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僕が言うのも何ですが、勇者が魔王の子を育てて大丈夫ですか?  作者: 日昇
第1章 幼少期

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30 やはりここは神頼みのようですか、大丈夫ですか?

ヒューゴに保護された九人の少女とヒューゴの家族はスチアート王国のグローリー教会で保護された。

スチアート王国にはフェーズ王国、グレテス王国からそれぞれ国王代理の使者が送られ、エルフ、ドワーフ、獣人の長達も集まっていた。その中にはヒューゴの姿もあった。皆でハーヴェイの侵攻をどう止めるべきか話し合っていた。

エルフ族の長がある疑問を投げかけた。

「一つヒューゴに聞きたいことがあるのですが、そのハーヴェイという男は攻撃された魔法しか使えないということですよね?」

「はい、その通りです。しかし、ハーヴェイ小隊長は父オスカー第二軍小隊長から訓練を受けていました。さまざまな魔法を習得しているので、ハーヴェイ小隊長一人で何十人、いや、何百人と戦うのと同じくらいの強さを持っています。何なら、国を滅ぼすことも容易かもしれません」

「たしか、イエッツェ王国の王族の使える魔法は炎属性と嵐属性ですよね?」

「はい。貴族の者は大体そうです。平民は水属性と土属性が多いですが」

「ではこういう作戦はどうでしょうか?」

エルフ族の長の提案はまさに目から鱗だった。


「なるほど・・・それは良い作戦ですね」

「我々もすっかり見落としていました」

「それで行きましょう」

ハーヴェイの侵攻を止める作戦はエルフ族の長の提案に沿って話し合われることとなった。




ルーベンはグローリー教会の礼拝堂で、跪き、神に祈りを捧げていた。

「国王様でも神に祈りを捧げられるのですね。イエッツェでは国王が神だと崇められていましたので」

ヒューゴの妻イライザは不思議そうにルーベンの様子を見ていた。

「この国は神によってすべてが創造されたと信じられている。だから、例え国王であっても神には逆らえぬ。今後の導きも神に願うしかない。もちろん、努力はするがな」

イライザは感動していた。イエッツェの国王は独裁者で、信頼する者以外は見下し、ただの駒のようにしか見ていなかった。国王は国王でもこんなにも違うものなのかと、はじめはスチアート王国に亡命することはためらっていたが、来てよかったと改めて感じていた。


「国王様、こちらの予測通りハーヴェイ率いる軍がスチアート王国に向かってます」

「そうか。わかった」

ルーベンが立ち上がろうとした時、謎の光がルーベンを包み込んだ。

「国王様!」

その光景はルーベンが神から祝福されているようだった。

ルーベンは光に包まれながら、再び跪き、感謝していた。ルーベンを包み込んでいた光は風に吹かれるように去って行った。

「国王様、大丈夫ですか?」

心配そうに駆け寄ったセムだったが、心配は無用だった。

ルーベンは安心したような笑みを浮かべ、力強く言った。

「セム、どうやら私たちには神が味方してくれるようだ」

「???」

セムはルーベンが何を言っているのか理解できなかったが、その確信に満ちた表情を見て、全てが上手くいきそうな気がしていた。




「まずはスチアート王国を。四国の中で最も力の強い国だ。この国を支配すれば、他の国を乗っ取ることなど造作もない」

意気揚々とスチアート王国に向かっていたハーヴェイだったが、この時、ハーヴェイは気づいていなかった。後ろにいるはずの騎士団たちが次々に倒れ、何者からによって、連れ去られていることに。




ハーヴェイたちはスチアート王国とイエッツェ王国の国境にたどり着いたが、違和感を感じていた。

「おかしい・・・門兵が一人もいない・・・どういうことだ?」

妙な胸騒ぎがし、後ろを振り返ると大勢いたはずの騎士団がわずか十人になっていた。

「どういうことだ?なぜ騎士団がいない?」

ハーヴェイの馬は特別速い馬であったため、後方の騎士団たちはついていくので精いっぱいだった。そのため、後方の騎士団たちが徐々に消えていることに、誰一人として気づけなかった。

「何が起きている・・・」

すべての国を支配できることを確信していたハーヴェイは動揺しはじめていた。

「随分動揺されていますね。ハーヴェイ小隊長」

「その声は・・・ヒューゴ」

ハーヴェイたちの後方にニヤニヤしながらヒューゴが現れた。

「貴様、私に殺されに来たのか?」

「いえいえ、滅相もございません」

(おかしいぞ・・・常に敵が近づいていないか魔法で確認していたはずなのに・・・人が近づく気配がわかるはずだ・・・なぜこいつが近づくのも後方の騎士団が消えているのもわからなかったのだ)

ヒューゴは急に笑い出し、ハーヴェイが頭の中で疑問に感じた答えをそのまま伝えた。

「ハーヴェイ小隊長、ここに来る前に、騎士団の皆で酒を飲んだでしょう?その酒にちょっと小細工をさせてもらいました」

「何を入れたんだ!・・・もしかして毒か!」

「いえいえ、違いますよ。ある者からいただきました・・・魔力を弱らせる薬です。作り方は私も知りませんので、教えられませんよ」

自分が最強だと自信過剰になっていたハーヴェイは魔力が弱っていることに気づかなかった。そのため、ヒューゴが近づいていることも全く気付かなかった。

「この薬はある方法でしか治すことができないので・・・まぁ、教えませんが」

「ふんっ、お前ごとき、今の私の力でも十分だ。覚悟しろ。この怒りはお前を殺しても殺したりない」

「どうぞ」

不自然なほど余裕なヒューゴだったが、感情が高ぶっているハーヴェイには冷静に判断する能力は残されていなかった。

「お前ら、あいつを殺せ!」

皆でヒューゴに襲い掛かろうとした時、無数の矢が飛んできた。

「う゛っ!」

ハーヴェイたちは次々と馬から落ちていった。

「この矢・・・毒が・・・」

「そうですよ。しばらくは動けませんので、大人しくしてくださいね」

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