↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が言うのも何ですが、勇者が魔王の子を育てて大丈夫ですか?  作者: 日昇
第1章 幼少期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/97

63 試合会場は大混乱となっているようですが、大丈夫ですか?

「皆さん、その魔族から離れてください!」

アルバートは真剣な表情で剣を構え、セヴァスを本気で斬ろうとしていた。

「待ってください、アルバートさん。この人は僕の執事なんです!」

カインはアルバートの目の前で両手を広げ、セヴァスを守るように立っていた。

アルバートの振り上げた剣は止まった。

「カイン様、わかっているのですか?あれは魔族ですよ」

「知っていますよ。セヴァスは僕の本当のお父様の側近だったのです」

「カイン様の本当の父上・・・ということは魔王ベザレルの側近!?」

「セヴァスのことはまた後で説明します。それよりもお兄様に何かあったのですか?」

「そうだった。カイン様、今、バルチャは大変なことになっています。とにかく危ないですので、逃げてください」

(まさか・・・他にも魔族が?)

「セヴァス、先に様子を見てきてくれ!」

「承知いたしました」

「カイン様、それは!・・・うぁ!」

カインの命令でセヴァスはカインの影から試合会場まで向かった。その光景を見たアルバートは驚いて、口を大きく開け、目を見開いていた。

「カイン様、魔族に向かわせたら・・・」

「大丈夫ですよ。セヴァスは安易に人を殺しませんし、僕の命令しか聞きません。安心してください。それより、何が起きているのか説明してもらえますか?」




カインがトイレに行くと嘘をついてベルネットの研究室に行っている間、試合会場では事件が起きていた。

いよいよ新人戦の魔術部門がはじまり、最初はスチアートとイエッツェとの対戦だった。


「スチアート王国代表、アベル・デイヴィス。イエッツェ王国代表、ヴェルナー・ズオン。前へ」


(前に会った時と少し雰囲気が違うような気がする・・・気のせいか?)

アベルとヴェルナーは一度顔合わせをしていた。傲慢な態度はあったものの、どちらかというと真剣勝負を望む脳筋タイプの人間に見えた。


「正々堂々と勝負をしよう。手を抜くなよ」

ヴェルナーから握手を求めるほどだった。

しかし、今回は明らかに雰囲気から違った。ヴェルナーから感じる魔力もヴェルナーではないように思えた。


試合開始直後からアベルは身体に違和感を覚えた。

(何だ・・・この感覚は・・・誰かに操られているようだ・・・やはり、おかしい・・・)

ヴェルナーは余裕の表情で攻撃してきた。

「すまないな・・・強くて」

ヴェルナーは一瞬で勝負が決まると思っていたのか、すでに勝負がついたかのような笑みを浮かべていた。

しかし、アベルは勇者アーサーの血を引いている。カインの魔術には程遠いが、そう簡単に倒れるようなアベルではなかった。

ヴェルナーは炎属性の魔法を使う。通常だと氷属性のアベルは不利なのだが、父アーサーと対策を練っていたため、相性の有利だけではアベルを倒すことができなかった。

「おかしい・・・俺が有利なはずなのに、なぜ、魔法が効かない」

アベルにいくら攻撃を与えても、かわされるか、防御されるかのどちらかだった。

ヴェルナーは苛立っていた。

「俺は最強だ。俺が、負けるはずがない。俺が最強だ」

後半は興奮と怒りのあまり魔法の精度がかけ、かわすほどでもないほどだった。

「申し訳ありませんが、終わりにさせていただきますよ」

アベルは天に手をかざし、今使える最大限の魔法を呼び起こした。空気中に漂っている空気が無数の氷の柱となり、ヴェルナーの頭上にあった。

「俺は最強なんだ!」

ヴェルナーがそう叫んだ時、ヴェルナーの身体に異変が起きた。

筋肉が膨張しはじめ、着ていた服は裂けた。体の大きさも二倍ほどになり、会場からは叫び声が上がりはじめ、パニックになりはじめた。

「なぜ・・・どういうことだ」

目の前にいるのはもはや人間ではなかった。ヴェルナー赤い目をした猛獣の姿となり果てていた。


「アベルー!」

駆けつけたのはアーサーだった。

「大丈夫か?」

「はい、それより、これはどういうことでしょうか?」

「わからない。とりあえず、アベルは逃げろ」

「しかし、お父様」

「大丈夫だ。それより、今、アルバートがいない。ミディアンたちを守ってくれ」

「・・・わかりました」

ミディアンの実力ならば、娘のレアも侍女たちも余裕で守ることができる。アルバートの名を出したのは、責任感の強いアベルを逃がすための口実だった。

アベルが無事に逃げたところを見届け、アーサーは目の前の猛獣に剣を構えた。

(人族が魔族に?どういうことだ?アルバートにグレイス・リーを見張らせているはずだ。報告がないということは、別の魔族が関係しているのか?)

猛獣となったヴェルナーは容赦なく攻撃してくるが、アーサーは下手に殺せなかった。

殺してしまうとヴェルナー自身も亡くなる可能性があった。

危害を加える可能性のある魔族となったヴェルナーだが、元は普通の人間。アーサーもヴェルナーに会ったが、とてもこんな事件を起こすような人間には思えなかった。できれば、殺さずにこの場を収めたかった。

(攻撃が重いし、炎属性の俺よりも攻撃魔法が強い。早く終わらせなければ、持久戦になったら魔力がもたないな)

致命傷にならない傷を負わせることはできていたが、倒れる気配はない。

アーサーは苦戦を強いられていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。