ダケヤマのピンチ2
城壁に突っ込むダケヤマを、無謀にも助けようとするカヤタニの姿があった。
「止まれえええ! ダケヤマ~! 今アンタに死なれたら困るんじゃ~!」
「どいてくれえええ! カヤタニ~! 相方をリフトで轢きとうないわ~!」
城壁まで、あと数十メートル。ノーブレーキで突入するスピードは、とても無事では済まないほどの激しい勢いだ。
「きゃああああああ!」
叫ぶカヤタニに呼応するように、思いもしない神風が吹いた。
「どいて下さい! カヤタニさん!」
城壁前に立ち塞がったのはダイナゴン。渾身の風魔法を乗せた一撃を、その愛刀から放ったのだ。
「はあああ! トルネード辻風スペシャル!」
そう叫んだダイナゴンが剣を水平に薙ぎ払った瞬間、旋風からみるみる竜巻が発生して、迫り来るフォークリフトと衝突した。
「うわあああ! ダイナゴンさ~ん?」
ダケヤマの乗ったフォークリフトは、衝撃で押し戻されたかに思えたが耐えきれず、重い車体が波に乗り上げたように宙をふわりと舞った。
「あら? 強すぎました?」
「ぐわ~っ!?」
周囲のゾンビはゴミのように吹き飛ばされた。そして数秒間の空中遊泳を無重力状態のように強いられた後、フォークリフトは重力に引かれ、あえなく落下して地面にめり込んだ。
「ダケヤマ~!」
一番近くにいたカヤタニが、ダケヤマの無事を願い、すぐさま落下地点に駆け寄った。
「オイ! 生きてるか? ダケヤマ! 返事しろ!」
肩で息をしながら到着した現場には砂埃の中、先客の影が揺らめいていた。思わずカヤタニは青ざめて、冷水を浴びせられたように固まった。
「ア、アンタは……!」
何とネクロマンサー・ヘカテが黒いローブを纏ったまま、ゆっくりと振り返ったのだ。
「……お前……この男が大切にしている者か……」
「…………!」
カヤタニは警戒しすぎて言葉に詰まり、何も喉の奥から発する事ができなかった。ヘカテの細い右腕が、ローブから差し出される。
「……よかろう……。死ぬよりも苦しめてやる。……失語魔法!」
フード奥に光る、ネクロマンサー・ヘカテの瞳に魅入られた瞬間、カヤタニは気を失って倒れてしまった。
「危ない! カヤタニさん!」
すぐに駆け付けた円卓の騎士トムヤム君が、見境なく黒き魔女に斬りかかった。だが左腕から発せられた衝撃波によって吹き飛ばされ、そのまま城壁へと叩き付けられた。
「ぐはっ! 何とか……防御するのがやっとだ……!」
次々と集結した円卓の騎士達により、ネクロマンサー・ヘカテは包囲されつつあった。
そこで敵を討ち取る最大のチャンスに恵まれた穴金は、気合いを入れて剣を構える。
「単独で乗り込んでくるとは……。円卓の騎士団も舐められたものだな!」




