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僕が言うのも何ですが、勇者が魔王の子を育てて大丈夫ですか?  作者: 日昇
第1章 幼少期

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25/29

25 王宮に住むことになったのですが、大丈夫ですか?

「俺はカインに話があるのだ。他のやつには用はない」

アーサーはカインの前に出て、カインを自分の背後に隠すように守っていた。

ガドはアーサーの殺意に満ちた視線を見て、ため息をついていた。

「こんな奴らに俺らの王が育てられていたとは・・・別に誰も殺す気はないのだが・・・」

瞬きをする速さでガドはダリアを人質にしていた。ダリアの首には今にもガドの爪が食い込みそうだった。

「王女様!」

咄嗟にマリーは叫んだが、マリーは自分の間違いに気づいた。

「へぇー、この餓鬼が王女?」

ガドの力が少しだけ強くなり、ダリアの体は宙に浮き、首から血が流れていた。

「叔父様、その手を放してください。僕に話があるのですよね?」

「さすが、カイン。話が早い」

「王女様を放していただけますか?」

「んー・・・」

ガドはからかっているのかダリアの首を絞めたまま離さなかった。

カインはガドの態度に怒りを感じた。

「放してくださいと・・・言いましたよね?」

カインの瞳の色が赤色に変わり、気づけばガドがカインから首を絞められていた。

ダリアはガドから解放され、ミディアンがすぐさま抱き寄せていた。

七歳とは思えないほどの力で、今度は逆にガドが宙に浮いていた。

ガドの顔色は真っ青になっていき、そのまま殺してしまうのでないかと思うほどの殺意をカインから感じていた。

周りの人たちはカインの迫力に圧倒され、声をかけることすらできなかった。

ガドは何とかこの状況から逃れようとして、瞬間移動をしようとしていたが、なぜか魔法が使えなかった。

(何だ?なぜ・・・何もできない・・・)

「カイン!」

アーサーの呼びかけでようやくカインは正気に戻った。その瞬間、ガドは消え去った。


「ダリア王女殿下、大丈夫ですか?」

「えぇ、大丈夫よ。これくらいの傷なら自分で治せるから」

そういうとダリアは自分の首にできた傷を自分で治した。

「ダリア王女殿下、申し訳ございません」

ガドにダリアが王女だということを悟られる原因を作ってしまったマリーは、涙ながらに謝罪していた。

「僕からも謝ります。僕の侍女が申し訳ございませんでした」

ダリアはなぜかもじもじしながらカインに何か言いたそうにしていた。

「ダリア王女殿下、この件はわたくしの監督不行き届きです。マリーには厳しく叱っておきますので。それにしても・・・カイン、お前がここにいることが知られた以上ここにいると危険だ。どうしようか・・・」

「アーサーおじ様、カインを私の家に連れて行ってもいいですよ」

アイラがこの機会を逃すものかとアーサーに提案した。

「なるほど・・・」

「えー、だったら私もカインちゃんと一緒に行く」

「だめです。カインだけ」

アイラとレアが小競り合いをしている中、ダリアが恥ずかしそうにある提案をした。

「アーサー様、その私もカイン様も今は魔族に目を付けられ、危険な状況だといえます。それで・・・その・・・王宮には魔導士団もありますし、騎士団もいます。ですので・・・その・・・」

ダリアが顔を赤らめながら、もじもじし、チラチラこちらの顔を見てくる姿に、カインは気味悪さを感じていた。普段、睨むか無視するかの態度しかされていなかったのに、急に瞳を潤ませながら見てくるので、何か企んでいるのではないかとカインを逆に警戒させていた。

なかなか言い出せないダリアの代わりにアイビーがダリアの代弁をした。

「お姉様、つまり、カイン様は王宮でしばらく暮らすべきだとおっしゃりたいのですね?」

「まぁ、そんなところよ。私まで巻き込んだのはあなたの侍女のせいでしょ。だから、私のことはあなたが守りなさいよ」

(えー・・・)

カインは内心全く気が進まなかったが、マリーの責任は自分の責任でもある。

「・・・そうですね・・・お父様」

カインは何か助け舟を出してほしいと父アーサーに視線を送ったが、期待通りの答えだった。

「・・・カイン。マリーと一緒に王宮に行こう。それが、お前の身を護る最善の方法だ」

(ですよね・・・)


次の日にはダリア、アイビーと一緒にカインとマリーは王宮へ暮らすこととなった。




「まさか・・・カインにあんな力があるとは・・・やはり兄貴の子だ」

ガドは見た目以上にダメージを受けていた。

「ガド様、もう一度勇者の家に行きますか?」

「いや、きっともういないはずだ。さて、次はどこに隠れるのだろうか・・・ゲラル、あいつを呼んで来い」

「かしこまりました」

数分後、ゲラルがガドの目の前にある魔族を一人連れてきた。フードのついたマントを羽織り、顔は隠されていた。

「・・・お呼びでしょうか、ガド様」

「一つお願いがあるのだが」


「かしこまりました」

その魔族は静かに去って行った。

(次こそは・・・)

ガドは小さなペンダントを握り締めていた。そのペンダントの中には、幼い頃のベザレル、ガド、そして二人の母親の肖像画が入っていた。

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