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空き城見つけたので大名を名乗ってみる ~イージーモードの大名インターン~  作者: 水饅頭
Ⅱ.鮭の力は世界を変える!? 羽州一の空き巣泥棒
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#90 戦車隊、長駆けしました。

「このでくの坊め!また壊れたぞ!」


「押せ押せ押せェ!どうせ山を下るときにゃ休めンだァ!!」


橋本戦車隊、総勢60両。


大沢に残っている武本や、舞たちにも10両を安東への備えとして残して、亘理領目指して向かい続け、南へ南へ……ただまっすぐと、ひたすらに駆け抜けている。


いや、まっすぐ、ではないな。こう……逆L字型に折れ曲がった、というべきか。


というのも、今回、早馬の人が駆け抜けてきたという亘理から笹谷、有耶無耶関を通り、山形、そして八口内ではなく、院内から大沢へと抜ける、奥羽山脈の西側ルートを通ってないからだ。

いや西側ルートでも、結局奥羽山脈に阻まれてL字に折れ曲がることにはなるんだが。


ただ今回、橋本戦車隊は、大沢から横手、和賀、平泉へと抜けて、大崎、亘理へと向かうルートを通っている……坂道を極力避けるために、だ。

誰に似たんだか、この戦車たち……運動は苦手なようで、とうとう普通に走ってても壊れるようになってきたからだ。

いや、今に始まったことじゃないし、正直、ゼンマイねじ巻きみたいな粗末な仕掛けでも、よくここまで働いてくれたものだとは思うが……流石に限界が近いようだ。


一応、今のところは戦車が進まなくなれば、戦車に乗り込んだ橋本精鋭足軽隊が即座に飛び降り、直るまでひたすら押す、押す、押す!という筋肉の力で解決できているようだが……生憎俺は筋肉とは仲が悪いんだ。


あいつ、そのうち裏切るぞ……筋肉痛って形で。


とかいう私怨を脇においても、兵站上いつまでもそれに頼ることはできないのだが、今は非常緊急なる時なれば致し方がない。俺が亘理のことをすっぽり忘れ去って無ければ、こんなことにはならなかったんだがな。




あと、ここが戦国時代だってこともな!!


常在戦場、そりゃ心持ちだけの話じゃない!戦国時代ってんだから、戦の無い時なんであるわけないだろう!いや前はあった気もするんだけどな。


俺の持ってるチート能力『平和ボケ』のおかげさまで、『ひと段落ついたし、動員している部隊も休ませないとな』とか思って自由解散ーーなんてアホな流れやったひと月前の俺を今すぐ殴りに行きたい。ここは四方八方で首が飛び交う戦国時代だっつーの。奥州はこれでも当社比おとなしい方なんだぞ。


よくよく考えてみたら盛安だって、あんまり一緒には戦ってないが愛ちゃんこと北天の斗星、安東愛季の侵攻を最近では毎月のように命がけで止めてる訳だしな。


なんか史実よりも頻度多い上に、愛ちゃんそろそろ寿命のような気もするので、こっちも早めにお会いしに行かないとではあるんだが。


「よーし!動いたぞ!乗り込め!」


「ここからは山を駆け降りるだけだ!最後の休みどころだぞ!」


下り坂に転じて動き出した戦車隊に乗り込む歴戦の足軽たち。こうなると、戦車隊のもう一つの強み、足の速さが活きてくる。そこの君、歩いてついてくる足軽はどうしたと言いたいのは分かる。俺も言いたい。


というのも、部隊解散の影響もあるが……なんと橋本家、駆筒『一』とその改良型『改』の合計70両に対して、俺の指揮下の兵は120人も居ないのである!もはや橋本百人隊である。

なので、作ってある戦車を全部活用することすらできない。機甲化率100%超えの超オールタンクドクトリン。戦国機甲部隊・百人隊、此処に在り。


まぁ時速6kmなので、早歩きでさえ追いつけるんですけど……


とはいえ馬でさえ休みが必要なのに対して、坂道では壊れることはあるとは言え、基本24時間休みなく進み続けることができる戦車たちで統一されたこの部隊は、予定のほぼ倍の速度で移動できている。その上、問題なく動く間は休むことすらできる。

長距離移動する今回だからこそ、効果を発揮しているともいえるだろう……


「こーたー!あれ!伊達の旗印!」


……あとはこいつのチートスキル、残念だが、こいつの近距離エリア自動ヒール&バフは、戦っていようがいまいが、どうしても役に立つ。今回みたいな強行軍なら猶更……なので泣く泣く俺の相方搭乗員はこのバカだ。


「先に出てた白石宗実と桑折宗長の舞台だろう。見た感じ、のぼり旗の数もそんぐらいだろ」


国分盛重、この時期はまだ政重か……の治める千代城、南北朝の時代から城があったという。道路の交差点という要衝、故にここで白石隊に追いついたんだろう。休憩するには持ってこいの状況だ。


なんかこの時期の国分家はなにかと、反抗的だったような気もするが……と、嫌なことを思い出すが、相馬戦の事を考えてなんとか、臭いものには蓋をしようとする。



しかし、伊達の旗印を見ていると、どうも悪臭が漏れだす気配がする……城には我らが夜叉九郎、盛安と同じ、九曜環紋がたなびいており……その数は……ちょっと平時にしては多すぎる。盛安は北に居るし、九曜環紋は国分家の家紋でもあるのでそこは絶望する必要はない。本当に盛安と戦うようなことは、考えたくないな。


そして麓には丸に違い羽根交じりの竹に雀。橋本家に伊達家、それに伊達王国旗も一本混ざったこれは友軍。お休みにしてはずいぶんと、ほそながーく布陣している。


「白石様より、橋本殿に伝令!!国分家、謀反にございます!!」


……


あーあ。


「めんどくせぇことしてくれやがって!!!!」

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