アカイ・ソラ
ソラは森に迷い込んだ。
ソラは人間なので森がこわい。
赤い頭巾で頭を守って、パン屑を少しずつ落としながら歩く。
森の中でこむと出会った。
ソラは思わず悲鳴を上げた。
「きゃっ!?」
「失礼な」
こむは瞬く間に不機嫌になった。
「あなたは……何?」
「そこはあなたは『誰?』と聞くべきだ」
こむはさらに不機嫌さを増した。
「あ……あなたの手足はどうしてそんなに短いの?」
「自慢か」
こむの不機嫌はMAXに達した。
哺乳類特有の表情を浮かべてソラを威嚇する。
「わっ……私を食べないで……!」
どうして自分は銃を持ってないのだろう。どうしてナイフさえ持って来なかったのだろう。ソラは後悔した。
これからピクニックには武器を持って行くべきだとも学習した。
「まぁ、楽しみなはれ」
こむは相好を崩すと、京都弁で言った。
「楽しむ? 何を?」
ソラは落ちていた木の棒を振り上げながら聞いた。
「森を」
「森で楽しむには何をすればいいの?」
ソラは木の棒を振り下ろすと、聞いた。
「少なくともこ、こういうことでは……ない……」
こむは頭から血をどくどくと流しながら、倒れたまま言った。
ソラは木の棒を投げ捨てると、逃げ出しながら、叫んだ。
「私の名前はアカイ・ソラ。この世界のヒロインよ! I am God's Child! こんなことをするために生まれたんじゃない!」
おまわりさんがやって来た。名前はぴんだ。
こむの血を指ですくい、ぺろりと舐めると、ソラの後ろ姿を睨んだ。
「あいつ……許せない。ぼくより可愛いものは逮捕する」




