う『メス』である。
切れ味抜群なのは、実はみんな知っている。
「ほーら。お食べー。」
ばさぁ。
どさぁ。
がががががががががががががががががががっっっ。
嫌あぁぁぁー!!
ちなみに前記の擬音は十夜のもつ大きな風呂敷から大量のおからのようなものが振りまかれ、
それをダチョウのような大きさの『スズメ』が烈火のごとく食らいつく音である。
「いやぁ・・爽やかな朝はこうでないとねー。」
一瞬で爽やかな朝が風神雷神図みたいになりましたが!!?
このマッドサイエンティストはこうやって鳥に餌をやるのが趣味なのだそうだ。
「特製」の餌をやるのが。
「十夜」の「特製」の餌を。
こうやって十夜は自分の手駒を増やし・・
自分の育てた鳥たちの健やかな成長を喜ぶのだ。
彼女はつね日ごろ、自分の研究室から出てこない。
研究室を訪ねる度たび、彼女の部屋から聞こえてきた『声』は『怪鳥音』がおおむね正解であると知ったのはごく最近で。
そして、彼女の最近の「楽しみ」がある。
それは・・・たまに訪ねてくる自分の妹たちを『歓迎』することだったりする。
大事なことなのでもう一度言う。
「十夜」の妹への愛情がつまりに詰まった熱烈『歓迎』だ。
あたしたちには『妹』がいる。
最初の『成功例』である十夜にとってはあたしもふくめて全員が『妹』なのだが。
とくに可愛がっているのは『双子の成功例』たち。
シンクロする反応が可愛いのだそうだが・・・がんばれとしか言いようがない。
十三夜月のおつかいでちょくちょくあたしやまつり先生を訪ねてくる『十六夜』と『小望月』。
この二人が可愛くて仕方がないらしい。
「嫌だ。」「頼むから勘弁してくれ。」という二人を研究室に引きずり込む姿を度々見かけるのだが。
・・・あんなにも嬉しそうに生き生きとスキンシップをとる姉妹の邪魔をしてはいけないだろう。
いけないったらいけない。
無理だって。
本当に無理だってば。
・・・・・というメールが『妹』の『三日月』から送られてくるので、
おつかいを頼むたびにぼろぼろになって「もう二度と行かない。」と返ってくる双子をなだめる方法が思いつかない。
『十三夜月』は携帯電話を片手にため息をつくしかないのだ。
自分が・・『三日月』の元に行くのはいささか抵抗がある。
あのまつりとか言う『先生』に研究の内容やら自分たちの健康維持やらを頼む必要がある。
その上、『妹』の『三日月』はいまだに「自分が姉だ。」と主張する手のかかる妹だ。
服のセンスなどにはあまり心配などする必要はないが
いかんせん、既製服ばかりを着せるなど自分の矜持が許さない。
それに日用品なども意外に生活するにいたって必要なことも理解が及んできた。
だから妹たちに箱に詰めた『必需品』を部屋の前に置いてこさせる。
その「おつかい」の度に、己の妹たちは手厚い『歓迎』を受けるらしい。
・・・自分も何度かその『歓迎』を受けたのでできれば御免こうむりたい・・ので、双子の妹に頼むのだが。
さすがに夜中に「鳥があぁぁ~・・・。」とうなされる妹たちを目撃するのはきつい。
そろそろ万策尽きてきたころ、妙案を思いついた。
「十六夜」と「小望月」に新しく妹ができた。
「桃色」と「水色」の二人。
この子たちも双子の『月』であるが・・・とある事情により少しエキセントリックな妹である。
まだ年のころは人間でいうところのみっつかよっつほどの見た目であるがその知能は計り知れない。
自分と三日月、十六夜と小望月は身体能力の強化及び戦闘能力の特化処置がほどこされているが、
桃色と水色の二人はおそらく脳の処理スピード及び活動の活性処置がほどこされている。
さらに詳しく言うなら「演算能力の強化」及び「演算能力の特化」の処置だそうだ。
おそらくというのも本人たちの言語能力がいちじるしく偏っているため、いまだ確認がとれていないからだ。
目には目を、歯には歯を。
毒を喰らわば皿までともいうので試してみることにした。
ずるっ。ずるっ。
『何か』を引きずる音は地下室によく響いた。
ここを訪れる人物など限られている。
「・・・サーティーン?・・・・・」
扉を開いて外に首だけのぞかせてみれば。
・・・見覚えのある水色と桃色の小さな瞳。
ひらひらふわふわした・・えらく動きにくい服を着て・・
何故かやたら大きな段ボールの箱を運んでいる。しかも自分の部屋の前に。
ここ地下なんだけど。途中で階段とかあったでしょ?というかそのつりあいのとれてない大きさは何?
