コムチャン森連続殺人事件
コムチャン森に飛行機が墜落した。
乗客98人は全員死亡。
全員死んでしまったのだから殺人事件など起きるはずもなかった。
しかしそれは起こったのだ。
「犯人はこの中にいます」
杉下右京の声で、いけさんが言った。
キツネもタヌキも首をぶんぶんと横に振りまくった。
野良犬も猫も、イタチもカラスも、肉を食べる動物たちが一斉に首をぶんぶんと横に振りまくった。
「少なくとも飛行機が墜落した時、乗客は全員死んでいました」
いけさんは淡々と言った。
「彼らは全員無駄死にするはずだった。あ、バクテリアさんや蟲さんたちには悪いですが、何の意味もなく、ただ分解されて、ただ死ぬだけのはずだったのです」
「それで?」と、こむが言った。「どうしたら事故で死んだ人間に対して殺人行為が行えるというのでしょう? 殺人事件はいかにして起こったんですけ?」
「け、じゃないだろう。か、だ」
いけさんが怒った。
「しかしこむ君、偶然ながらそれが当たりだよ」
いけさんはこむの食べているアイスの棒を指した。
「当たりだった!」
こむはホームランバーの当たり棒を高くかざした。
「わぁい! わぁい! 当たりだった!」
こむは喜んで踊りながらアイスを買ったスーパーへ走って行った。
邪魔者が消えてほっとした顔をして、いけさんは続けた。
「98人の乗客を殺害したのは、あなたですね?」
いけさんが指差した先に、ひょひはんが200メートルの体長を堂々と伸ばして立ち、天に聳えていた。
「ちょっとジャンプしただけじゃない」
ひょひはんは言った。
「好きでこんなに巨大に産まれたんじゃないわ」
この森の上空ではよくあることだった。




