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僕が言うのも何ですが、勇者が魔王の子を育てて大丈夫ですか?  作者: 日昇
第1章 幼少期

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6 本当の父親が魔王だったのですが、大丈夫ですか?

魔王城に来たカインは閉じ込められるかと思っていたが、意外と自由に過ごせていた。

まだ魔法もろくに使うことのできない五歳の子供が逃げ出すことがないと思っているのか、カインにはガドの意図が理解できなかった。しかし、自分に対する敵意は一切感じられなかった。むしろ、親近感さえ湧いた。

カインはセヴァスに連れられ、魔王城の中で”開かずの間”と言われている部屋の前に連れてこられた。

「セヴァス、ここは何の部屋ですか?」

「部屋に入ればわかりますよ」

セヴァスが鍵を開け、中に入ると、勝手に灯りがつきはじめた。

部屋の中には代々の魔王の肖像画が飾られていた。

「一番右に飾られているのが、先代の魔王様です」

「魔王?セヴァス、先代の魔王は人族だったのですか?」

どの肖像画を見ても魔王の頭には角が二本生えており、どちらかというと怪物のような容貌をしていた。しかし、先代の魔王だけはどこからどう見ても人族のようだった。唯一魔族だと言えるのは、魔族の特徴である赤い瞳であることだった。

「魔族の中でも人族のように変化できるのは、ごくわずかなのです。格上、私もその一人です。あとは、魔王様の弟君のガド様とかでしょうか」

「魔力が強いのですか?」

「そうですね。一概に魔力が強いイコールではないのです。そうですね・・・生まれつき持って生まれたものとでもいうのでしょうか?魔力が弱くても人族のような魔族はいます。魔族の中にもいろいろございまして。このように話すことができる魔族もいれば動物の知能しかない魔族もいます。他種族と比べて、魔族は複雑なのです」

「なるほど・・・それで、なぜ僕をこの部屋に連れてきたのですか?」

「カイン様は自分の出生について何も聞いていないのですか?」

「はい・・・ただ、疑問には思っていました。僕は本当に勇者アーサーとミディアンとの子なのかと」

「カイン様は先代の魔王ベザレル様のご子息でいらっしゃいます」

(やはりそうか・・・)

カインは先代の魔王の肖像画を見た時から、そうではないかと感じていた。容姿は全く似ていないが、なぜか本当の父親ではないかと妙な親近感を感じていた。

「坊ちゃまは驚かれないのですね」

「何となくそんな感じがしていましたので・・・僕の本当のお母様は誰なのですか?」

「それは・・・私にもわからないのです」

「???なぜですか?僕はこの魔王城で生まれたのですよね?」

「はい、しかし、魔王様は奥様のことを一切誰にも明かさなかったのです」

「セヴァスにもですか?」

「はい・・・私は魔王様の側近ですので、魔王様に関することは全て把握していました。しかし、坊ちゃまの母君だけは・・・私であっても教えて下さりませんでした」

「僕のこの白髪と金色の瞳は母から受け継いだはずです。心当たりはないですか?」

「はい、全くございません」

(僕の母は一体誰なんだろうか?魔王はなぜそこまでして母の存在を隠したのだろうか?)

「しかし、坊ちゃまは小さい頃のベザレル様にそっくりですね。まだ五歳にも関わらず、何事にも動じないさまはベザレル様そのままです」

「そうなのですか・・・」

カインは少しうれしく感じた。もう二度と会うことのできない実の父を心で感じることができた。

肖像画の下には多くの本が並べてあった。カインは興味を持ち、一冊手に取った。

「坊ちゃまにはまだ難しいかと・・・」

「この本は何の本ですか?」

「この大陸の歴史書や闇属性に関する魔法書とかですかね。坊ちゃまは魔法をもう使えますか?」

「いえ、まだです。自分がどんな属性魔法を使えるのかもまだ知りません」

「坊ちゃまは魔王様の子ですので、闇属性の魔法が使えるとは思いますが・・・魔法の属性は母親の属性も影響します。母君が誰かわからない今、確実なことは言えないですね」

カインは手に取った本を開いて読んでみたが、やはり難しかった。


セヴァスは急に顔色を変え、ため息をついていた。

「どうしたんですか?」

「坊ちゃま、ガド様がお呼びです。戻りましょう」

カインは持っていた本は持って行くことにし、セヴァスとともにガドのところへ向かった。




「魔王城に来るのも久しぶりだな」

アーサーは魔王城のすぐそばまで来ていた。

「待ってろ、カイン。父様が必ず助けてやるからな」

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