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きみと私の放課後  作者: はる
悠太と彩
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秋のお使い・1

すみません、ひっそり第二章が終了してましたね。

実はこのシリーズ、第三章まであるんです。

今回は、彩とある人物が中心となった話が多くなってます。

また読んでいただけると嬉しいです!

 私は小さなポシェットだけ持って校門を出た。

 もう授業は終わって、下校時刻も過ぎている。だから門付近も登下校路も生徒の姿はまばらだった。

 でも私は家に帰るわけじゃなく、先生に頼まれたお使いをするために今学校を出て、駅近くの商店街へ向かっている。

 お使いを済ませて学校に戻って先生に報告して、その後図書室で晴くんの部活が終わるのを待って一緒に帰るつもりだ。

 時間は十分にあるので、私はゆったりとした気持ちで歩いていた。

 ようやく厳しい残暑も終わりが見え、今日はカラッとした秋の空気が漂っていた。空が高い! 薄い筋みたいな雲が空に浮かんでいる。あー、めっちゃ秋だー!

 私は空に向かって手のひらを開いて伸びをした。気持ちいいなあ。


「なにバンザイしてるん。助けでも呼んでるん?」


 突然背後から声がして、誰もいないと思っていた私は驚いて振り返った。


「あれ? ユウくん」


 そこにいたのはユウくんだった。

 ジャージを着て、学校のバッグを肩からぶら下げて歩いている。

 うん? ていうか、どうしてここにいるんだろう?


「どうしたん? 部活ちゃうの?」


 ハンド部は今は部活中のはずだ。私は、ハンド部部長の晴くんの部活が終わるのを待ってるんだから間違いない。そしてユウくんはハンド部の部員。練習はどうしたの?

 ユウくんは少し首をかしげた。


「んー、今日はサボりかな」


「え!? ずる休みしてるん?」


「ずる休みなんて言うたら言葉が悪い。たまにはゆっくりしたい日もあるねん」


「ええー……」


「それより彩さんはなにしとるん。手ぶらで帰るん? さすがにバッグ忘れるとかアホすぎやん」


 小さなお使い用ポシェットしか持っていない私を見て、ユウくんがあきれたように言う。


「いやいや、なんも忘れてへんし! 私はまだ帰るわけちゃうの。先生のお使いで、ちょっと商店街の方に行かなあかんくて」


「商店街? わざわざ?」


「うん。こないだのイベントで購入した商品の代金支払いでね。代金払って領収書もらって先生に届けなあかんねん」


「はー、またそんな雑用……いいように使われてんなー」


 うーん……まあ、そう言われてみればそのとおりなんだけど。でも別に私もいやいや引き受けたわけじゃないし……晴くんの部活が終わるまで、言ってみれば暇なわけだからね。

 その暇な空き時間に、誰かの役に立てるんならそれでいいじゃない、ってことで。


「先生も忙しいねんよ、きっと。私は暇人やから別にかまわんしね」


 ユウくんが私の隣までやってきたので、一緒に駅に向かって歩き出した。


「ユウくんは? なんで今日はサボってるん? そういうん珍しいんちゃうの?」


「んー、まあちょっと……疲れたっつーか。腹減ったし」


 まただ! またお腹を空かせてる! きっとすぐに私にお菓子をねだってくるパターンだな、これは。

 私は何か言われる前に制服のポケットに手を突っ込んだ。


「んーとね、今日はラムネがあるよ。あんまりお腹は膨れなさそうやけど」


 私がラムネを手のひらに乗せてユウくんの方に差し出すと、ユウくんは当然のようにそれを受け取った。


「なんでもええよ。口に入るもんならその場しのぎにはなるし」


「ほんまにいつもお腹空かせてるねんねえ。お昼ごはん足りてないんちゃうん?」


「どんだけ食ってもすぐ消化してまうねんよなー。足りてるとか足りてへんとかの問題ちゃうねん」


 そっか……まあ成長期だもんね……男の子だし、そういうものなのかなあ。





 商店街の入り口に近付くと、生徒以外の通行人も徐々に増えてきた。

 私たちが歩いていると、お好み焼き屋さんに入っていこうとしている数人の男子生徒がユウくんに気付いて声をかけてきた。


「おー、悠太やん。今日部活は?」


「ああ、ちょっとな」


「なんやねんお前、彼女とデートでサボりか? いつの間に新しい彼女できてん! ずるいやんか!」


「おー」


 割とどうでも良さそうに返事をしているユウくんの顔を驚いて見上げる。

 え、何普通に受け答えしてるの?

 男子生徒たちはそのままお店に入って行ってしまった。

 私は焦ってユウくんに詰め寄った。


「ちょっとユウくん! なに言ってんの? 私ユウくんの彼女ちゃうのに! なんで否定せんと普通に答えてるんよ!」


「んー?」


 私の言葉を真面目に聞く気がないのか、のんびりした様子でユウくんは答えた。


「あ、腹減りすぎてぼーっとしとってよく聞いてへんかった。なんて?」


「ええ!? いや、あの男子がユウくんに私のこと新しい彼女やって言って、ユウくんはそれを否定せんかったの!」


「ふーん、そうなんや」


 そうなんや、って! 何なのそれ!


「そうなんや、やないでしょ!? ちょっと、あのお店に行って、さっきの男子に違うからって言いに行こう!」


 私が慌ててお好み焼き屋さんの方に行こうとすると、ユウくんが待て待て、と私の腕をつかんだ。


「はいはい、落ち着けって。そういうんはむきになって否定する方が怪しまれるって」


「ええ……それは……そうかもしれんけど。でも」


 だって違うのに! 私は晴くんの彼女なのに! 他人に違う風に思われてるなんて嫌だよ。


「明日か明後日か、学校であいつらに会った時に俺が適当に彼女ちゃうでーって言っとくから。そうやってさらっと流した方が向こうもすぐ忘れるって」


「えー……ほんまに?」


「おう。ほんまほんま。知らんけど」


「知らんけど!?」


「いや、ほんまやって」


 ああもう、めっちゃ適当だ……!

 でも駄目だ、ユウくんはこういう子なんだ……

 実際問題、私はユウくんの彼女じゃないし、学校では晴くんと一緒にいるし……そういうところを見てもらえば、彼らの誤解だってきっとすぐ解けるよね? それを願うしかない。


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