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大五郎
大五郎は危機的状況に陥っていた。
誰もいないのである。
幽霊の出そうな森の中にいながら、そこには何の動物も、どんな虫も、そしてなんと幽霊さえいなかったのである。
「けふん、けふん」と咳をしても誰もいなかった。
「俺様は天才だにゃん」と自慢をしても誰もいなかった。
「誰かいないのかにゃん?」と問いかけた時、ようやく自分が世界に1人きりだと気づいた。
「ふにゃーっ!?」と今さら慌てても誰もいなかった。
すねて見せても、誰も見てくれる者はなかった。
15年前からここには誰もいなかった。
ちなみに大五郎は今、3歳である。
誰もいないのをいいことに、大五郎はみんなの悪口を言いはじめた。
「ひょひはんはブスでバケモノで年増にゃん」
ちょうどそこへ部屋の扉を開けてひょひはんが入って来た。
「大五郎ちゃん、ごはんよー」
「まぼろしだにゃん」
大五郎は無視して悪口を続けた。
「こむにゃんはデブでマヌケで何の動物なのかはっきりしない……」
「ごはんだっての」
ひょひはんは頬を膨らませてムッとした。
「コラは尖りすぎてて気持ち悪いだにゃん」
大五郎は意地になった。
「勘三郎は誰だったかにゃん」
「で、あたしは?」
「ブスで年増でバケモノだにゃん」
月まで飛んだ。
月には月面人がいた。
「ようこそいらっしゃい」




