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~ラスト・マイル・アサシン~ その配送師、国の臓腑を駆け抜ける   作者: 秤乃 うさぎ


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第二話 弊社自慢の即日配送(エクスプレス)

「や、やめてください!それ、納品前で……!」


応対しているのは、今年入ったばかりの新人の青年だ。

まだこの世界に入ったばかりで不慣れなせいか声も震えている。

当然だ。相手は完全にキレている。


「はぁ?知るかよ!!俺は広機だぞ!?さっさと荷物を運べよ!!」


そう言うとあろう事か剣を抜いた。


空気が変わる。

周囲の作業員たちが、一歩引く。


小さく息を吐いた。


そして……


「しゃ……社長ぉ…す、すみませんぇぇええんん!」


新人君が涙目でこちらを見る。

完全に助けを求める目だ。


(まぁ、そりゃそうか)


一歩前に出る。

足取りは重くない。いつも通り。

ただのクレーム対応だ。

稀によくあるって奴だ。


「お客様、当店に何か御用でしょうか?」


丁寧に……最初はな。


「あぁ?」


鉄鎧の男は振り向きこちらを一瞥する。

苛立った目。


「何か御用かだと?ここは運送屋だろ?おまえらに仕事を持ってきてやったんだよ!それなのにこのガキがもう受付時間は過ぎてるから翌日にお越しくださいとかフザケタ事をいいやがって追い返そうとしたんだよ!!」

「はぁ…」


新人君の応対は間違っていない。すでに終業時刻間際であり受付時間はすでに1時間前に終わっている。


「しかしお客様、すでに当店の貨物の集荷依頼の時刻は1時間前に終了しております。まして荷物を破壊されますと弁償して頂くことになります。」


淡々と告げる。


「はぁ?ふざけんなよ!!俺たちを誰だと思ってんだ!?広機の一員だぞ!!てめぇらが仕事で来てるのはだれのお陰だぁ!?」


広機には街道に出没する魔物の排除や間引きなども定期的に行っている。確かに広機の功績は大きいが…


「はい。それは存じております。……が、それとこれとは全くの別問題です。こちらとしては街道の定期巡回に対して正式な依頼を行い依頼料もお支払いしている筈です。」


そう。

この街の運送業界団体は、この街周辺の街道の脅威となる魔物の排除など依頼料を支払っている。

あくまで対等な取引であり、この様に一方的に横暴な振舞いを許容される訳もない。

しかし広機の教育もまた緩くなっているのか?

昔いたころは……


「なので。今回の件については、正式に広機へ抗議と弁償の手続きをさせて頂きます。そうですね。貨物の破損や木箱自体の弁償、そして従業員への恫喝、精神的慰謝料も含めてそうですね…200万エルンですかね…」


それを聞いたと同時に鉄鎧の男はさらに逆上し剣を振り上げる。

男の顔を歪む。

そして抜いた剣で更に近場の木箱を切り付け破壊した。

中身も真っ二つだ。

あらら。


「舐めてんのかぁぁぁあああ!!!!??」


そう吠えながら剣を振り上げる。

次の標的の狙いは……俺だ。

ふむ悪くない剣筋だ。昨日今日登録された新人ではなさそうだ。

むしろそれなりの達人の剣。

ただのチンピラではない。


その瞬間。

俺の皮膚が、僅かに歪んだ。

空気が、ズレる。



(……あーあ。)


内心呟く。


(終業間際にこれかよ…)


剣が振り下ろされる。


だが……

届かない。


いや、”触れた瞬間に消えた”


「……は?」


正確には触れた瞬間、”どこかに抜けた”

手応えがない。

ありえない感覚に剣を振り下ろした男の声が間抜けに漏れる。

俺は、動かない。

ただ、そこに立っているだけだ。

そして一言。


「わりぃな。それ、受け取り拒否だ。」


静まり返る倉庫。

その横柄な一団だけが今の現象を理解出来ていなかった。

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