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僕が言うのも何ですが、勇者が魔王の子を育てて大丈夫ですか?  作者: 日昇
第1章 幼少期

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8 お父様の腕を治しっちゃったのですが、大丈夫ですか?

「お父様・・・」

カインの手は震えていた。

「カイン・・・お前、泣いているのか?初めて見た。父さん、うれしいな」

赤子の時でさえ泣くことがなかったカインが、初めて涙を流した。初めて抱く感情にカインはどうすればよいかわからなかった。

「カイン、心配するな。父さんはな、片腕だけでも戦える。ほら・・・」

アーサーの腕からは大量に出血していたため、気を失った。

目の前で気を失った父親を見て、カインの感情は爆発した。

「あ゛ー!!!!!」

カインが叫ぶと同時に、カインの体を覆うように炎が燃え上がっていた。

カインはゆっくりとガドたちの方に体を向けた。

仮面の男は操ろうとしていたが、すでに仮面の男の術は解けていた。

その隙を突き、勇者パーティーたちはアーサーを安全な場所に運び、止血した。

「オリーブ、アーサーの腕を治せないのか?」

「無茶言わないでよ。血を止めることはできても、腕を生やすことなんてできるわけないでしょう」

「だよな・・・それにしてもアーサーの息子はとんでもない息子だな」

「さすがアーサーの息子だ。炎属性、しかも五歳であそこまでの魔法が使えるとは。将来が恐ろしい」

勇者パーティーはカインから桁違いの魔力を感じていた。


「よくもお父様を・・・許しません!」

触れると一瞬で灰になりそうなほどの炎をまとい、カインはガドに近づいていた。

「ゲラル、逃げるぞ。俺たち二人がかりでも今のカインには勝てない。すごい・・・さすが兄貴の子だ。素晴らしい」

ガドは仮面の男ゲラルと共に、ガドの瞬間移動の魔法により、その場から逃げた。

ガドたちが逃げた後も、カインの怒りは収まらなかった。


「どうする?あの子を置いていくわけにもいかないけど、近づけないよな」

「ちょっと試してみるわ」

オリーブは聖属性の癒しの魔法でカインの心を鎮めるよう試みた。

カインの炎は徐々に小さくなっていった。

カインは我に返り、アーサーに駆け寄った。

「お父様!お父様!」

アーサーは気を失っていたため、カインに返事をすることはなかった。

「僕のせいで・・・お父様の右腕が・・・」

気が動転しているのか、カインはアーサーの腕を拾い、無理やりつなげようとしていた。

幼い子供の必死な姿に、勇者パーティーの者たちは止めることができなかった。

「どうか・・・お父様の腕を治して・・・」

カインのその言葉と同時に、腕の斬られた部分が光りはじめた。

「何が起きているのだ?」

勇者パーティーの者は顔を見合わせながら驚いていると、カインは力尽きたのかアーサーに抱きつくように倒れた。カインが倒れると同時に光も静まった。

「カイン!カイン!」

「・・・大丈夫だ。疲れただけのようだ。とりあえず、ここをでるぞ」

「こんなことができるなんて・・・この子は本当に何者なの?」

オリーブは何度もアーサーの斬られたはず腕を確かめたが、元通りの逞しい腕に戻っていた。

一番力があるドワーフのガラテがアーサーを担ぎ、獣人タイガがカインを抱っこし、魔王城から退散した。




勇者パーティーの者たちはデイヴィス家へ向かいつつ、カインの属性と魔力について話し合っていた。

「オリーブ、斬られた腕を元に戻すことって、聖属性でできるやつはどれぐらいいる?」

「私が知る限りいないわ・・・一番魔力が高いと言われている人族の王族でさえそんな力はないはずよ。聖属性は治癒に特化しているとはいえ、怪我を治したり、病を回復させたり・・・死んだ人を生き返らせることができないのと同じように、なくなったものを復元するというのはできないはずよ」

「だよな・・・わしも長年いろいろ見てきたが、初めてだ。カインは魔王の子だったな。それが関係しているのか?」

「魔族は闇属性しか使えないはずだ。回復させるよりむしろ破壊する魔法が得意なはず。魔王ベザレルも他の属性を使えるという話は聞かなかった・・・ということは母親の属性が関係しているのか」

「アーサーもカインの母親が誰かは知らないそうよ。白髪に金色の瞳・・・白髪のエルフはいるけど、金色の瞳は見たことも聞いたこともないわ」

「謎が多い子だな・・・眠っている顔は可愛い顔しているんだがな」

馬車に揺られながら、オリーブの膝枕の上で気持ちよさそうな寝顔でカインは眠っていた。

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