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僕が言うのも何ですが、勇者が魔王の子を育てて大丈夫ですか?  作者: 日昇
第1章 幼少期

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28 僕の先祖って結構なクズ男のようですが、大丈夫ですか?

ハーヴェイはイエッツェ国の騎士団第二軍小隊長、オスカー・ヨーマンの長男で、幼い頃より将来、父オスカーの跡を継ぎ騎士団に入るため、訓練を受けていた。

その日もいつものようにオスカーとハーヴェイ親子は剣の訓練をしていた。

オスカーは氷属性の持ち主で普段は魔法を使うことはないのだが、ハーヴェイの魔法の能力を確かめるために、剣の訓練中であったが、不意打ちで魔法の攻撃を仕掛けた。少し太い針のような氷がハーヴェイに向かって放たれた。

(えっ?魔法?何で?)

ハーヴェイは父オスカーにいきなり魔法を放たれ、パニックになっていた。咄嗟に手で魔法を防ごうとした時、ハーヴェイの手からはオスカーの氷属性の魔法と同じ、いや、それ以上に槍のような太くて大きな氷の凶器がオスカーの攻撃を全て打ち砕いた。オスカーは思わぬ反撃に驚きながらも、冷静に氷の盾を生み出し、ハーヴェイの攻撃を防いだ。

「ハーヴェイ、すごいぞ!お前も私と同じで氷属性だったのか!」

ハーヴェイ自身は何が起こったのか理解できておらず、呆然としており、気づけばオスカーに空高くまで抱き上げられていた。

この時のオスカーは、将来のヨーマン家は、ハーヴェイによって明るい未来が訪れると確信していた。しかし、実際はその逆だった。明るい未来どころか、ヨーマン家の崩壊は一歩ずつ近づいていた。




オスカーはハーヴェイの能力を伸ばすために、自分の騎士団の団員を使い訓練した。剣術だけではなく、魔法の訓練もした。その結果、ハーヴェイは自分に向けられた攻撃を真似をすることができ、なおかつそれ以上の攻撃を繰り出すことができる。それに加え、一度使った魔法は自由自在に使えることもわかった。ハーヴェイは属性関係なくどんな魔法も使うことができた。この類まれなる才能を持つハーヴェイはイエッツェ国の国王の耳に入ることとなった。


ハーヴェイは国王から認められ、十二歳にして騎士団第四軍小隊長に任命されることとなり、まだ父オスカーが存命にも関わらず、騎士爵位が与えられることとなった。

まだ子供のハーヴェイに父にも近い年の大人たちが付き従う姿に、ハーヴェイは自分が偉くなったように錯覚した。まるで自分を中心に世界が回っているかのように。


十五歳になる頃には父オスカーが手が付けられないほど、傲慢な少年に成長していた。

気に入らないことがあれば、その場で罰を与え、国王の前では団員思いの小隊長を演じる。

魔法ではハーヴェイに敵う者はいなかったため、理不尽なことがあっても騎士団員たちは誰一人反抗することができなかった。

イエッツェ国の国王もハーヴェイの表面しか見ておらず、ハーヴェイに絶大な信頼を寄せていた。そのため、すでにハーヴェイの手によって、国全体がとんでもない状況になっていることに気づいていなかった。なぜならば、国王の側近でさえ、弱みを握られ、脅されていたからである。




「ハーヴェイ小隊長、あの・・・その・・・」

「何だよ。はっきり言えよ。もう片方の目も失明したいのか?」

ヒューゴは騎士団第四軍副隊長で年はハーヴェイの父オスカーと同じぐらいだった。

ハーヴェイのある秘密を知ってしまったが、命は取られなかった。しかし、その代わりに左目を斬られ、その秘密を隠すため、協力させられている。

「いいえ、あの町の少女が・・・また・・・」

「はぁあ、僕の遺伝子って強いのかな?でも、遊びだからな。いつも通りにしといて」

「・・・ハーヴェイ小隊長、もうそろそろ少女たちをおもちゃのように扱うのは・・・」

「何?」

ヒューゴは無言で頭を下げ、去った。




「これを飲んだら・・・楽になるから」

ヒューゴは涙ながら、監禁されている少女にある薬を渡した。

「ヒューゴさん、いつもありがとう」

ヒューゴは涙ながらに周りにいる少女一人一人の顔を見ていた。十二歳から十八歳までの貧しい家の娘たちで奴隷商人に売られていた。その中にはエルフ族と獣人族もいた。十人の少女たちを買い取ったのはハーヴェイだった。

彼女たちはハーヴェイから肉体的に酷いことをされているのも関わらず、感謝していた。

監禁されているとはいえ、この屋敷にいる限りは衣食住には困らない。ハーヴェイへの夜の奉仕にさえ耐えれば、生きていられる。

お金持ちの太ったおじさんの奴隷となり相手をするよりかは、見た目がよく、若いハーヴェイの方が彼女たちにとっては、はるかに良いご主人様だった。

「みんな・・・ごめんよ・・・」

自分の娘にも近い年頃の娘たちが衣食住のためにハーヴェイに身を捧げる。

ヒューゴには耐えられなかった。

(私がこの子たちを助けなければ・・・)

ヒューゴはある決心をしていた。




「国王様、イエッツェ国との国境の門兵がある怪しげな男にこの文を渡されたそうです。その場で捨てようとしたようですが、内容が内容でしたので・・・」

当時のスチアート王国の国王は文の内容を読んで驚愕した。

「・・・これは・・・本当のことか?」

「わかりません。ただ、事実でしたら大変な事です」

「セム、早急に誰かをイエッツェ国に送り込め。この文を渡した者も調べろ」

「この文を渡した者についてはすでに調べさせてます」

「さすが、セムだ」

(嫌な予感がする・・・)

スチアート国王は歴史が変わるような出来事が起こりそうな、そんな胸騒ぎがしていた。

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