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きみと私の放課後  作者: はる
晴太郎と彩
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自分の気持ち

「えー、花ちゃん、補習ちゃうん!?」


 いつも赤点を取って補習で一緒になっている男子に声をかけられる。


「へへ、そうやねん。今回私、めっちゃ頑張ったから! ようやく報われてん」


 今回の試験で、私の赤点は前回の半分まで減っていた。目標としていた半分! 先生にも、それくらいまで赤点を減らさないと卒業できないよって言われていた半分!

 ……と言ってもこれは、ほぼすべて瀬戸くんのおかげなんだけど……

 瀬戸くんがめちゃくちゃ分かりやすく私に勉強を教えてくれて、試験直前にはここが出題されそう、というポイントまで全教科教えてくれて、そして私も必死にそれを覚えたので、何とか赤点の数を減らすことができたのだ。残念ながら今回も赤点だった教科も、あと少しで赤点を回避できそうなくらいまで得点を取ることができた。自分でもこれほど試験でいい点を取ったことがなかったので、答案用紙を見て感動したくらい! 数学で二桁得点できた……! もう答案用紙を額縁に飾りたいくらいだ!

 男子は不満そうに口を尖らせた。


「せっかく仲間やのにー。一緒に補習受けようや」


「いや、数学と英語と化学は相変わらず補習やし……どうせそっちで一緒になるやん」


「常に花ちゃんも一緒に補習受けとる安心感があるねんて! やから他のも一緒に受けよー」


 どんな絡まれ方だこれは。せっかく及第点を取れた他の教科まで補習を受けなくちゃいけない理由なんてないし。

 そんなことをグダグダ話していた私たちのそばに瀬戸くんがやってきた。


「補習を誰が受けようが受けまいが関係ないやん。勉強するのは自分自身やし、自分がそれを理解できるかだけやろう。そんなんで花房さんに絡むんはどうかと思うけど」


 瀬戸くんに正論をぶつけられた男子は、慌てて背を向けた。


「瀬戸になんも関係ないやんけ!」


 そう言ってすぐに男子は教室を出て行った。

 瀬戸くんが私を見る。あ、また目が合った。……どきっとして、胸が締め付けられるような感覚がした。でも嫌な感じじゃなくて。何ていうか……瀬戸くんへの感情が絞り出されるみたいな……


「大丈夫? 花房さん」


「えっ、うん、平気」


「花房さんが補習受けんで済んだんは花房さんの努力の成果やのに、道連れにしようとするんはあかんよな」


「あー……まあ……でも、私の努力っていうか……瀬戸くんのおかげやけど……」


 だって、瀬戸くんがいなかったら相変わらず私は赤点まみれの答案用紙と共に、あの男子と一緒にずーっとずーっと補習を受けなければいけなかったはずだもの。


「確かに俺は花房さんに勉強を教えたけど、それを自分のものにして試験で発揮できたんは花房さんの努力に他ならんやん。ちゃんと頑張っとったやん。ほんまに、めっちゃ一生懸命集中しとった。見とったから分かるよ」


「えーと……へへ、うん。ありがとう」


 うわー、そんな風に言われたら、めっちゃうれしくなる! 今までどれだけ頑張ったって、それが成果として現れることはなかったのに……それが、瀬戸くんのおかげでちゃんと試験で点を取ることができたんだから、絶対に瀬戸くんのおかげなのにな。

 でも、私が馬鹿なりに必死で頑張ったこと、こんな風に認めてもらえたら、すごくうれしくなる。もちろんまだ赤点だってあるし、成績も地を這ってることは間違いないんだけど……。でも瀬戸くんはそんな私を馬鹿にしたりしない。瀬戸くん自身はめちゃくちゃ頭良くって、成績だってトップクラスなのに、こんなに馬鹿な私のこと、努力してるって認めてくれるんだ。

 うれしいな。

 あったかい気持ちが抑えきれなくなって、私は思い切り瀬戸くんに笑いかけた。

 これくらいなら平気だよね? 大げさなくらい満面の笑みだけど。友達にだってこれくらいするし。

 私の笑顔を見た瀬戸くんは、少し目を見開いて……それから、すごく優しい笑顔を見せてくれた。

 ……うわああ、笑顔だあ!

 瀬戸くん、そんなに優しい顔するんだ……!

 あー、駄目だよ、教室でこんな……私に笑顔を見せてくれたりして。うれしいけど、すごくどきどきして恥ずかしくなってしまう。

 私は両手で赤くなった顔を隠した。

 いかんいかん、付き合ってるの内緒なのに……こんなところで親密な空気を醸し出してはいかん!

 ……周りの人に見られてないよね? これ……

 でも、うれしいな。

 秘密にしたいって言ったのは私だけど、普段、完全に他人行儀にされるんじゃなくて、こうやってほんの少しでも心を私に向けてくれるのを感じ取れるのって……すごくうれしいんだな……

 たとえ間違えたのだったとしても。

 瀬戸くんが私に告白してくれて、付き合えて……私、めちゃくちゃうれしいかも。

 すごく心があったかくなる。

 じわーって全身に幸せな気持ちが広がっていく。

 できれば……できればずっとこんな風に、瀬戸くんと付き合っていけたらいいなあ。瀬戸くんが私に告白してくれたの、間違いじゃなかったならいいなあ。

 こんな風に……これからも瀬戸くんと一緒に笑っていたいな。

 ……あれ、もしかして私、瀬戸くんのこと、好きになってる?


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