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うんこ
うんこは、うんこである。
ただ道端に落ちている。
誰から産まれたのかももう今となってはわからない。
捨てられているのである。
うんこはだんだんと体温をなくしていった。
「ぼくはここで死ぬのだろうか?」
泣きわめくでもなく、ただ運命を受け入れているうんこに奇跡が起きた。
フンコロガシがやって来て、彼を転がしはじめた。
うんしょ、うんしょ、という、声もなく、フンコロガシは彼を転がして行った。
「どこへ連れて行ってくれるの?」
うんこが聞いても、フンコロガシは真面目にひたすらに、彼を転がして行った。
海が見えて来た。
キラキラと熱い光を浮かべる海へ、フンコロガシはうんこを転がして行った。
「なんか懐かしい感じがする」
転がされながら、うんこは呟いた。
「ぼくはあそこから産まれて来たのかも」
ずん、と踏み潰された。
こむはうんこを踏み潰すと顔をしかめ、自分の足裏を見つめた。
「あっ。うんこ踏んじゃったよ、きったねー!」
海はキラキラと、2人の到着を待ち続けていた。




