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うんこ
「ねぇ、ぼくは誰のうんこなの?」
悲しい声で、うんこは聞いた。
聞かれたのはたった今うんこを産んだばかりの、35歳の男だった。
男は疲れていた。
疲れている時には普段聞こえないものが聞こえる。
普段は見えないものが見える。
男の前に、緑色の長い髪をツインテールにした、少女が立っていた。
「君は、誰?」
男は聞いた。
「あなたは魔法が使えるようになりました」
少女は微笑むと、言った。
「35歳までよく童貞を守り通しましたね」
男は、泣いた。
ようやく報われる時が来たのだ。
別に守りたくて守って来た童貞ではなかったが、今はそんなことなどどうでもよかった。
少女の胸に抱かれ、男は笑った。
陶酔していた。
うんこを流すことも忘れて。
「よかったね、父さん」
うんこは上を見上げて、立派な父の太鼓腹と、控えめな少女の微乳が重なり合うのを見つめながら、泣きながら微笑んでいた。
男は妄想から目が覚めて、トイレを出て行った。
うんこは頭に紙を落とされて、水に流されながら、叫んだ。
「うそつき! ぼくは父さんのこどもじゃなかったの!?」




