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僕が言うのも何ですが、勇者が魔王の子を育てて大丈夫ですか?  作者: 日昇
第1章 幼少期

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14/27

14 侍女が僕の弱みを握っているのですが、大丈夫ですか?

「アーサー、すまないな。病み上がりだというのにアイラがお世話になったみたいで」

「いや、逆に助かったさ。カインにはアイラのような明るい友人がそばにいたほうがいいんだよ」

「そうか・・・しかし、アーサー、本当に無事でよかった」

「俺は勇者だぜ。そう簡単にはしなないよ」

「そうだったな」

バシャンは友であるアーサーが無事だったことを心の底から喜んでいた。

「そうだ、バシャン・・・いや、何でもない」

「何だよ」

「また別の機会に話す」

「・・・そうか。では、アイラを迎えに行く。ゆっくり休め」

「あぁ、ありがとう」

アーサーはカインとアイビーの婚約の件をバシャンに切り出すことができなかった。




「カインも元気で良かったよ。アイラが邪魔して悪かったな。ゆっくり休んでくれ」

バシャンはカインの部屋に来て、アイラを迎えに来ていた。

「お父様、私はカインの邪魔をしていません。私が寝かしつけてあげたのですよ」

「そうか、そうか。偉いぞ、アイラ」

バシャンは申し訳なさそうな顔をカインに向けながら、アイラの頭をなで、褒めていた。

「バシャン様もわざわざお見舞いに来ていただきありがとうございました。お見送りができずに申し訳ございません」

「カイン、お前は本当に五歳か?」

「はい?五歳になったばかりですが」

バシャンは大笑いしながら、カインとアイラを見ていた。

「将来が楽しみだな。帰るぞ、アイラ」

「カイン、またね」

カインはバシャンの言葉に首を傾げながら、手を振っていた。


「マリー、バシャン様は何を言いたかったのでしょうか」

「んー、カイン様は五歳にして大人顔負けの方ですから、どのような大人になるのかが楽しみという意味ではないでしょうか」

「僕はそんなに大人っぽいかな?」

「そうですね。周りの方から見るとそう見えるかと。でも、私はカイン様の五歳らしい姿も拝見していますので」

「例えば?」

マリーはくすくす笑いながら、カインの耳元で囁いた。

「それは・・・」

カインは顔を真っ赤にしながら、布団の中に潜り込んだ。

(マリーには勝てないな)

マリーは声に出さずに笑いながら、カインを見守っていた。




「お父様、お話とは何でしょうか?」

ダリアとアイビーは国王ダタンに呼び出されていた。

執務室には宰相ハワード・フォックス、王妃リビアの姿もあった。

侍女たちが下がると、ダタンはリビアの隣に座った。

「用事があるのはアイビーだけなのだが、ダリアも知っておいた方がいいと思ってな。アイビー、デイヴィス家の次男カインとの婚約話、決まったぞ」

「本当ですか、お父様」

アイビーは向かい側にいたリビアのところまで行き、うれしそうに抱きついた。

「へ・・・へぇ・・・アイビーとカイン様が婚約・・・そうですか」

ダリアは動揺がばれないように平然を装っていたが、誰の目から見ても隠しきれていなかった。

「どうした、ダリア?なぜお前が動揺しているのだ?」

「お父様、私は動揺などしておりません。うれしくて震えているのですよ」

下手な言い訳だが国王ダタンだけは騙せていた。

「そうだよな」

「でも、お父様。デイヴィス家の長男アベル様と私の婚約が決まっているのに、アイビーもデイヴィス家と婚姻関係を結べば、反感を買うのではないのでしょうか?」

「それは問題ない。アベルは王宮に来ることになるが、カインはデイヴィス家を継ぐ。つまり、アイビーはデイヴィス家の者となる。今やデイヴィス家は王族に次ぐ地位を有している。民たちからもデイヴィス家の者たちは慕われている。快く思わない者もいるとは思うが、祝福してくれる民が圧倒的に多いだろう。それにカインは・・・」

ダタンは何かを言いかけて止めた。

「まぁ、とにかく民も快く祝福してくれる。カインは五歳にしてすでに大人顔負けの紳士だ。アイビーのことも大切にしてくれるだろう」

「そう・・・ですね」

ダリアは必死に感情を押し殺していた。




ダリアは灯りもつけずベッドの上で足を抱え、膝に顔をうずめていた。

「どうしたらこの感情を抑えられるの?何で私カイン様のことを・・・」

アイビーとカインの婚約話を聞いてから、ダリアの心の中でカインの存在がどんどん大きくなっていた。

アベルの婚姻者となってからは、アベルと何度も会話する機会があった。

アベルは優しく穏やかで妹弟思い。顔立ちも良く、十歳にして、多くの女性を魅了している。

しかし、ダリアの心には全く響かなかった。

(あの国の馬鹿皇子がお父様に婚姻話をしなければ、今頃はきっと・・・)

スチアート王国を継ぐのは第一王女であるダリアである。王女として生まれたからには人生を選べないことは理解していた。アベルとの婚約が決まった時も、なぜそうなったのか、それ以外に道がないことも幼いながら理解していた。諦めることには慣れていた。自分自身を言い聞かせ、王女としての我慢する。それが当たり前だった。

しかし、カインのことだけは違った。妹の婚約者となった今、諦めなければならない。いつものように自分自身を言い聞かせようとしていたが、心の中がカインで埋め尽くされていった。

(私・・・どうしたらいいの・・・)

その夜、ダリアは一睡もすることができなかった。

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