#62 原因、自分でした。
想定外だ。勝てる自信が全くない。
一応作戦の為にやって来たはいいがどんな無理ゲーだよこれ。
山形城での作戦会議で判明した事としては、
輝宗陣営
輝宗軍:1000人
山形守備軍:500人
長谷堂守備軍:不明、戦力化は絶望的。
橋本軍:2000人、なんちゃって駆逐戦車少数含む。
これで政宗軍10000人から守り抜けとかいう無茶。しかもこれでもまだ援軍が来るらしい。相馬戦線とかどうなってるんだ?
というかそもそも何で輝宗と政宗で内戦やってんだ?稙宗と晴宗で争った天文の乱は40年近く前の話の筈じゃないのか?
と輝宗に聞いてみた所、
「いや~実の所な、政宗に北の方で同じ年程の小僧が旗揚げした挙句、とうとうその地の家を従えてしまったという噂話をしてやったらその翌日には『父上から探題の座を奪うのだ!』と張り切り、わしは其れならばと政宗に家督を譲ろうとしたのだがお義に止められてのぅ……」
と……
北の方で大暴れした家と言えばここ最近ではやっぱり戸沢家の事かな?
な訳ないな。間接的に俺が原因じゃねーか!歴史がもう見る影もなく滅茶苦茶になって伊達家では本来よりも家督相続が早くなる代わりに天正の乱が発生!
輝宗曰くお陰様で東北地方は大混乱。輝宗も自分の意志とは関係なく主に正室の義姫によって戦わされていたかと思えば米沢と利府の両方を政宗方に抑えられたために最上領に逃げ込み、しかし逃げてみればあら不思議、頼みの綱だった最上家はなんとか本家の前に風前の灯ではないですかと……味方になったからまたまた戦局がひっくり返った訳だが。
それで現在、城を取り囲んでいるのは先に到着した後藤隊とその後到着した屋代隊の見た感じ3000人ほど。山形城との大きさの比較だから結構出鱈目だけどまぁそんなものなのかな?
でそれだけなら後ろにまわりこんでプチ包囲殲滅でもやればよかったんだが、どういう訳か長谷堂城と山形城の丁度ど真ん中に政宗が構えている。
情報になかったから困ってるわけだが、何故政宗だとわかるかは簡単だ。何というか……色が違う、旗がモノクロまたは水色とかの戦国カラーじゃない。
本来家紋だけの幟旗を陣羽織の柄として有名な五色の丸で飾ったまさしく伊達者。流石に伊達家頭可笑しと言えどこんなことをするのは政宗ぐらいなものだろう。でもこれってもともとは陣羽織用の柄だし秀吉に気に入られるための戦略だったんじゃ……?
それと誰が錦の御旗を使っていいと言った。足利将軍家の偏諱(先祖と異なる名前の事、義光なら『光』)を代々入れてきたからといって使っていいものでもないだろ、当の政宗に至っては無視してるし。
「どうすんのこうたー?ヘンな所に政宗がいるせいで後ろが取れないけど突っ込むー?」
「もうちょっと頭を使えよアホの子。そこに川があるだろ、せめてその対岸から遠隔攻撃をしようとか思わないのか?」
「成程!あったまいい~!」
思いつかなかったと悠香が手を打つ。しかしその手は今は使えない。
どうしたものかと頭を悩ませつつまたも山の中で隠れていると待っていた報告が届く。
「信本隊より、『下の句は絶句』だそうです」
お?これは行けたか?
「ご苦労、上手くいったら待機、駄目だったらここに逃げて来いと伝えてくれ」
「はっ!」
またも合言葉暗号。どこで敵方に聞かれているかわからないからな。
「ねぇこーたー!あれヤバいんじゃない!?なんかこっちに来てるよー!」
悠香が何か見つけたようで騒いでいる。
「ヤバい何が来てるんだよ?」
まさか伊達軍にここに潜伏している事がばれて殲滅しに来たなんてことじゃないだろ……
「伊達!伊達の竹雀の旗が突っ込んでくるよー!」
「はぁ!?」
慌てて悠香の居る視界の開けた場所へ行ってみるとなんと北の小川を渡って伊達軍がここへ向かってきてるじゃないですか!
「何故に!なんで伊達軍はこっちに突っ込んでくる!?まさか志願兵の中にスパイでもまぎれてたのか!?」
確かに伊達には黒脛巾とかいう諜報の専門家が居るけれどもこれはしくじったか!?
「あんのー大将様?奴等、飯田様のお城に向かってるだけかもしれませんべ」
山形城の南と西から攻撃を仕掛ける伊達軍の屋代隊と後藤隊を迂回するために城下町を通った時に山形を守るためならと申し出た山形の志願兵の一人が言う。
「飯田?」
その事を言いだした初老の志願兵に聞き返す。
「最上の飯田播磨守様のお城が丁度わしらの居りまする所から右の山の影になっちょる所にありまして、まだ攻められとらん城でございましたんよ。ひょっとするとそこ目がけて来とるんじゃあないですけ?」
丁度見えなくなってるところに城が……言われてみればゲームにもあったような?飯田館だっけ?
「詳しいな。そこに出仕でもしてたのか?」
「昔、労役に行って、お城の修理をさせられたもんで、そいですこーしばかりこの辺りの事は解りますもんです」
「そうなのか、んで飯田館への攻撃だから俺達への攻撃じゃない……と」
真偽のほどはわからないけどな。でも本当に俺達を倒す気なら気づかれないように山に潜入してから闇討ちするか、山ごと燃やすかするか。
と待機を継続していた所に二個目の暗号報告が届く。
「『詩は五言』!尾張守隊より報告申し上げます!『詩は五言』!」
良し来た完璧だ!
「大変結構!すぐに戻って出撃の準備をしてくれ。作戦通り伊達の旗のままな。橋本隊!行くぞ!」
応!の掛け声に合わせて行動を始める本隊。結局こういう戦い方になるのかーと思いながら山を西に向かって降りていく俺だった。




