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僕が言うのも何ですが、勇者が魔王の子を育てて大丈夫ですか?  作者: 日昇
第1章 幼少期

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48 殺意でも敵意でもない不思議な視線を感じるのですが、大丈夫ですか?

「カイン君、痛かったら言ってくれよ」

「はい、わかりました」

ベッドに寝て上半身裸のカインの胸にベルネットの指先が触れていた。




ベルネットの研究室にコールが豪快に扉を開けて入ってきた。

「ベルネット先生、帰って来たなら、理事長に報告してくださいよ・・・って、カイン君に何をしているのですか!」

コールの目から見ると、カインが服を脱がされ、ベルネットに襲われているように見えていた。

「何をって・・・カイン君の身体を調べているんだよ。コール先生も見てください。カイン君、まだ七歳なのに見て!筋肉がすごいんすよ。それもバランスよく筋肉がついていて・・・」

これ以上ベルネットのスイッチが入るとカインの全身をくまなく調べそうな勢いだったので、コールはカインの身を案じ、ベッドから下ろし、服を着せた。

「これからが本番だったのに・・・」

ベルネットは子供のように不貞腐れながら、ソファーに座った。

「カイン君、大丈夫?」

「はい、大丈夫ですよ?ベルネット先生は僕のことを調べてくれていただけですから。どうしてコール先生はそんなに慌てているのですか?」

「あぁ・・・うん・・・カイン君が大丈夫ならそれでいいのよ」

コールは純粋なカインを見て、ベルネットがカインにやましいことをしようとしていたと勘違いしていた自分が急に恥ずかしくなった。

「その・・・ベルネット先生。カイン君はもうよろしいですか?今からアーサー様のところに連れて行きたいのですが」

「いいですよ。本当はもっと隅々まで調べたかったですが・・・またの機会にします」

「隅々って・・・そんなことしたら怒られますよ」

「怒られるって・・・私はカイン君のためにやっているのですから、怒られるわけないでしょう?カイン君、またね」

(そうだった・・・こっちはこっちで男女の関係のあれこれに関しての知識は皆無だった)

ベルネットは基本的にすべてを研究対象としか認識していないため、恋愛や男女関係についての知識はゼロに近かった。

カインはベルネットに一礼をして、部屋から出て行った。




「お父様は今、ここの先生をしているのですよね?」

「そうよ。名目はバルチャの指導よ。勇者アーサー様ぐらいだから、お一人で、剣術、武術、魔術の指導できるのって」

「やはり僕のお父様はすごいですね」

カインは自分の父親が誇らしく思った。普段は子供たちに甘く、残念な父親に近いが、家を一歩外に出れば、英雄勇者アーサーの顔になる。

「あの・・・バルチャって何ですか?」

「そうよね。カイン君は知らなかったわね」

コールはカインにバルチャについて簡単に説明した。


「えっ?お兄様はそれに選ばれているのですか?」

「カイン君、何も聞いていなかったの?」

「そうですね・・・」

(魔族が紛れ込んでいるからお父様が呼ばれたのですよね?なんて聞けるわけないし・・・というかセヴァスはお兄様にことは教えてくれなかったな。あとで問い詰めよう)


コールと会話しなが連れてこられたのは、ゴーレム事件で来たことのある訓練場だった。

「マリーさん、私は今から授業があるので、カイン君のことをお願いできますか?終わったら理事長室にお願いします。王宮からの迎えが来るまで、そこで待っていてください」

「わかりました。ご案内ありがとうございます」

「じゃあまたね、カイン君」

「はい、ありがとうございました」

コールを見送った後、訓練場の見るとそこには四人の姿があった。

「マリー、あれって、お父様とお兄様だよね」

「そうですね。しかし、さすが勇者アーサー様ですね。三人を同時に、それも的確に指導なさっていますね」

訓練場ではアーサーの指導の下、ライリー、ティリー、アベルがそれぞれバルチャに向けて訓練していた。

アーサーの観察眼は鋭く、同時に三人が訓練していても、的確にアドバイスをしていた。


「よし、一旦休憩しよう。俺は飲み物を持ってくる。適当に休んでいてくれ」

三人はアーサーに一礼すると、その場に座り込んだ。


「なぁ、アベル。あそこにいるのってアベルの弟じゃないか?」

ライリーが指をさす方角を見ると、白髪の小さい男の子とメイド服を着た侍女の姿があった。

カインたちも気づいたのか、小さな手でこちらに向かって手を振っていた。

「アベル、例のゴーレムを凍らせたのってあの弟だろ?さすが、勇者アーサー様の息子たちだな。アベルもそうだが、あの弟もすごい奴だな」

「弟は優秀ですよ。今、弟と戦っても勝てる気がしません。同じ氷属性ですが、私の方が負けてしまうでしょうね」

アベルの言葉は謙遜でも何でもなかった。あのゴーレムを止めた氷魔法を見た時、カインが神の領域にも近い才能を持っているとアベルは確信した。

「アベル君・・・アベル君も強いです。頑張りましょう」

「ありがとうございます、ティリー。そうですね。弟にとって自慢の兄になれるよう頑張りますよ」

飲み物を抱え戻って来るアーサーもカインたちに気づき手を振っていた。

「あと五分休憩したら、再開しよう。皆、初等部とは思えないほどだ。バルチャでもきっといい活躍ができるだろう」

「期待に応えられるよう頑張ります!アベル、ティリー、絶対優勝しような」

三人はハイタッチをして、訓練を再開した。




「・・・」

物陰に隠れたある人物は瞬きすることなく、じっと白髪の子供を観察していた。

(さっきから誰かに見られているんだよな・・・でも殺意も敵意も全く感じない・・・後でセヴァスに頼むか)

訓練場に着いた時から誰かに見張られている気がしていたが、その視線に違和感を覚えていたので、カインは様子を見ることにしていた。

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