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僕が言うのも何ですが、勇者が魔王の子を育てて大丈夫ですか?  作者: 日昇
第1章 幼少期

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46 先生に服を脱がされているのですが、大丈夫ですか?

スチアート学院に向かう馬車の中でも、ベルネットは根掘り葉掘りカインを質問攻めにしていた。

「ところで、ゼイン神官長とベルネット先生はどういう関係なのですか?ゼイン神官長がベルネット先生のことを話している時、知っているような口ぶりでしたので」

「あぁ、私はあの教会で育ったから」

「そうなのですか?」

「五歳の時に捨てられたのさ。まぁ、見ての通り私って興味を持ったものは、とことん研究しないと気が済まないけど、興味ない事はとことん何もしないし、学ぼうともしないから・・・でも、むしろグローリー教会で育てられて感謝してる。おかげさまで私は好きなことを自由にできたし、今も好きな研究が続けられているから」

ベルネットは笑ってはいたが、どこか悲しそうでもあった。

「私のことはいいんだよ。カイン君、ちょっと失礼するよ」

「えっ?」

カインはいきなり服を脱がされた。

「ちょっと、ベルネット先生。何をなさっているのですか!」

マリーは脱がされた服をもう一度カインに着せながら、ベルネットを止めた。

「だって、全属性が使える子供だよ。どんな体をしているのか興味あるでしょ?大丈夫。カイン君はまだ子供だから問題ない」

「問題ありますよ!」

今度は下まで脱がそうとしていたため、さずがにカインも抵抗した。

「恥ずかしがることないのに・・・、わかったよ。今はやめとくよ」

腑に落ちない表情をしながら、またもやカインを質問攻めにしてきた。

カインは乙女のように身を護る姿勢を取りながら、答えられることは素直に答えていった。




ベルネット専用の研究室は物は多いが、意外と整然としていた。

「適当に座っていいよ。今、飲み物入れるから。カイン君はオレンジジュースでいいかな?」

「はい、ありがとうございます」

ベルネットのことを研究にしか目がない人だとカインは思っていたが、普通に人をもてなし、子供にも気を遣える。馬車で服を脱がされたあの時の人は、一体誰なんだと思うほどだった。

「こんなこというのも失礼かもしれませんが、ベルネット先生は意外と普通の人なのですね」

「えっ?普通?はっはっはっ。カイン君は子供なのに・・・いや、ありがとう」

カインとしては失礼を承知で発言してたため、逆にお礼を言われるとは思ってもいなかった。

「基本的に私は衝動的に行動してしまうんだ。馬車の中でカイン君の服を脱がせて調べようとしたようにね。一応、言っておくけど、カイン君が子供だからあぁいう行動をとっただけで、大人にはしないよ。他種族を含めてね」

(逆を言えば、子供だったら服を無理やり脱がせるのか?犯罪の臭いしかしないけど)

事実を知るのが怖ろしかったので、それ以上は触れないことにした。

「でも、一応グローリー教会で育ってきているから、一般的な常識はあるんだよ。大体の人は、私のことを”変人”とか”頭がイカれている”とか一方の私しか見ないから、馬鹿にするんだ。まぁ、私も悪いんだけど・・・でも、カイン君はそうじゃなかった。なんか、初めてかもしれない。”普通の人”って言われたの。うれしいもんだね」

ベルネットは子供のように無邪気に笑っていた。

「失礼ですが、ベルネット先生っておいくつですか?」

「カイン君、レデイに年齢を聞くのは失礼だよ。なんてね。今年で二十歳だよ。正確にはまだ十九かな?」

「えっ?私と三つしか変わらないのですか?」

ベルネットの年齢に驚いていたのは、マリーの方だった。

「失礼だね。でもまぁ、こんな風貌だから良く年上に見られるね。グローリー教会のエルシー・・・ゼイン神官長とは同じ歳なんだよ。学院ではクラスも一緒で。私のことを心配してくれる唯一の・・・家族、姉みたいなものかな」

カインはここでやっとゼイン神官長とベルネットとの関係がつながった。

「さて、話しはこれくらいにして、カイン君・・・これを頭に被ってくれるかな?」

ボウルのような形をしたものに無数の太い管が張り付いていた。

「何ですか・・・これ?」

「名付けて『ゴー・バック・イン・タイム』。略して”ゴーちゃん”。要するに過去に遡って記憶を辿る機械だよ。私にはそんな魔法使えないから、研究に研究を重ね、産み出した我が最高傑作なんだよ。この機械では、生まれた時の記憶まで遡ることができるんだ。これで、カイン君の赤ちゃんの時の記憶まで遡ったら、カイン君のお母様を拝むことができるってわけさ」

ベルネットからゴーちゃんを受け取ったが、その手は震えていた。

「ちなみに・・・ゴーちゃんにつながれた、これを被れば、カイン君と同じ記憶を見ることができるんだよ」

カインが持っている帽子のようなものとは違って、ベルネットの持っているものは防毒マスクのような、いかにも怪しそうなマスクだった。

カインは手を震わせながら、ゴーちゃんを被った。

「では、行くよ!」

カインは大きく深呼吸をして、目を閉じた。

(本当にお母様に会えるのかな)

カインの心臓の鼓動は一気に加速した。

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