表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コムチャン森の住人たち  作者: ぱめ
23/68

おやつの時間

 おやつの時間は毎日やって来る。

 動物によっておやつの時間は違う。


 リスのおやつの時間は寝ている時を除いて、ずっとだ。

 タヌキや肉食の哺乳類にとっては、森でおやつになるものを見つけた時がおやつの時間だった。



 こむのおやつの時間はおやつが食べたくなった時だ。

 あまり四六時中おやつを食べていては太ったり糖尿病になったりするものだとネットで見たことがあるが、こむは気にしていなかった。

 おやつが食べたいなぁ~と思ったら我慢できずにムグムグしてしまうのは哺乳類として生まれた最大の幸せだった。


 おやつが食べたくない時はあった。

 なんか今は何もいらないと思ってしまう、この世の不幸に包まれたような気分の時は、あるものである。

 おやつが食べたくなるおやつの時間と、おやつが食べたくない不幸の時間は気まぐれに訪れたが、決まっておやつが食べたくなる毎日の楽しみとも言える時間というのもあった。外で草のつくことをして帰って時である。その時間は必ずおやつが食べたくなった。


 草野球、草ボーリング、草餅つき、草刈正雄にインタビューした帰りなどは、どうしてもおやつを食べずにいられなかった。


 その日は草上田村麻呂(くさのうえのたむらまろ)と談笑して来た帰りだった。

 こむは家の玄関を開けると、「ただいまー」とは言わずに「おなかすいたー」と言った。


 いつもおやつをくれるひょひはんは、草フグの毒抜きで忙しそうにしていた。


「ひょひはん、おなかすいたー」

 こむは神にしつこく願いを叶えることを強要するように、ひょひはんにまとまりついた。

「おやつー、おやつー」


 ひょひはんは五歳の息子を適当にあしらうように、言った。

「おっぱいの中にミルクがあるからそれでも飲んでおきなさい」


「えっ?」

 こむは目を丸くした。

「ひょひはん。もしかして、赤ちゃん出来たの?」


「出来たわよ。今日、森の産婦人科へ行って来たら、妊娠3ヶ月だって」

 ひょひはんはそう言うと、にへらっと幸せそうに笑った。


 隣の部屋で亭主のわんぱくが胡座をかいて新聞を読みながら、頬を染めてニコニコと笑っていた。


「うわー。きもちわるい」

 こむはひょひはんが交尾をしている場面を想像してしまい、おやつが食べたくない気持ちになってしまった。

「きもちわるい!」


 こむは不幸な気持ちに襲われた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