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空き城見つけたので大名を名乗ってみる ~イージーモードの大名インターン~  作者: 水饅頭
Ⅱ.鮭の力は世界を変える!? 羽州一の空き巣泥棒
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#79 長蛇、噛みつきました。

 それからほどなくして利府城の兵が降伏を伝えに来た。利府城を守っていたのは俺より少し上ぐらいだろう若将で逃げた武将の報告は無かったにもかかわらず他の武将は全くいないという……伊達王国の人材不足、ここに極まれり。


 ……それ狙っての根こそぎ捕縛の指示なんだけどな。


 お陰で大宝寺家から送られてきた援軍の池田盛周隊が捕虜管理に追われてパンク寸前みたいだ。兵站の問題こそ起きてないものの身動きが取れなくなってるらしい。これがゲームにもあった指揮兵力の上限値ってやつか。


「殿、報告に上がりました」


『赤鬼』満安に対して『青鬼』と呼ばれる滝沢春永が損傷の少なかった利府城の広間で寝っ転がっていた俺と悠香の所へ来る。


「はーい」


 俺が答えるより早く悠香が返す。普通なら代弁者でも女性が返事をする事は無いが、悠香の特殊性に慣れつつある橋本家臣団には疑問ではなくなって来たようだ。


「殿、戦況を報告いたします。まずは我ら仁賀保県軍は御命令通り奥羽の山々を越え、小泉から村田付近の城を攻撃、これを降し申した。同じころ、天童殿率いる軍勢が名生、中新田を少々手こずったようでございますがこれを落とし大崎を完全に降し申した。小野寺殿と戸沢殿が居られる岩崎では和賀殿が御負傷される激しい戦となり申したが伊達の百足を退かせたとの事に御座います。義光公の守る山形は義光公が十倍以上の伊達政宗の部隊に奇襲を仕掛け兵糧を焼き、夏刈まで押し返したとの事に御座います。また、氏家殿の伝令は来ておりませぬ。以上に御座います」


 氏家守棟が行方不明か……これは惜しい損失だな……

 だがそれ以外の場所では全面的に勝利。あろうことか義光まで桶狭間以上の事をやってのけて伊達を本来の国境線にまで押し返してるし、岩崎のヤバそうな戦いも何とかなったから良しとすべきところなのか……


 高政治武将守棟ェ……


「申し上げます!氏家尾張守殿の伝令が参りました!」


 守棟ェ!?死んだはずじゃ!?


「通せ!」


 言うと春永と入れ替わりに出て来る守棟の伝令。


「氏家尾張守守棟殿より、『白石城を落城させた。亘理は相馬の相手で手が離せない。長蛇は喉元へ喰らいついた』との事です!」


 ……守棟らしいな。特に最後の『長蛇』って辺りが。


「その場で待機、橋本戦車隊がすぐ向かう、と伝えてくれ」


「はっ!!」


 伝令が走り去って行く。この情報なら仮に伊達の間者だったとしても降伏が早まるだろうから問題ないな。


「こーたー。これってつまり勝ったのー?」


「太平洋側からは亘理を残して伊達を一掃だな。あと残ってるのは杉目と米沢、それと伊達小次郎が何故か継げちゃった蘆名領丸々。でも多分蘆名はそんな敵にはならないと思う」


「なんでー?蘆名だってそんなに弱くはないでしょー?」


「蘆名は伊達派と佐竹派で真っ二つになってる頃だからね。それに歴女って言うなら知ってると思うけど世界の政宗を見る視線はあれだから……」


「やばいやつーってかんじだからねー」


 ほらわかんないだろ?って言おうと思ってたのに普通に返された。こういう所抜けてないから悠香はタチが悪い……


「ま、それが無かったらこっからあと一万人強を追加で相手にしなくちゃならなくなる。そうなったら本格的にこの戦い終わらなくなるぞ。それだけは勘弁願う」


 ゲームでも現実でも、ほんとに泥沼化するとどうしようも無くなるからな……元居た世界みたく、な。






 ゲームと現実が違うことの一つ。面倒な事務仕事も逐一こなさなきゃならない。


 これが結構地味に効いて来ることなんだな。今まで、特に大沢に居た頃は村人に交じって作業したり、雑用をこなしたり……と恩返しも兼ねていろいろやってたんだが、大沢とその周辺だけならまだ出来ても仁賀保県設立の時点で無理が出てきてたのに山形、白石から遠野、岩崎、出羽の方だと横手、大沢から赤尾津までという気が付いた時には結構な大きさの今となってはとてもじゃないけどそんなのできっこない。


 でもできないからと言って領民を軽く扱うとどうなるかはそれこそ歴史が教えてくれる上にそもそもそんな支配階級者はこの世界でいう所の一領民だった元の世界の事を思い出せばどれだけに嫌われるかはわかる。


 じゃあどうするか。そこで登場するのが事務的作業だ。と言ってもこれが本当に『事務』なのかはわからない。なんとなくそれっぽいから事務って言ってるだけだ。でもやってる内容はどっちかと言うと政務か?仁賀保県スタイルの領主選挙制の構想とか街の発展のために必要な事を纏めたりとか……


 しかもこれを戦国時代にできるような事で探してしっかりこなせる人に任せなきゃならない。人の方は伊達家じゃなくても慢性的に不足するが、ある程度はゲームでの印象でカバーできなくはない。


 だがその旨を記した書類も残さないとならない。でもパソコンは大沢に置きっぱなし、それ以前にプリンターどころか電気すらないから全部手書き。時間がかかるから余計にきつい。現代チートの反動、文字にするなら現代慣れ現象だ。


 でもここをおざなりにするとダメ政治家……ジレンマだ。


 結局のところ指揮人数オーバーで利府近くから動けなくなっている盛周君に取り敢えずざっと作ったマニュアルでやっておいて欲しい事をリストアップして渡して任せておいた。かなり雑だけど何があったのかゲームではとびぬけて優秀な評価をされて居る盛周君ならやってくれるだろう。


 ……伊達戦が終わったら戻って来ます。こういう風に時間がないと投げざるを得ないのも政治家の悲しい所なのか……本職はもっといろいろあったんだろうけど。何というか……いろんな意味でやっと戦国大名になった実感がして来たな……


 戦国大名も楽じゃない!

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