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きみと私の放課後  作者: はる
晴太郎と彩
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ふたりで歩く帰り道

 私は成長した!

 朝のことがあったせいかな? 晴くんの気持ちに触れて、私はもう晴くんに対して気を遣ったりしなくていいんだってことが分かったから。

 晴くんのことは大好きだけど、でもやっぱりいつも部活で忙しいし、もちろん学級委員としての仕事もあるし……と思って、私は常に晴くんに対して一歩引いた接し方をしていた。

 あ、もちろん私自身の自信のなさとか恥ずかしさみたいなのもあったけど。

 もっといっぱい会いたいなあ、と思っても、毎日部活がある晴くんにそんなこと言えるわけない。晴くんはハンド部の部長で責任がある立場だし、私のせいで部活を遅刻したり早退したりなんて軽々しくできるわけがなかった。

 勉強ももっと教えてもらいたいな、と思うけど、でも晴くん自身だって勉強する時間は絶対に必要だ。だから私の勉強にかかりきりにさせるわけにはいかない。

 晴くんはものすごく忙しい人だから、私はわがまま言っちゃいけない……って常に思っていた。

 だからと言って私が無理してたとか、そんなことは全然ないんだけどね。そういう風に思っちゃうのは私の性格だし、普通に、自然に、できるだけ晴くんの迷惑にならないようにしようと思って過ごしていた。

 でも、あの、朝のことがあって。

 こんなこと言ってもいいのかなあ、と思うような私の本心をさらけ出しても、晴くんはそれを喜んでくれるんだ、って分かってしまったから……

 だから私は思い切ってわがままを言ってみた。

 午後いっぱい部活を頑張って疲れているはずの晴くんに、今すぐ会いたいって言ってしまった。

 晴くん、無理してないかな、本当は早く帰って休むなり勉強するなり自分の時間を過ごしたいと思っているんじゃないかなって……今までの私なら考えてしまうんだけど。

 でも今日は、朝晴くんと一緒に過ごした幸福感がずっと私の中に残っていて、また晴くんに触れたい。何度でも触れたい。どうしてもまた会いたいって思って……その気持ちを止められなかった。

 その会いたい気持ちを打ち明けたら、晴くんも私に会いたいって言ってくれて、実際に会いに来てくれた。

 うれしい!

 駅に着いて改札を抜けた晴くんは、私を見つけて急いで私のところへ来てくれた。

 今日また晴くんに会えたことがうれしすぎて、私は晴くんに思い切って抱きついた。

 晴くんは少しびっくりしたみたいだけど、すぐに私を抱きしめてくれて……

 ためらわずにまっすぐに晴くんに気持ちを伝えるのって、こんなにも私自身を幸せにしてくれることなんだと、私は初めて知った。


 私たちは手をつないで、駅を出た。

 普段私は駅からバスに乗って家に帰っている。でも今日は、晴くんが私を歩いて家まで送ってくれるって言ったから。

 駅から私の家まで、歩いたら30分くらいかかるんだけど、晴くんにとってはそんな距離どうってことないし、私も晴くんと一緒に歩けるのなら、家がもっと遠くても平気だと思った。

 私たちは人気のない夜の道を、手をつないでゆっくりと歩く。


「晴くん、部活終わってからなんか食べた? お腹空いてるんちゃう?」


「腹はちょっと減っとるけど、これくらいいつものことやから平気や。部員の中には部活終わって着替えとる時に差し入れ食って、ひとまず腹を持たせようとしとるやつもよくおるなあ」


「あ……差し入れ……。でもそれ、もうなくなったん?」


「ああ、そうや。そういえば彼方と悠太の二人が、彩から差し入れもらえんかったって残念がっとったで」


 思い出して笑っている晴くんの顔を見つめる。夜の街灯の光の下で見る晴くんは、いつもとはまた少し違ったように見えて……どきどきするのをごまかすように、私はつないでいる手を勢いよく振ってみた。


「いや、だからそれは誤解で……。私が晴くんが差し入れもらってるん見て、差し入れのことをあの二人に聞こうと思ったら、なぜか私が二人に差し入れあげようとしてるって思い込まれてん」


「あいつらはすぐなんでも話を膨らませてネタにしとるからな」


「あは、ほんまに二人の会話、聞いとったらおもしろかった!」


 私もあの二人の漫才みたいな掛け合いを思い出して笑っていたら、晴くんがじっと私の顔を見た。


「……やっぱり彩は、おもしろいんが好きなんか?」


「え?」


 おもしろいのが好き? って……どういう意味だろう?


「あの二人の会話聞いて笑っとったから」


「いや、そら関西人やしおもしろいんは……みんな好きなんちゃうん? 晴くんやってそうやろ?」


 あの二人のやりとりは、まさに漫才って感じだったし。


「……そしたら俺もやっぱりそういう練習した方がええかな」


「ええ? なに言うてんの?」


「彩がああいうん好きなんやったら、俺もしゃべっとって彩を笑わせたいし」


 晴くんの言葉に目を丸くする。何それ? 晴くん、それ、本気で言ってるの!?

 大真面目な顔で話している晴くんを見ていると……冗談じゃないのかな、これ。

 私はおかしくなって肩を震わせて笑ってしまった。


「もう、晴くん、なんなんそれ! もう今の時点で晴くんの言うとることおもしろすぎるねんけど!」


 私を笑わせたいから、あの二人みたいなしゃべり方を練習するっていうの? そんなこと真面目な顔で考えている晴くんがおもしろすぎる。


「そんな変なこと言うたかなあ」


「うん。変! そんで晴くん、めっちゃかわいい。私を笑わせたくて、そんなん考えてくれたん?」


「いや、そら……彩が笑っとってくれるんが俺は一番うれしいし」


 ああ、もう、おもしろくて、楽しくて、幸せで、どうしたらいいか分からないくらい晴くんが好きすぎる。

 こんな素敵な人、世の中にいる!?


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