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空き城見つけたので大名を名乗ってみる ~イージーモードの大名インターン~  作者: 水饅頭
Ⅰ.空き城にはご注意を! 南羽後に湧いた新大名
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#47 第二防衛線、構築しました。

「修復急げ!今夜にでも城を奪い返しに最上が攻めてくると思え!」


 峠を越えてすぐ、兵站拠点としても防御拠点としても非常に重要な立地にある八口内城をなんとか奪い取り、最上軍の先鋒を務める鮭延軍も半減させ、城の修復と橋本の若大名の『援軍』が到着するまでの時間が稼げた八口内の最上軍は籠城の準備に全軍を挙げて取り掛かっていた。


「鹿肉から井戸水、菜種油、山菜、さいかちの実まで集められるものはなんでも集めろ!」


「そこ!!逆茂木を直しておけ!大手門は未だ直らないのか!!」


 頭のある方の猛将とお世辞にも知者とは言い難い若殿の御二方が怒鳴り散らす。しかしそのお陰なのか甚だ疑問だが比較的手際よく城の修復は進んでいた。


 だが恐らくは城の完全な修復はかなわぬだろう。八柏殿と島之助が再び鮭延の軍へ夜襲をかけに向かったが既に最上の本隊が夜闇の中の強行軍で峠を越えつつあるそうだ。今夜中でこそないものの明日の夜明けを無事に迎えられぬだろう。その前に捨て石となる私以外は逃がさなければならない。


 このままでは若殿や大井殿を巻き込んでしまうが、まだあの御二方には次の手勢が残されて居るから必ずや草井崎城の殿のもとへお送りせねばならない。


「若殿様!後はそれがしが引き継ぎます故、草井崎へお逃れ下さい!」


「最上の軍を前にして戦場より離れろと申すのか貴様は!」

 若殿が顔を真っ赤にしてお怒りになられながらおっしゃるのもごもっともですが……


「ここにこれ以上居られましても後は籠城するのみに御座います!ここに残る者は再び槍を取り戦場を駆ける事は無いやもしれぬのですぞ!」


「ならば今宵のうちに決めてしまえば良かろう!怖気づいたか道家!」


「殿は若殿が八口内より帰られたときの為に軍勢をご用意下さっておるのです。何卒五郎を連れ草井崎の殿のもとへ此度の功を語り、再び兵を率いて最上をお退け下さい!」


「……」

 殿と草井崎に揃っている者で軍議を執り行った際の策の一つで、戦の才のみは家内で右に出る者が無い若殿を初めに八口内城攻めに充て、その後八口内より若殿と若殿の補佐役の大井殿のみを呼び戻し再び軍勢を率いさせ最上の手勢に挑むという策を今まさに進めて居る。


「最上の者の耳に入らぬようにと殿が内密にされて居たものではありまするが、どうかお聞き届け下され……何より、殿のもとへ若殿を無事に送り届けられぬ事になれば申し訳が立ちませぬ。なにとぞ……」


「……分かった。ただし!何もせず逃げ帰るのは気に食わぬ!せめて手土産は持ち帰るぞ!最上に一泡吹かせたい者は俺に続け!!」


「なっ!お待……」

 静止しようとするがあちらこちらで武器を手に取り、


「若殿に続けー!そうやすやすと小野寺の地を踏ませるな!」

 大井五郎こと矢島満安まで騒ぎ始め、興奮状態で士気の高まった兵をさらに呼び寄せ……


「出陣だぁ!!父上に阿呆ではない事を知らしめるのだ!!」


 満月が天高くにあるとはいえ松明一つ持たずに城を飛び出す義道。殿のお叱りは避けられぬなと道家は諦めながら城の修復を夜通し続けるのだった……




 草井崎城。夜明けまであと半刻(約一時間)という所で帰還した義道に輝道は説教をしていた。


「阿保かお主!既に疲弊した兵を率い、城を取り囲みつつある最上に夜襲を挑むなど……数倍の最上の軍勢の内に飛び入り首が儂のもとへ届いただけでも珍事と思え!」


「ですが父上!」


「だがなんだ……?」


「……っ」

 輝道に威圧され黙り込む義道。輝道の言う事ももっともであり結果的には倍以上の鮭延軍をほぼ壊滅させたのだから良かったではないかと反論も出来なくなる。


「此度の下策にも関わらず功を成したことに免じて挽回の機会を与えよう。草井崎に集いし兵2500余騎のうち1500を預ける。次は()()戦うのだ。わかったな!?」


「承知!()()敵を蹴散らして見せましょう!」


 やはり儂自ら兵を率いるべきだったのだろうか?と息子のいい年になっても治らない突撃馬鹿に呆れながら、仙北成武1200とは別に橋本航太の連れてくるという『圧倒的な援軍』を待つ輝道であった……




「菅殿、到着が遅れて済まない。状況をお尋ねしても構わないか?」

 椛山館(かばやまだて)に向かった義道の支援をするように輝道から到着してすぐに下令された橋本の先発隊1200人を率いた成武は兵に簡単な指示を与えてから館主の(すが)兵庫(ひょうご)という者を訪ねていた。


「何をおっしゃいまするか、十分戦には間に合っておいでですぞ。戦の運びはまずは上々といった所で御座います。八口内の貞冬を若殿が直々に討ち果たし我が方500の軍勢が籠って居りますが殿はこれの救援よりも守りを固めよとのご指示で御座います。その他に変わったことといえばその若殿が1500の兵を率いてここ椛山館(かばやまだて)の麓に陣を張られました。この地にて最上を迎え討つ腹積もりのようで御座います」

 陣を張る場所としては悪くは無いと判断した成武、そしてその陣の場所について細かく尋ねる。


「義道殿が陣を敷かれたのはそこの川の北側か?」


「北側に御座います。最上の兵もわざわざ川を渡るのは手間と考えたのかと」


「ならば良い。流石に最上軍と川を隔てずに対峙はしたくはないものに御座います。我々も北側に陣を敷くとしよう。何か御用が御座いますればお尋ね下され」


 小野寺方の第二防衛ラインでもある椛山、守る小野寺橋本連合軍は3000、対し侵攻する最上軍は第一防衛ラインでの義道らの善戦があったとはいえ未だ8000余騎。三倍近くある兵に対し、橋本の殿ならどう戦うだろうと考える激戦前夜の成武であった……

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