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きみと私の放課後  作者: はる
双子と彩
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双子・誘拐事件・1

 私は図書室で晴くんの部活が終わるのを待っていた。

 窓の外の空をぼんやりと眺める。

 ……だいぶん日が長くなったなあ。以前は晴くんと一緒に帰る時は、もう空は真っ暗だったのに。でも最近は、西の空にほんの少しだけ明るさが残っている。これから夏至に向けて、もっと日が長くなっていくんだな。

 真っ暗な街を晴くんと歩くのが好きだけど、まだ明るい空の下歩けるのも楽しい。明るいと、まだもっと長い間一緒にいられるんだって思うから。

 実際の時刻はいつも同じだから、それは単なる気のせいなんだけどね、ま、気分ってことで。

 そんなことを考えていたら、図書室の入り口の方からバタバタと騒がしい音が聞こえてきた。

 何だろう? と私が顔を上げて入口の方を見ると、カナくんとユウくんが入ってきた。

 あれ? どうして二人が。珍しい……

 二人はどう考えても図書室に用事があるようなタイプには見えなかった。

 そんな二人はまっすぐに私の方にやってくる。


「彩さん!」


 カナくんが私に声をかける。

 え、私?


「どうしたん? 二人とも。もう部活終わったん?」


「あー、終わったんすけど、ちょっと問題があって」


 ユウくんが顎をなでながら、何となく言いにくそうに言う。


「問題?」


「そう。部長の大切なもんがなくなってしもたんで、ちょっと探すん手伝ってくれませんか?」


 晴くんの大切なもの?


「え? それ、なに?」


「いや、俺らはその……具体的なとこまでは分からんのですが。でも部長もずっと探しとるんで、しばらくここには来られへんと思うんで! なんで彩さんにも手伝ってもらいたいんです」


「そうなん? 分かった」


 私は立ちあがった。

 晴くんの大切なもの……何なんだろう? ていうか、何を探していいか分からないのに、探すのを手伝ったりできるの?

 よく分からないまま私は二人と一緒に図書室を出た。





 図書室を出て、学校の廊下を歩いていく。

 私の前を歩くカナくんとユウくんは、ひそひそと二人にしか分からないように話している。


「……いや、せやからほんまに……」


「……ここまできたら……」


 何の話だろう? あんまり探し物の話っぽくないけど……


「二人とも、うちらはどこに向かってるん?」


 私が声をかけると、二人はぎくっとしたように私を振り返った。


「えーと、ほら、あれっすよ。部室から体育館の間でなくしたかもしれんので、そっち探そうかなって」


「そうそうそうそうそう! それ!」


 不自然な笑顔で、妙に早口で話している二人。

 ……この二人、どうしてこんなに挙動不審なんだろう?

 急いでいる割にはそこまで速足でもないし……何だか変なの。

 でもこの二人が変なのはいつものことかなあ、って思うし。

 とにかく晴くんがずっと探し物をしているのなら、私も早く晴くんのところに行って手伝いたいな、と思っていた。


「あー! ちょっと俺、便所!」


 突然カナくんが叫んで、悪い、先行っといてくれ! と言ってトイレの方に走っていった。

 落ち着きのない子……

 ユウくんはそんなカナくんを肩をすくめて見てから、ちらっと私を見た。


「そしたら彩さん、俺らで先に行くで」


「え、うん」


 ユウくんの隣に並ぶ。

 うわ、隣に並ぶと、ユウくんはやっぱり大きいな。晴くんよりだいぶ背が高い。体も筋肉質っていうか……ものすごく鍛えてるんだろうけど、運動部の男子ってすごいなあ、と感心してしまう。

 もちろん晴くんだってすごいんだけど! 二人より晴くんの身長が低いのは、晴くんのせいじゃない。それでも晴くんは部長で、しっかりとハンド部を強くしていってるんだから。

 別に怖いわけじゃないんだけど、これだけ大きくて体格のいい男子と二人だとちょっとそわそわする。……早く晴くんに会いたいなあ。

 そんなことを考えながら、校舎を出てハンド部の部室の方へ歩いていっていると、突然頭の上から何かが降ってきた。


「うわ!」


 驚いて声を上げる。

 突然視界が真っ暗になった!


「え、え……なに!?」


 え、私、頭の上から何かをかぶせられてる?

 突然視界を奪われて怖くて仕方ない。恐怖で体が縮み上がる。

 そして誰かに、私の肩を後ろからがっちりとつかまれた。

 強い力で肩をつかまれると、全然動けなくなる。

 あまりに突然のことでわけが分からなくて、私は恐ろしさのあまり声を出すことも動くこともできなくなってしまった。

 私が声も出せない状態なのに、誰かの手が私の口をふさぐ。


「シーッ! 静かにしてもろたら、危害は加えんから。黙って言うことに従ってくれ」


 小さな声で話しかけられる。

 パニックになりかけていた私は、その声に、ん? と一瞬止まった。

 え、え……

 いや待って、この声。

 さっきまで話してた、カナくんじゃないの!?


「ん、んー!」


 口をふさがれているのでもちろんしゃべることはできない。

 私の肩をつかんでいる手に少しずつ引っ張られながら、私はどこか分からないけれど歩かされた。

 これ……カナくんだよね?

 ということは、私の口をふさいでいるのはユウくん?

 二人がどうしてこんなことしてるの?

 突然視界が奪われたことと拘束されたことで、最初は恐怖で頭が真っ白になったけれど、犯人が双子のようだということが分かったら、今度は恐怖というよりも途方に暮れてしまった。


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