消えたお嬢さん
”――突然の手紙をお許しください。
これから私はユーディト叔母を頼って王都へ行こうと思います。
あなたに、園遊会に参加してほしいからです。
勝手なことだと承知しているので、無理に参加してほしいとは書きません。
ただ、私はこの園遊会があなたのためになると思うのです。
弱輩の私にあなたの悩みは計り知れません。
ですから、私のこの行動があなたの助けになれるようでしたら、手紙を書きます。
あとはあなたの判断にお任せします。
仕事を途中で放り出して申し訳ありません。”
ウルリーケ、と結ばれた手紙をテオはテーブルに放り出す。
いつまで経っても現れないウルを探して、とうとう彼女にあてがっていた部屋にまで入り込んでようやく手紙をを見つけたのだ。
ウルが早朝に階下に降りたらしいことは何となく察していたが、ここ最近の二日酔いでとっさに起きることが出来なかった。テオの自業自得である。
(あいつは何を考えている)
綺麗に掃除された彼女の寝室には塵一つない。
もはやウルがいた痕跡すら消し去ろうかというようだ。
そして己の築いた酒瓶の山を思い出し、テオは頭をやみくもにかきむしる。これでは女房に逃げられた駄目な夫のようだ。
ここ最近のテオは、この屋敷に住み始めたばかりのようだった。
酒を飲み、煙草の煙に塗れ、何の興味も示さない。
そうなってしまった原因が痛いほど分かるだけに、テオはただ溜息をつく。
(情けない)
年端もいかない少女に責められたぐらいで、簡単に我を失くしてしまうなど情けない以外になかった。
借金のことも頭にあるはずなのに、彼女は王都へ向かった。
不思議と逃げ出したと思わないのは、それがウルであるからか。
それを今すぐ確認したいと思うのは――。




