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おわコン!~お笑い芸人は異世界で最高のコンビ!~  作者: 印朱 凜
第3章 ブサイクルをリサイクル
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ダケヤマのピンチ


「お~い! ダケヤマ殿~! すぐに車から飛び降りるんだ~!」


 ゾンビの間をすり抜けて、何とか忍者走りで追いかけるカゲマルの声がダケヤマに届いた。


「それが、座席に張り付いたように動けんのや~!」


 ヘルメットのズレで前も見にくくなった、ダケヤマの悲痛な叫びが返ってきた。


「……ヘカテの呪いが掛かっているのか! ……ならば!」


 カゲマルはゾンビの体を踏み板代わりに三段跳びすると、フォークリフトの屋根に飛び移ろうと躍起となった。髪をなびかせ何とか天井に着地した瞬間、相対するヘカテに刀の切っ先を定める、が……隙だらけの体に魔法攻撃をモロに浴びたのだ。


「ぐわあああっ!」


「何や? 一体、屋根で何が起きてるんや?」


 下半身を吹き飛ばされたカゲマルが、屋根から転がり落ちる。とたんに周囲のゾンビが、わっと群がってくるのを感じた。


「痛てて……くそ、やられたか! だがゾンビに食われて再生を続ける無間地獄はお断りだ」


 上半身だけのカゲマルは、右腕と左腕で立ち上がると逃げ始めた。


「再生速度……緊急にして最大!」


 失われたはずの下半身が泡立ち始めたかと思うと、あっと言う間に半身が伸びてゆくように再生された。だが当然、再生されたのは体だけで、袴や褌は失われたままである。


「ダケヤマ殿~! 下半身丸出しの変質者みたいになったから、もう無理だ~」


「あんた何者やねん~?」


「不死身のバンパイア忍者~」


 何やねん! 何でもアリか! 太陽の光は大丈夫なんかい! と思った所で、いよいよ城壁が迫ってきた。石畳の先には姫路城の石垣のごとく強固な造りの壁が立ち塞がり、暴走フォークリフトを待ち構えている。


「もう、止めて下さい~!」


「…………ここがお前の死に場所だ」


「そこを何とか~! ヘカテ様~!」


「……ゾンビの一員にしてやる」


 とても珍しい事に、ネクロマンサー・ヘカテが人語で会話してくれた。たとえそれが引導を渡す言葉であったとしても。


 ついに草刈り機を放り出したカヤタニが、相方の危機を救おうと駆け出した。それは無駄である事は分かっているのだろうが、鉄塊の衝突を止めんばかりの勢いだ。


「ダケヤマあああ~!」


「カ、カヤタニ~! 飛び出し禁止じゃあああ! ブレーキが効かへんのじゃあああ!」


「そんなこたぁ、一目瞭然や~!」


 ダケヤマには見えた……車に轢かれたガンプラのようにバラバラになる自分の姿が。もう石造りの壁は目と鼻の先だ。

 そして邪悪な微笑を残し、飛び降りるネクロマンサー・ヘカテの素顔がフードの奥から…………艶やかな黒髪に妖光を放つ瞳……とんでもなく美少女であった。





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