え~と。あれだ。ほら。
「あの・・・・・久しぶり・・・ね?」
無言。
いやいやいや。
待って。キミたちちゃんと喋れるでしょ。誰が最終調整したと思ってるの。
知能レベルだっていくらかは解析済み・・・
『十夜お姉さま。』
「はいっ!?」
みごとなハモり具合。さすがは双子。まーべらす。
って待て。待て待て。落ち着け、自分。
大丈夫だ。安心しろ。この子たちはサーティーンたちの妹にあたる存在なワケであって
贔屓目に見れば自分の妹でもあるハズだ。というか。
「さっきから・・なに、してるの?」
おそらくはおつかい的なアレだろう。
そうに決まっている。そうに違いない。
「届けにきた。」
「持ってきた。」
『お姉さまの欲しいモノ。』
「は?なにが?」
自分でも頭の悪そうな答え方だと思ってるわよ?自覚はある。うん。
なぜ交互にしゃべるのか?・・・そこらあたりを質問すべきか?
かさかさとフリルをかき分け、水色の方がなにやら紙っぽいものを取り出した。
『サイン下さい。』
すごく律儀にサイン求められた!?
「ご丁寧にどうも・・・。」
『お姉さま』とやらのどれかに言われたのか?
渡された書類(?)に言われた通りサインをしようとよくよく見れば。
『契約書
汝、契約を欲する者か。
YES・NO
契約者の氏名』
とやたら古風なフォントで書いてある。
なんのサインを求められているのやら。しかも明らかに手書きっぽいところがなんともコメントしずらい。
『サインもらえるまでここにいる。』
いないでくれるかな。
「鳥が見たい。」
「大きいの。」
「黒いの。」
「スズメも見たい。」
要件、むしろそっち?
「いや・・見たいなら見ていって構わないけど・・・。」
次の日。もはや何時か分からない頃。
このやりとりを・・・・・私は心底、後悔する。
嘘でもいいからさっさとサインして帰らせればよかった!!
という考えすら二人が帰った後、数時間してから考え直した。
二人が運んできてそのままだった段ボール。
中にはぎっしり藁人形。
いや。たしかに「この子たち」の餌として藁とおからを頼んだけれど・・・なんで藁人形の形に固めた?
というか・・・
「私はなんのサインを求められてたの?」
これらが全て・・・可愛い妹たちが結託しての報復だったと聞いたとき。
未来の私はどんな答えを出したのか。
考えずともわかると思う。
もうほんと。・・・・・可愛い妹がいるのは困る。
「十日夜月の日常。」でしたっ!
十夜さんはわりとビジュアルから性格が判明してきた感じの方ですね。
十夜さんにはモデルの方がいまして。
本人にマッドサイエンティスト的な。と伝えたところたしかウケたと思う。(あやふや。)
黒のキャミソールに白衣、そこに足すならもはやくわえタバコと眼鏡とメスだろう!!な勢いでした。
自分のナイスボディ(笑)には全く興味ないなぁ、でも自覚はある人です。
・・・十三夜月ちゃんは彼女に勝てる気がしないようですがエキソントリック電波双子とともに
これから頑張っていってください。
ちらっと思うのは片目と十夜さん、どっちが強いでしょうね。勝ち負けでなしに。(爆笑)
個人的にそこのところ気になります!
ありがとうございます!
では!!




