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うんこ
トイレの便器にうんこが出た。
初めて見るトイレの便器の中の世界にうんこは目を疑った。
自分は森にいたはずだ。
ここは天国なのか。
ここが天国という場所なのか。
あたりは黄身がかった白一色で、綺麗な水にうんこは浸っていた。
思い出した。
自分は前世では、うさぎだった。
前世までしか覚えてないが。
前前前世は覚えてないが。
うさぎだった自分を、茂吉さんが食べたのだ。
その茂吉さんを、すぐに熊が食べたのだ。
その熊をマタギが狩って、熊鍋にして食べたのだ。
そのマタギが殺されて、人間の女性に食べられたのだ。
そしてその女性が、ここで自分を出したのだ。
「うーん、スッキリした」と、頭上で声がした。
見上げると、ちんこのついていないでっかいお尻が自分を見下ろしていた。
「ママ……」と、産まれて初めて目にしたそのお尻をうんこはママだと認識した。
しかしすぐに轟音が鳴り響き、激しい水の流れに乗って、うんこは新たな旅へと出発した。
「ママ!」と、泣き叫ぶ声を残して。




