キャーちゃん襲来
コムチャン森にキャーちゃんが襲来した。
赤い牙を剥き、3つの眼を怒らせて。
森で一番高い木の上から住人たちを覗き込み、大木をてっぺんから根本までつんざいた。
つんざくとはどういう漢字を書くのか? また、この場合、使い方は正しいのか? そう思ったわんぱくは、早速調べてみる。
『劈く』と書き、意味は『強く引き裂くこと』らしいので、どうやら合っているらしいと知り、2回頷くと、慌てて避難を始めた。
キャーちゃんを止められるものはないように思えた。
このままコムチャン森は巨大なキャーちゃんに破壊の限りを尽くされてしまうように思われた。
森の守護神であるひょひはんは津山の天満屋へベルギーチョコを買いに出掛けていて不在だった。
「ああ……。もう、だめだ」森の警備員を務めるコラが諦めた。
「ギョルッ! ギョルッ!」警備員仲間のギョルイのテンペストもスプーンを投げた。
そこへおまわりさんが飛び出したのだ。
おまわりさんはキャーちゃんの眼前にまな板に乗るようにその身を投げ出すと、かわいこぶり始めた。
「ぷりょ、ぷりょ」と、おまわりさん。
「クアッ、カーッ!」と、キャーちゃんが炎を口から吐こうとする。
「ばぶぅーっ、ばぶばぶ」と、おまわりさん。
「グギャギャギャギャギャ!」と、キャーちゃんはさらに興奮した。
「ぼく、あかちゃんだお」と、おまわりさん。
あまりの無抵抗っぷりにキャーちゃんの目尻が遂に垂れた。
「コレ、アタシの」
そう言うとキャーちゃんはおまわりさんの体をガッシと掴み、お持ち帰りして行った。
「カワイイ」
森は、救われた。
みんなはほっとして、大きく伸びをすると、それぞれの家へ帰って行った。




