37 大人たちの話し合いで氷属性しか使えない設定にされたのですが、大丈夫ですか?
「アーサー、真面目な話をするが、その子は絶対に外に出してはならないぞ。イエッツェはもちろんのこと、フェーズ、グレテス・・・いや、他の種族もカインを攫いに来るかもしれない・・・それにしても、魔族に育てられなくてよかったよ。こんな子が大陸を支配しようとしたら、一日で完結してしまうだろうからな」
「わかっている。現に魔族に攫われたこともあるしな・・・この子は特別な子だ。しかし、カイン自身は自分がどれだけ特別な存在なのかまだ理解していない。今回の魔法もそうだが・・・カイン、あの魔法はどうやって覚えた?」
「わかりません。何となくあのゴーレムを氷漬けにしたら、お父様が倒せるかなと」
「カイン、あの結界魔法はどうやったの?」
(カイン?いつの間にか敬称がなくなっている)
カインはダリアが自分の名前を呼び捨てしはじめたことに関心が向いていたが、アーサーたちは違った。
「結界魔法?聖属性のあの魔法のことですか?」
「アーサー様違います。カインが私とルーシーを守った時の防御結界は、アメジストのような綺麗な防御結界で、聖属性の防御結界とは全く違います。まだ私も初級しか使えませんが・・・」
そう言ってダリアが実際に防御結界をやって見せた。手のひらサイズほどで鼠ぐらいしか守れなさそうな防御結界だったが、太陽のようにキラキラ輝く美しい結界だった。
「カイン、できるか?」
「わかりませんが、やってみます」
カインはあの時の感覚を思い出して、やってみた。すると、カインが生み出した結界が理事長室全体に広がっていた。ダリアが言うようにアメジストのように淡い紫色で聖属性の結界とはまた違う美しさがあった。
「これは・・・闇属性なのかもしれないわね。闇属性魔法は基本的には攻撃的な魔法や人を惑わすような魔法が多いと聞いていたけれど、こんな魔法もあるのね・・・ハイブリッジ理事長、この子をベルネット先生に会わせてみたらどうですか?」
「ベルネット先生か・・・そうですね。それはいい案かもしれませんね」
「ジェイダン、ベルネット先生とは?」
「あぁ、この学院で魔法の研究をしている先生だ。一応、この学院の先生で優秀な先生なのだが・・・研究しかしていない。少し変わった先生で・・・今は、獣人族のついて調べに出ているから・・・いつ戻って来るかはわからないな。戻ってきたら、会わせよう。ベルネット先生のことだ。きっとカイン君の話を聞いたら、飛びつくだろうから」
アーサーは頭に不安がよぎったが、カインについて何かわかることがあるのならば、その可能性に賭けようと考えた。
「ジェイダン、よろしく頼む。魔族たちはカインを魔王にしようとしている。カイン自身、まだ自分の力の使い方もどんな魔法をどれだけ使えるのかもわかっていない。この年齢なら当たり前なのだが・・・魔王ベザレルからカインを受け取った時から、私の願いは一つだ。私の大切な息子として、健康で元気に幸せな時間を一緒に過ごせれば。それだけだ」
ジェイダン、コールはアーサーの言葉に涙を滲ませ、ルーシーは涙を流し、マリーが泣くのを我慢しながら、ルーシーの涙を拭いていた。
(やっぱりカインは凄い・・・私の婚約者がアベル様ではなくて、カインだったら・・・)
(あの氷魔法はどう説明するのかな)
子供である二人は、感動している大人の横で、全く関係ない事を考えていた。
「お父様、僕たちもついていってよろしいのですか?あのゴーレムの氷漬けはどう説明するのですか?」
アーサーはカインと侍女マリーを引き連れ、アベルのクラスまで向かっていた。
「カイン、父様は炎属性だが、母様は?」
「お母様は氷属性です」
「じゃあ、カインが氷属性ということでいいだろう」
「そんな感じでいいのですか?」
「言っただろう?ミディアンは上級魔法の使い手だって。その子供があの魔法を使えてもおかしくないだろう?それと、カイン。今後、氷属性だけは皆の前でも使っていいぞ」
「はい・・・わかりました」
カインの知らないところで大人たちが勝手に結論を出し、氷属性しか使えないことになっていた。
「ところで、ダリアはなぜ来ないのですか?」
「王女殿下が授業を見に来たら、生徒たちが落ち着かなくなるだろう?ダリア王女殿下もアイビー王女殿下もそれぞれ美しさと可愛さがある。この国では人気なのだよ。そんな王女殿下たちの婚約者がまさか俺の息子たちとは・・・もしかしてダタンに仕組まれていたのか?」
「どういうことですか?」
「本当は二人の娘を嫁に出す気などなかったんだよ、ダタンは。でも、一応、国王だろう?変な男に嫁ぐくらいなら、俺に息子にと思ったんだろう。アベルもカインも俺に似て男前だからな」
「お兄様はわかりますが、僕の容姿はお父様には関係ないと思いますが」
「強ち、そうとは言い切れないぞ。環境が人を作るっていうだろう?」
「何か的外れのような気がしますが」
そんな話をしているうちにアベルのクラスに着いた。
「カイン、緊張してるか?」
「いえ、全然」
「だろうな?」
アーサーは教室の扉を勢いよく開けた。
教室中に黄色い声が響いていた。




